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妖艶な悪魔の仕返し

何度も呼び掛けられる声で、ユリウスは目を覚ました。


「……大丈夫ですか?」


冷たく絞ったタオルをレティが額に置いた。

もうシーツ姿ではない。

奪った服を返してもらったらしく、着ている。心配そうに覗き込む顔。


「ごめんなさい。私が突き飛ばしたから」


(そういう顔、すんじゃねぇよ……)


ユリウスがため息をついたとき、海風が強く吹いた。


「きゃっ!」


引きちぎったときに、ボタンがとれてしまったブラウスの前。

残っていたボタンで留めていたようだが、風にあおられて外れてしまった。

目の前に、水色の下着に包まれた控え目な白い胸が晒される。


「ぷぉあっ!」


ユリウスは驚いて赤くなり、額からタオルを取って瞬時に起き上がった。


「てめっ!わざとか!変態か!?」

「え?え?」


急に大きな声を出されて、レティがきょとんとした。

その頭にポンポンとリックの手が乗る。


「レティはただ、お前を心配してただけだ。今のは偶然だろ。つーか、お前こそレティの体見てんじゃねえよ」

「リック様」

「見てねぇ!見せられたんだよ!」

「だから結局見たんだろう」


ユリウスが目を三角にして言い返す。

リックはしゃがみ、ジャケットを脱いでレティの肩に掛けてやった。


「ありがとうございます!リック様」

「何でだよ……。何でこんなボケっとした女があんたの船にいるんだよ、リック兄」

「関わればすぐ、お前にも分かるさ」


拳を震わせ、悔しげなユリウスの頭を宥めるようにグリグリ撫で、リックは優しく言った。


「リック様とユリウス様はご兄弟なんですか?」

「正確には兄弟みたいなものだな。故郷が一緒で幼馴染みなんだ」

「素敵ですね。離れてても慕われているって」

「リック兄は子どもん時からめちゃくちゃ強かった。俺なんか、何度挑んでもコテンパンにぶちのめされてさ。昔から追いかける存在だったんだよ。だからリック兄が海へ出るときも連れてってくれって頼んだんだけど……断られた」


胡座をかいて膝に手を乗せ、ユリウスは子どものように不貞腐れた。

唇が不服を表して尖っている。


「お前は人の下で大人しくする奴じゃないだろう?誰かの前に立って仕切っていくタイプだと思ったからだ」

「だから、俺とリック兄で船長すれば良かったんだよ」

「二人の意見が常々合えばそれでも良いが、お互い譲れない意見が相反したときに下に付いてる奴が迷うだろ?二人で率いるのは無理だ。でもお前は海に出て今仲間がいるし……。それで良かったんじゃないか?成長したな」

「けど……」


ユリウスがまだグズグズ言おうとしたら、セリオが側に来た。



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