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見慣れぬものにはご用心7

「返してくれる?」

「ダメです。これは、マスターの許可なしに渡せません」

「そこを何とかー。って、元々私のだよー」


手を伸ばして取り返そうとするレティが、セリオの腕を掴む。

取られまいとする彼ともみ合いになってしまう。


「セリオくん。お願いー」

「ダメダメダメ!マスターに叱られますから。絶対ダメですーっ!」


体を捻って振り切ろうとしたら、レティの手がズルッと滑って体勢を崩した。


「きゃあーっ!」

「!」


俯せに床に落ち、むーむーというくぐもった声に気がついて目を開けたら、胸の下でセリオが下敷きになっていた。


「あ、ごめんねぇっ!」


すぐに起き上がる。セリオは無表情で体を起こし、服をパンパンと叩いた。


「あまり大きくありませんが、それでも柔らかいんですね」

「へ?」


レティが首を傾げたとき、セリオが何かに気づいたように顔を上げる。


「侵入者です」

「え?」

「レティアーナ。貴女ちょっと下がってて下さい」


リュックサックを背負い、自分の前に立って歩き出す背中をレティは慌てて立って走り、抱き止めた。


「一人で行っちゃダメっ!セリオくんだって危ないよ」

「ちょっ!!?」


足が床から浮いて、セリオが慌てて足をばたつかせた。


「離してください!」

「ダメっ!離さないんだから」

「大丈夫ですってば!僕は契約者なんですから!」

「ええっ?」


レティの腕が緩み、セリオは振り切って床に降りた。


「さっきと同じ方法だと出るのが遅くなりますね。仕方ない。後で怒られるでしょうが、扉を破壊しましょう」


セリオは拳を作って腕を後ろに引き、それから勢い良く前に出した。

出された拳は、岩のようなゴツゴツとした彼の腕の細さの何十倍もあるような大きなもので、氷ごと扉が破壊された。

岩は空気に混ざるように消え、すぐに元の腕に戻る。


「相手が何者か分かりませんが、戦えないならここにいても危ない。僕についてきてください」

「えー!で、でもこの格好で?」


流石に下着姿で外に出るのは気が引けた。


「服……」

「言ったでしょう。マスターの許可なしに返せません」

「えーん」


困った様子のレティにため息をつき、ベッドの毛布を床に落として白いシーツを剥いだ。


「取り敢えず、これで隠してください」


レティがシーツを二つ折りにして体に巻き付けている間、中と外の木屑を足で蹴って歩きやすいようにした。


「急いでください」

「出来た!」

「こっちへ」


付いて走り、甲板に出た。

ゴオオオッ!


「さむーいっ!」


そこには既にユリウスが立っていて、彼の前にあの白い狼が控えている。そして上空には。


「レティ!」

「リック様っ!」


鳳凰に乗って、リックがこちらに手を振っている。ディノスも来ているようだ。

その鳳凰が起こす風と雪狼の雪が混ざりあい、甲板が吹雪になっていた。

レティの声に気がついたユリウスが振り返る。


「おまっ!何で部屋から出てんだよッ!?」

「外から妙な感じがしたので、出るのにマスターの扉を破壊しました」

「はぁあ!?あの扉が何のために固めてあったか分かってんだろ!?」

「だから彼女を連れてきたんじゃないですか」

「ったく、勝手しやがって!!」


ユリウスは苛立たしげな顔をしながら、視線を前に戻した。セリオは上空に視線を向ける。


「鳳凰のリチャード・ローレンス」

「リック様を知ってるの?」

「知ってるも何も、特級と契約した上にあれだけの強さを持ってれば、有名にもなりますよ。魔力がビリビリする」


セリオは説明をした。


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