表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
186/451

秘密の夜4

「んあぁぁっっっ!!痛い痛いぃッッ!いやぁ!」


メリメリと音がして体が真っ二つに避けるのでは?と感じさせる、それ程の苦痛だった。


「……っ!」


リックの表情が険しくなった。

レティは痛みにもがき、リックを押し退けて無意識に体を上にずらそうとする。

ここまで力を入れられると、辛いのはリックも同じだった。


(どうして、こんなに苦しい思いをさせないといけないんだ)


愛する人に。泣かせて苦痛を叫ばせるなんて。

悔しさに拳を握りしめ、歯を食い縛る。獣にギチギチと爪を立てられているようだ。

そして、逃げるレティの腰に腕を回して押さえつけた。

激痛から止めどなく溢れる涙を指先で拭い、名前を呼ぶ。何度も何度も。


「痛い……っ」

「レティ、レティ……、レティっ!」


シーツを破りそうな程引っ張る手を外し、指を絡めた。

泣き叫ぶ彼女の苦痛が消えるなら何でも良かった。


「レティっ」

「ん、あは……っ」


そんな中、呼吸さえままならないのか、ふわふわの髪が宙に揺れて喉が仰け反った。

結んでいた手を離し、後頭部を支えて唇を重ねた。

しばらくすると、僅かに体の強張りが弱まった。


「……ふぇ、っく。リック様ぁ……っ」


レティが首に腕を回してすがり付いてきて、その間の僅かな痛みに顔を歪めた。


「レティ、一回深呼吸して」

「ふぁ……ふわ、あ、はっ」

「ゆっくりな」


苦しさから眉にぎゅっと力を入れつつも、少し呼吸が取り戻される。


「は、は……」

「辛いな。でも俺はレティと一緒になりたい。だから、許してくれ」

「……は、……はい……」


涙をポロポロ溢しながら、レティは頷く。それからまた二人唇を合わせた。

彼と共に痛みと戦った。

何かに堪えながらも切なく眉を寄せるリックはとても色気があって、レティの胸が高鳴った。

どのくらいの時が経ったのだろう。


「終わった。よく頑張ったな」


と、頬へのキスと同時に頭を撫でられて痛みもなくなり、レティはすぐに意識を手放した。


「リック様、大好きです」


と一言を残して。

リックも流石に疲れ果て、レティの華奢な体をしっかり抱き寄せた。

そして襲い来る大きな疲労感に目を閉じて眠りにつくのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ