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HAPPY BIRTHDAY8

茶色く甘いものに汚れたリックの指先を口に含んだ。

驚いたのはリックで、目を見開く。


(何をして……)


犬のようにペロペロと舌を擦り付けてチョコレートの残りを舐めとり、唇を離す。


「綺麗になりました!」


なんて、唇をペロッと舐めながら何の含みもない笑顔を向けられ、リックが赤面する。

普段は抑えている征服欲が、流石に芽を出してしまう。

まだ汚れたままの親指でレティの小さな唇をなぞり、それからクッと押し込む。

中にスルリと入り込んだそれを、やはり目を閉じてチョコレートを舐めとる。


「ぷは……っ」


レティが口から親指を出した瞬間、リックは華奢な体を抱き締めた。


「レティ、もう我慢できない……。許してくれ」

「リック様?」


レティの足が床から浮く。

少し切羽詰まったようなリックの顔を見て、頭にハテナを浮かべながら甲板を後にした。

良い具合に酔っぱらったクルーは好き勝手に遊び始め、二人には気づかない。

唯一気づいていたのはユーシュテで、心の中でため息をついた。


(しょうがない子ね、レティ。でも、火を点けちゃったのは貴女なんだもの)


「どうした、ユース?」

「ううん、何でもなーい」


飲むグラスの手が止まったのに気づいたディノスに、軽く頭を振って見せた。






部屋に入り、横抱きのままレティを膝に座らせて、リックはベッドに腰を降ろした。


「二人になりたかったですか?」


一緒の時間を多くしたかったという、先程のリックの言葉を聞いたレティがニコッとして問う。


「ああ、なりたかった」


額同士をくっつけたら、鼻先が触れあって擽ったそうにレティが笑った。

そのまま、ちゅっとリップ音をさせて唇にキスを送る。

初めの頃よりは触れるキスに慣れてきたレティは、ゆっくり目を閉じた。

それを合図に触れたり啄んだりしながら、一度離れた。


「レティ、息吐くみたいに力抜いて」


彼女の肩が緩く上下したときに、指で唇に隙間を作り中に侵入した。

未だ残るケーキの甘い香りがお互いを包む。

いつもなら逃げ惑うレティの柔らかい舌は、自ら絡んだりはしないが今回に限って大人しい。

下に滑り込んで持ち上げ、吸い付くとレティの眉が寄って体が小刻みに震えた。

時折聞こえる控えめなくぐもった声でさえも、耳に心地よく響く。

リックはレティの足を器用に持ち上げ、ベルトのボタンを外して小さな足からサンダルを抜き取った。

両足を裸足にして膝を擦りながらキスはそのままに、レティをベッドに降ろしていく。

完全にレティの上半身がベッドに沈んだところで唇を離す。舌が離れる際に、二人の間を透明な糸が繋ぐ。


「んぷ……はっうぅ」


いつの間にか溢れていた滴を、指先と手のひらで掬い取って拭う。

浅く呼吸をして頬を染めながら、レティは見下ろすリックの肩に軽く手を置いてふわりと笑いかけた。

甘く痺れるような感覚が二人の間をじわじわと浸透する。


「レティ……」


触れたい。肌から伝わる温もりが欲しい。

もっとキミの心の、体の奥まで入り込みたい。

一歩間違えば激しい炎で埋め尽くして壊してしまいそうなほど、この切なく疼く想いをキミに飲み込ませたい。




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