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忌まれる美しき歌声の理由(わけ)4

どんな傷を受けても、人は立ち上がっていく。

荒廃した街が少しずつ元の形を取り戻していくにつれて、こんな話を耳にするようになった。


外から島の親戚が友人遊びに来たり、商船が来たりしたときだ。


「あの綺麗な声で歌うのは誰だ?」


街に女の歌手はまだ新しく入れていない。

学校の授業で歌う生徒の歌でもない。


人々はあの悲劇を呼び寄せた歌を歌った者が何者なのか、薄々と理解し始めていた。

確かにレティは幼いながら歌が上手い。そこらの子どもとは違う歌唱力であることを、皆が知っていた。


そんなに大きな声で歌うわけでもないのに、街にいればレティの歌が何故か聞こえてくる。

だけど、マイクがあるわけでも拡声器を通すわけでもないそれが、さすがに海の上を通るなどあり得ない。

最初はそう思っていたのだ。


けれど、外からの人の問いを聞き、噂が小さな島の街にすぐに広まったことで、誰もレティを世話したがらなくなった。

今度はいつあの悲劇が自分のところに降りかかるかわからない。そんな恐怖があったからだ。


母親の友人だったジョアンもいない。

自分の妻も少女を気味悪がり、困り果てた町長はレティを島の外の施設に出すことを考えていた。


それから数日して、商船にたまたま乗っていた男がレティの話を聞いて、引き取ると言い出した。

町長は感謝の印にその男の家を用意し、レティを歌わせないように念を押した上で、引き渡して住まわせてやった。






レティが引き取られて一ヶ月後、足取りが全く掴めなかったジョアンが帰ってきた。

ジョアンは出身の島から遠く離れた場所で、商船の乗組員から島にやってきた女とその子どものことを聞いたのだ。

自分がかつて惚れた女から里親を望まれていたことまでは知らなかったが、何故か島に帰った方がいいような気がしたからだ。

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