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どちらがお似合い?6

ユーシュテを探して左右に視線を巡らせていたら、ディノスチームから声が上がった。


「ディノスさんが一本残したー!」

「やべぇえ!」


と、思いきや、その一本が遅れて倒れた。


「偶然が味方した!?」

「いや、よく見ろ!あそこに……」


レーンの隅に、Vサインをしたユーシュテが立っている。

どうやら彼女が控えていて、倒しきれなかった一本を倒したらしい。


「インチキ!」

「ズルいぞ!正々堂々と勝負しろ!」


リックチームがわーわー騒いだところ、ディノスチームが負けじと言い返した。


「じゃあ、船長のあれは何だ!」


よく見てみれば、投げる前にリックの足元に風が起こっている。

放たれたボールに風が取り巻いて勢いを増し、ピンを倒すときにその風が広がってストライクの手伝いをしているらしい。

最初は正々堂々と勝負をしていたはずが、いつの間にかだ。


「鳳凰の無駄遣い!」

「船長!いつから……」

「まずいですよ!」


席に戻ってきたリックに、チームメンバーが言う。すると、二人のチームリーダーが声を揃えた。


「戦闘はいつどんな状況においても真剣勝負。海賊なら、どんな手段を駆使しても勝利をつかめ!」

「これはスポーツですから!!」


涼しい顔で仲間の制止を聞き流すリックを諦め、クルーはレティに頼み込む。


「レティアーナさん!二人を止めてくださいよ」

「え?」

「だからリチャード船長とディノス副船長ですよ!」


「お二人とも素敵ですよねぇ。でも私は、リック様がやっぱり好きです」


ぽややんとしたやんわり笑顔でレティは言う。


(ダメだこれ。不正に全く気づいてない。と言うか、船長しか見えてねぇー!)


「レティ、何話してるんだ?」


戻ってきたリックはレティの手に自分のを重ねて持ち上げ、レティが食べ掛けていたアイスを一口頂戴した。


「話に夢中になりすぎると溶けるぞ?」

「そうですね」


慌てて食べたら口の周りにバニラクリームがついたらしい。


「レティ、口。ついてる」


リックは身を屈め、汚れたところにキスをして舐め取った。

赤くなったレティが取り落としそうになり、再び手を重ねて握らせた。


「しっかり持っときな。汚れたら取れにくくなるぞ」

「はい。ありがとうございます」


人目を全く気にしないで、恥ずかしいくらい仲良くする二人。

順番に先に気づいたのはレティの方で、リックの腕を叩く。


「リック様、順番回ってきたみたいですよ」

「そうか。行ってくる」


レティの右の耳を擽るように撫でて、名残惜しげにリックはレーンに向かった。

すっかり忘れていたが、司会のクルーが手を振り上げて叫んだ。


「さあ、泣いても笑っても次が最後!うちのリーダー二人が投げたら決着!只今ディノス副船長が二十点リードで僅差!」



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