どちらがお似合い?4
たくさんのレーン、パコンパコンという軽やかな音、遠くに立つたくさんの白いもの。
「――と言うわけで、勝負の内容はボウリングとなりましたー」
「何故。」
「丁度近くに島があったことと、安全と参加人数など複数条件を考慮した結果です」
ディノスがマイクを持った司会者のクルーに問えば、指折り数えながらの回答があった。
「リック様、ボウリングって何ですか?」
後ろで手を組んだレティがリックに問えば、周りがどよめいた。ヒソヒソと言葉が交わされる。
「ボウリングを」
「知らないとか……っ!」
「前からちょっと思ってたんだが、レティアーナさんはどこでどう育ったんだ……?」
椅子に座っていたリックはレティの腰を引き寄せ、答えた。
「このボールを投げて転がし、あそこにある白いピンを倒した数で点数が決まる。多く点数を取ったら勝ちだ」
「このボールをですか?それなら私にも出来そうです!」
レティはリックの側のボールに触れた。
「んーっ!結構重いですっ」
両手で抱えるレティに笑い、リックはボールを取り上げた。
「それは俺が自分に合わせたボールだから、レティには合わない。片手で持てるくらいのサイズを選ぶんだ」
リックは立ち上がり、レティの手を引いてボールが置いてある棚に連れていった。
「レティならこのくらいじゃないか?」
差し出された水色のボールを持ってみたら、僅かに重く感じるくらいで片手で持てそうだった。
「この三つの穴に――上に中指、薬指で下に親指を入れて。で、レーンに投げる。やってみるか?」
「はい」
戻ったら、ゲーム数などのルール説明が終わったところで練習だった。
リックはレティを連れてレーンに立たせ、少し離れたところにいる一般客を示す。
「あんな風に投げる」
そこでは助走と共に、綺麗なポーズでボールを投げる客がいた。
「頑張りますっ」
レティが立ち、拍手をして全員が見守る。レティは少しだけ助走をかける。
そしてレーンのギリギリでボールを放した。が、足が縺れてボールの勢いと一緒に前のめりになった。
バタッと勢いよく前に倒れ、しかも下着が見えるか見えないかの瀬戸際くらいまでスカートが捲れてしまう。
慌てて起き上がるレティの姿を見て、クルーが心で呟く。
(うわぁ……)
(お約束すぎる)
「あーっ!」
レティの目の前で、ボールがガターに吸い込まれた。
ゴロゴロと転がりながら消えたボールを見て、座り込んだまま振り返り、リックに報告する。
「ボールが落ちました!」
「また戻ってくるから、もう一度やってみな?助走つけずに投げてみたらいい」
「はいっ」




