どちらがお似合い?
時は昼の三時。当番の仕事を終えたり鍛練の合間で休憩の時間。
船員たちは食堂に集まっていた。
だいたい下らない話になるのだが、この日は。
「天使と悪魔なら?」
「そりゃ天使だろ!」
「猫とうさぎなら?」
「うーんっ、猫っ!うさぎはちょっと卑猥な気がする!」
「そうだな。その担当ならユーシュテさんだろ!」
「ぬいぐるみならどっちでも似合いそうだがな」
「そりゃそうだ。次は?」
「花とリボンなら?」
一人が二択を出し、仲間が答えていくと言う何やら意味不明なことをしている。
そんな時、リック、ディノス、彼の頭に乗ったユーシュテ、遅れてレティが入ってきた。
四人に気づき、厨房からジャンの声がする。
「おお!お嬢ちゃん達来たな。おやつあるよ、カモーン。フルーツタルトだよ」
「きゃーっ!ホント?ジャン愛してるーぅ」
ディノスの上で、ユーシュテが目をハートマークにしてはしゃいだ。
ユーシュテはディノスから飛び降り、大きくなって勝手にジャンの元へ走って行った。
ディノスはあることに気がつき、リックに言った。
「あれは何だ」
彼が指差す方向では、クルー達が何やら揉めている。
「花だ。鉄板だろ」
「いーや、可愛さを強調するなら清楚も持ち合わせてるリボンだ」
「花!」
「リボン!」
「よーし、多数決だ!花と思う奴手を上げろ」
揉めているクルーの半分が手を上げる。
「ちきしょー!半々か!勝負がつかねぇ!」
頭を抱える彼らを見て、レティは首を傾げた。
「何のお話ですかねぇ?リック様、ディノス様」
「さあな」
リックは肩を竦めた。
「大方くだらんことだろうが、あれ以上熱が入ると面倒そうだな」
ディノスはため息をついてクルーの側へ行く。
リックとレティもそのあとに続いた。
「お前達、何を揉めてる」
冷静な声に、船員達の熱が少し止まった。
「あ、副船長。良いところに!」
「そうだ。リチャードさん達に決めてもらおうぜ」
「実は、レティアーナさんには何が似合うかって話してたんっすよ」
「はあ?」
ドヤ顔で説明をする彼らに、リックとディノスの変な声が揃った。
「天使と悪魔ルックなら天使」
「悪魔ならユーシュテさんですよ」
悪魔ルックが似合うと言われたユーシュテは、カウンターに置かれたタルトに夢中だった。
何が入っているかのジャンの説明を聞きながら、ハートを飛ばしている。




