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ラグナロクの翼 ―あの蒼い空と海の彼方―  作者: Mayu
騎士(ナイト)の章
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悪夢の終わり5

猛ダッシュで通路を走り、レティの部屋に入って布団の上に彼女を下ろした。


「アホか、俺は……」


寝息を立てる彼女を見ながら浅い呼吸をする胸を押さえ、無理矢理深呼吸をした。


「十代の若僧でもあるまいし……」


ため息をついて部屋を出ようとすると、レティが目を覚ました。

むくりと起き上がり――と言っても、肘をつく程度だが。手探りで何かを探している。


「おみ……ず」


驚いたことに枕元に置いてあった時計を掴み、口に入れようとした。


「やめろ!それはカップでも水でもない」


慌てて彼女の手から取り上げる。

思えば、甲板でも水を欲しがっていた。

取ってきてもいいが、その間にまた変なものを口に入れられてはかなわない。

仕方なくリックは再度レティを抱え上げた。

子どものように肩に伏せたレティは、リックの首に手を回した。

すんすんと鼻をならしたと思ったら、襟が引っ張られた。

目線を動かすと、何を思ったか襟を口に加えて吸っているではないか。


(赤ん坊プレイか!!!)


「やーめーろーっっ!」


一目散に食堂へ走った。

鬼気迫る顔でセルフドリンクの所に行き、器用に片手でカップを取って水を注いだ。


「ほら、水だ」


椅子へ座り、膝の上に乗ったレティの顔を襟から無理矢理引き剥がす。

カップを持つことはできるが、意識がはっきりとしていないので口にいかずに斜めになってしまう。


「あー、くそっ」


悪態をついて、カップに手を添え口に持っていく。

喉に入ったのはいいが、量なのか角度なのか喉をついて咳き込んでしまった。


「ごほっ、けほけほっ!」


カップをテーブルに置いてレティの背中を叩いた。

咳き込みながらカップに手を伸ばすので、リックはそれを遠ざけた。

咳き込みが収まり、リックはレティの口元を指で綺麗にしてやり、まず自分が水を含んだ。


指で下の唇を少し下に引っ張れば、口が小さく開く。

そこに口づけて水を流し込んだ。唇を離したら、液体が上手く喉を通ったのがわかる。

それを何回か繰り返す。

レティに近づく度に、元々彼女が持ってる優しい香りと混じって、アルコールの吐息がリックの鼻孔をつく。

少し意地悪をしてやりたくなり、最後の一口を流し込んで飲ませ終わったあとに、また唇をくっつけた。


「は……んん」


水かと思って、彼女の舌が液体を探している。そこに吸い付いた。


「ふっ……ん、んんっ」


驚きのあまり、ビクッビクッと小さな体が揺れる。舌先をつついたら、引っ込んだ。

緩い口元。歯列や舌、上顎……。


「んー!ふ、んふ……んっ!」


リックの舌の擽りに反応して声や体に反応が現れる。

眉間が寄って少し苦しそうになったので、漸く離れてやった。


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