表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラグナロクの翼 ―あの蒼い空と海の彼方―  作者: Mayu
騎士(ナイト)の章
136/451

悪夢の終わり

「もう。ここいらで終わりにしようぜ」

「フッ……。いいだろう、小僧。かかってこい」


リックとウィルがお互いに剣を構えた。


(どうか、色んな物がリック様の味方になりますように)


レティの想いに翼が揺れ、光の粒がスピードを上げて上へと飛ぶ。それは鳳凰に集まっていった。

鳳凰は形を崩し、風になってステージへと飛んだと思ったら、リックを螺旋状に取り巻いた。


「!?」


リックの剣に風の力が集まり、柄は羽となり、刃は長い風の剣となる。


「これは鳳凰……?」


姿は見えなくなったが、手元から鳳凰の気配が伝わってくる。


「契約者が相手を武器にするなど、聞いたことがないぞ!?何なんだ!」

「お前にはもう、負ける気がしない。俺と鳳凰の力、受けてみろ!!」


リックが剣を構え、ウィルも焦りから我に返り、苦々しい顔をしながら同じようにした。

両者の声が重なる。


「負けない。これで、終わりだ!」


ウィルが素早く此方に向かって来る。リックはその場で剣を振り上げた。


「風の攻撃範囲は……全てだ!」


切っ先を降り下ろしたら、螺旋状に渦巻いた太い風が目にも止まらぬスピードで飛んでいく。

ウィルは巻き込まれ、鋭い刃物のような風で鎧と無防備になった体を切られ、彼を突き抜けたそれは獏にも当たった。

獏は叫び声をあげながら黒い霧になって散りながら消え、ウィルはバラバラになった鎧と一緒に床へ崩れた。

ギルのように白目を向いてピクリとさえしない。


「せ……船長が、勝ったぁあああっ!」


一人のクルーが拳にした右腕を上げ、大きな声を会場に響かせた。

次いで全員が総立ちになって両手を上げ、ワイワイと賑やかになる。

風の力が剣から抜けて、鳳凰は形を取り戻した。

それから再び風になり、リックの目に吸い込まれた。


「レティ!」


リックはレティに手を向けてくれる。

海蛇は体勢を低くして降りやすいようにしてくれたが、それを待たずにレティは飛び出した。


「リック様っ!」


飛び降りる途中で金の翼が消えた。勢いよく飛び込んできたレティを、リックは抱き止める。

人目を憚らずに抱き合う二人を見て、アルは見守りながらため息をついた。


「やっぱりレティアーナにとっては彼が一番か……。うーん、こりゃ完全にダメだね」


アルが床に降り立つと海蛇は水になり、胸に吸い込まれた。


「アレックス!」


完成沸き立つ中、サルディに背負われた国王ジェラルドが入ってきた。


「殿下、すべて終わったようですね。国王陛下も衰弱しておられますが、少し療養すれば大丈夫でしょう」

「うん、そうだね。あたたた……」


サルディに頷いたが、レティの球体が消えたせいで、緊張が抜けた今頃になって痛みが戻ってきた。


「大丈夫か……?すぐにアレックスの手当てをしてやってくれ」

「御意、陛下」


頷くサルディの前にアルは立った。


「母さんは?」

「殿下なら、きっと困難を切り抜けられると信じて待っておられます。前国王陛下の息子だからと。会いに行って差し上げてください」

「その通りだな。お前は兄上にそっくりだよ。私の息子よりずっと周りが見えている。これからも国を頼むよ」

「はい、陛下」


アレックスは頷いた。兵士も中に数人入ってきて、ウィルとギルを拘束すると運んで行った。


「リック!レティアーナ!ここを出よう」

「そうだな」


リックはディノスに誘導を任せ、レティを連れて処刑場を出た。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ