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ラグナロクの翼 ―あの蒼い空と海の彼方―  作者: Mayu
騎士(ナイト)の章
135/451

呼び覚まされる新たな契約8

水はステージから溢れ、少し低いところにいたレティやユーシュテのところにも流れ込む。

レティは巻き込まれる前にリックが鳳凰と共に飛んできて、体を引き上げられた。


「きゃっ!あふっ……」

「ユース!」


ユーシュテが流れに巻き込まれたのを見て、ディノスが上から飛び込んだ。

中で流される小さな体を掴み、水上に顔を出す。


「大丈夫か?」

「ええ。ありがとう、ディノス」


二人で水に浮かびながら、上を見上げた。


「それにしてもレティ、あの子は何なの?あんな力見たこともないわ」

「俺にも分からん。契約者ではなさそうだが……。ただ本でも話でも、見たことも聞いたこともない状態だ」


レティの体は未だ妖精のように、キラキラした光の粒のようなものに包まれていた。


「ここにはどうやら……とんでもないものが他にもあったようだな……っ」


ウィルがステージに這い上がってきて、ギルも遅れて続いた。


「ただの女かと思っていたが……。どうやら違うようだ。俺は女に興味はないが、それが楽園の女神なら話は別だ」

「楽園のっ、女神だとぉ!?」


浅い呼吸をしながら、ギルがウィルの顔を見た。


「確証はないが、世間を騒がせた海賊の航海日誌に書いてあったそうじゃないか。光の楽園に導く女神――それは金の翼、金のオーラを放つ女。金色に神々しく輝き、彼女が認めた者を楽園へと導くと……。あの女はその容姿に近い」

「確かに……今はそうだ……なぁ……」

「何がなんでも海蛇とあの女は手に入れるぞ」


ウィルは立ち上がって命令した。


「獏!いつまで沈んでる!黒煙だ!」


ウィルが後ろから前に指を動かす。その動きに従って、水に沈んでいた獏がステージに転がり込んできた。

ステージが獏の口から出た煙に覆われる。

アルは海蛇の尻尾から出て鱗に足をかけ、上まで駆け上がった。


「吹き飛ばせ!」


リックの命で鳳凰が羽根を上下させ、煙を吹き飛ばした。

その消えた煙の中から、跳躍力のあるギルが突っ込んでくる。


「ヒャッホー!女を寄越せぇえ」

「させない!奴を止めるんだ」


アルが海蛇に指示を出し、長い体がギルを素早く巻き取った。


「うっ……。放しやがれぇ。苦し……。ぐっああああ!」


巻き付いた体は容赦なく締め付け、体の自由と呼吸を奪う。

そのままゴキボキと嫌な音を立て、ギルが白目を向いて力を失った。


「……っうー」


聞きたくない音に、レティがリックの服を握りしめてしがみつく。


「ギル!」


意識のない体が床に落とされ、ウィルが表情を歪めた。


「俺を降ろしてくれ」


鳳凰がゆっくりステージに降りた。


「アル!レティを頼めるか?」

「分かった」


途中でレティをアルに引き渡す。


「リック様!」

「大丈夫だ。今回はもう終わりにする。帰ろうな」


心配をそうにこちらを見る彼女。くしゃくしゃと頭を撫で、リックが下に降り立った。


「レティアーナ、大丈夫だよ。リックは俺よりもずっと強い。負けないよ」


海蛇の頭から落ちないようレティを支え、アルが言った。


「彼のこの戦いの最後を見届けよう」

「はい」


レティは指を組み合わせ、目を閉じた。

華奢な体の周りにあった光がまたランダムに発光を始め出した。



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