表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラグナロクの翼 ―あの蒼い空と海の彼方―  作者: Mayu
騎士(ナイト)の章
125/451

従者の正体5

見ていたクルーやアルは、何事かとざわつく。高い位置にいたレティは、正体にいち早く気がついた。


「リック様!上ですっ!」


レティの声と同時に、殺気の気配に気づいたリックは上を見た。


「うらうらうらうら!ヒャッハァアッ!」


交差した両方の手に短剣を持った男が上から突っ込んでくる。

リックの頭上にいた鳳凰が切り裂かれ、風と羽根になって飛び散った。

リックは剣を盾代わりにして、二つの刃先を受け止めた。

二人の頭上で風が集まり、また鳳凰になる。


「風は刃物じゃ切れねぇってか?流石、お前もあの鳥も強ぇえなぁあっ?たまんねぇーぜ」

「お前は何だ……っ」


舌なめずりをする品の無さそうな男に、リックは険しい顔をして問う。

すると前方から声がかかった。


「人の話を遮るなといつも言っているだろう、ギル」


あちこちダメージを受けた黒いジーンズに袖を肩まで捲ったシャツ、立てられた黄色い髪という身だしなみも悪い彼は、舌打ちをしてリックから離れた。


「るっせぇー!ウィル、てめぇばっか表で目立ってんじゃねぇよ!」


仲間割れのようなやり取りに、リックはどう動くかを計りかねて様子を見た。


「あんな強くて殺り甲斐のありそうな獲物を前にして、黙って待ってろってのはなしだろぉお!お前がなんと言おうと、俺はアイツを殺ぉおおすッ!」

「待てっ!一対二なんて勝負になるか!卑怯だぞ!」


アルが客席から身を乗り出して叫んだ。


「外野がギャーギャーうるせぇなーぁ!いいか。こいつがウィル、俺がギル。合わせてウィルギル。全力で戦えって豚の命令は、俺にも下されてんだよ。卑怯じゃねー」


ギルは耳に指を入れて、抜いた指についていたごみに息を吹き掛けて飛ばした。

その後、自分と相方に親指を向ける。


「わかったら指を加えて大人しくしてな。あと、ウィル。いつまでデブタと小芝居やってんだぁあ!?もういいだろ。気色悪りぃんだよ」

「……確かに」


ウィルの方が片手を上に上げた。


「カルロはもう必要ないな」


合わさった中指と親指が擦れ、パチンと音を立てた。

獏の目が光り、体から黒い霧が出た。


『な、何なのだっ!?』


大画面の向こうで、獏と同じようにカルロの体から黒い霧が出た。


『ボクチンの体から何か……』


兵士の体に入り込んでいた黒い影が、カルロの胸からも飛び出した。

同時にカルロは半目になってふらつき、前のめりになる。


『出たのだ……』


ガンッ!丸々した体が画面に衝突した直後に、ブツリと音を立てて映像が絶たれた。


「やっとうるせぇ豚がいなくなったか」


その場にいた全員が、今の光景を信じられないというように見ていた。


「あれはまさか……!カルロは操られていたのか?」

「あんな頭の悪くて度胸もないデブに、今回のこと全てが計画できるわけねぇだろうがよ?」


リックの疑問にギルが笑いながら答えた。


「第二王子は何考えてるかわからんが頭が切れそうだったから、あの豚を人形として利用するためになぁ!全部操ったら周りにもバレちまうから、半分だけ獏の力で良いように扱わせてもらったぜ」

「一体……何が目的だ!?レティじゃないな!?」

「レティ!?んあー、あの捕まってるお嬢ちゃん?」


ギルは親指を後ろにいるレティに向けた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ