それぞれの戦いと迫る危機5
意識が深みから浮上するにつれ、鉄錆びた臭いが鼻をついてレティは目を覚ますことが出来た。
真っ暗で、蝋燭の灯りがポツンポツンと通路についているだけの冷たい部屋。
「私……?」
少し考えて、カルロに逆らったがために首を絞められて意識をなくしたことを思い出した。
(だとしたら処刑って言われていたし、ここは牢屋かしら……)
辺りを見回して闇慣れした目が捉えたものに、瞳孔が縮んだ。
ボロボロの服を着て鎖に繋がれ、白骨化した遺体が同じ部屋に転がっていたのだ。
よく見れば、石の床にも錆びた血の痕が見られる。
「ひっ……」
いくらリックを信じて待つと言っても、これはあまりにも。
(怖すぎる!)
座り込んだまま後退り、後ろを見ていなかったせいで鉄の柵に頭を思いきりぶつけた。
ガンと痛々しい音がして頭を押さえた。
「いったぁ……」
その音に気づき、先に続く牢から掠れた声がした。
「誰か……いるのか?」
「!?」
レティは鉄格子を握りしめて、先を見るがよく見えない。
「どなた様でいらっしゃいますか?」
訊ね返してみたら、やはり掠れた老人かと思ってしまうような声で返事が返ってくる。
「私は現国王の……ジェラルド・クロスルースだ……」
「え!?」
(現国王と言えば、アル様の叔父様……。どうして国王様がこんなところに……?)




