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ラグナロクの翼 ―あの蒼い空と海の彼方―  作者: Mayu
騎士(ナイト)の章
108/451

お姫様はだれのもの?3

降りて馬車の御者に料金を払い、三人は城の上にあるもう一つの正門を目指した。

そこに門番の兵士と受付の係が控えている。

貴族と思わしき人がたくさん並んでいた。

順番が来て、レティはメモを見せた。


「昼間王子様に街でお会いしまして。このメモを預かって伺ったのですが……」

「このサインは殿下の……。少々お待ちください」


何故貴族でもない三人が王子に呼ばれるのかと、執事であろう初老の男が思ったのが顔に出た。

その時、見慣れた顔が城から出てきた。金髪の少年のようなオーラを持った青年。


「レティアーナ!上から見えたからもしかしてって思って降りてきたらやっぱり!来てくれたんだね!」

「アル様!」


レティの手を取って上下に振る。


「殿下!不用意に外へ出られては困ります!」

「すぐ戻るって!」


アルは執事に答えた。


「やけにテンションの高い男ね……」

「俺、あのノリがどうも苦手だ」


リックとユーシュテがヒソヒソと言葉を交わした。


「レティアーナ、リックじゃない後ろの人は友達?」

「あ、そうです。ディノス様です」


友人と言うにはおこがましい気もしたが、とりあえずそう紹介した。


「宜しく」

「こちらこそっ」


ディノスとアルが握手を交わし、それからレティの手をアルが引っ張った。


「こっちこっち、レティアーナ。着替えは用意してあるからっ」

「おいおい!勝手に連れてくな!」


リックが慌てて追いかけ、ディノスもゆっくりした足取りでついていく。

薄く赤いカーペットの敷かれた床を真っ直ぐ進むと、二手に別れた通路に出た。

数人のメイドがレティを取り囲む。


「お嬢様はこちらです」

「えっ!?」


レティは驚いたが、メイドに手を引かれて連れていかれる。


「ま、待て!」

「男性の控え室は反対側、あちらになります」


リックはリックで執事に手を引かれ、反対側へ連れていかれた。


「ユース!」

「分かってるわよ」


ディノスの囁きに返事をし、ユーシュテがポケットから飛び出す。

メイドや執事の肩や頭を跳んで進み、レティの肩に乗った。


「お姫様みたいに、とびっきり可愛くしてあげてねぇー」

「畏まりました、殿下」


能天気なアルが手を振り、メイドが頭を下げた。


「あ、あの、アル様……っ」


白いカーテンに包まれた部屋の向こうへ、レティは強引に入らされてしまった。






「まず、服をお召し替え頂きます、失礼します」

「え、あの……」


戸惑っている間に、手慣れたメイドたちはレティを下着姿に剥いてしまった。

恥ずかしくてもじもじとするレティの前に、とっかえひっかえドレスを持ってきて、体の前でイメージに合わせる。


「分かってないわねぇー。その子には派手や地味なカラーは無理よ」

「!」


全員の視線が声の方に向く。鏡台に足を組んで座るユーシュテがいた。


「ユースちゃん!」

「まあ、いつの間にお嬢様のご友人が」

「では、此方のお嬢様も着替えさせて差し上げて」

「えっ!?」


レティにかかっていたメイドの数人がユーシュテの腕を掴む。


「ちょ、ちょっと!あたしはこの服以外のものは着ないわよ!聞いてるの!?」


ユーシュテも更に向こうのカーテンへ連れていかれてしまった。



数分後。淡い黄緑にフリルやレースをあしらった、肌触りのいいドレスを着せられた。

髪は上の方をハーフアップにされ、青のリボン付バレッタで留められた。

後ろへ流れる髪の合間に真珠付のピンを差し込まれ、胸にグリーンのネックレスを着け、手に短い手袋を嵌められて解放された。

靴はヒールになれていなくてグラグラしたため、ヒールの低くて安定感があるキラキラしたサンダルになった。


一方ユーシュテは黒いリボンを編み込んだ髪をアップにされ、背中と胸元が大きく開いて袖のない深紅のドレス着せられ、ヒールの高い黒い靴を履かされていた。


「苦しい……」

「大丈夫?ユースちゃん」


レティと違い、ユーシュテはコルセットで少々腰を締められたらしく、呻いていた。


「お嬢様方、此方へどうぞ」


案内されて更衣室の外に出た。先程リック達と別れた通路には、彼らとアルがいた。




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