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ラグナロクの翼 ―あの蒼い空と海の彼方―  作者: Mayu
騎士(ナイト)の章
106/451

お姫様はだれのもの?

『レティアーナへ


良かったら今夜、この紙をもって城に来てくれないか?

格好はそのままで構わないから。

どうしてもだったら、リックも一緒で構わない。

今日君たちに助けられて、付き合わせてくれたお礼がしたい。


アレックス・クロスルース』



下の名前はフルネームでサインがあった。


「何でも急用を思い出したからと、先にお帰りになられました」


店員が説明をした。リックはため息をつく。


「何でわざわざ城に行く必要があるんだよ。捕まりに来いってか?」


店の戸を開けると、入る前には気づかなかった黒いスーツにサングラスを掛けた男が数人グループに分かれ、ウロウロしていた。

そのうちの一人がレティ達に気づいて、寄ってくる。


「失礼。ちょっと話を伺いたい。人探しをしていて……」

「どなた様をお探しなんですか?」


黒スーツの胸ポケットから写真が出てくる。

これだけの大人数に追い回されるなんて、どんな悪い奴かと思えば。


「イルマリ国の第二王子、アレックス・クロスルース様だ」


金髪にキリッとした表情、糊のかかったシャツ、ジャケット、マントを着ている美しい男性が写されていた。

これはまさしく。


「あ―――――ッッッ!」


レティとリックの声が重なる。間違いなく今の今まで一緒にいたアルだ。

その時、広場に声が響き渡った。


「見つけたぞ!お戻り下さいぃ――!」


ポケットに手を突っ込んでヒョイヒョイと逃げるアルと、それを全速力で追う黒スーツのSPが目に入った。


「一国の王子が何やってんだよ。全くあいつは……」


リックが呟くと同時にアルが此方に気づき、手を降りながら街の間へ消えていった。


「王子様でいらしたから、お城へ来て欲しいってことだったのですね」

「しかし、海賊はわざわざそんな所へ行かんだろう」

「行かないですか……?」


レティは少しがっかりしたようだ。


「アル様は、お寂しかったのかもですね。お忍びと言うのでしょうか。一ヶ所にずっと閉じ込められるように居座らせるのは、とてもとても……虚しさを感じたりするんです」


かつて自分の与えられた環境と重ねているのか。

今の自分の立場を差し置いても会いに行けないかと考える彼女は、とても優しい。


「分かった。行こう。何とか正体を隠すか……」


レティの頭をポンポンと叩いた。

彼女にとことん甘い性格が、すぐに味方をしてしまう。


「あと俺たちだけじゃ、何かあったときの対処が困るな……。ちょっと相談してみるか」

「……?」

「一旦船に戻ろう」


不思議そうな顔をするレティを連れて、海岸へと歩くリックだった。




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