クズの日常 part I
第87話 ~手口~
「な、捺加環くん。ず、ずっと前から好きでした。私と付き合ってもらえませんか?」
「•••」
人、細かくいうと俺の周りと俺は正直クズだらけだった。
「•••ごめん、俺まだキミのことをよく知らない。だから•••」
そこで静かに口を噤む。
最後まで言わないため。彼女への最低限の心遣い。
「•••わかりました。」
彼女は急ぎ足で校舎裏から姿を消す。
すると、もう1人別の方向から女子生徒がゆっくり歩いてきた。
何故、こんなことが起きたのか。
お昼休みを振り返ってみればわかる。
「ねぇ、捺加環くん。ちょっと良いかな?」
とある女子中学生、Aが話しかけてきた。
「なんだ?」
俺と話していた男友達はクスクス笑いながらその場を立ち去る。
「今日の放課後、ちょっと校舎裏に来てくれない?」
「•••わかった。」
するとAは“ありがと”と言って立ち去り女子中学生、Bの元へ行った。
Aは所謂、活発系でクラスでも人気がある方。
Bは大人しめ女子。
どちらもあまり俺と関わりがない。
そして、AはBに何か話している。
あからさま過ぎるベタな展開を俺は受け入れた。
Aが呼び出し、Bが告白するという展開。
その後、男友達にいじられる。
これもありがちな展開。
特にドキドキもせず放課後。
そして、今。
立ち去ったBの後にゆっくり歩いて来るA。
そして、Aが俺の前に立ち止まるとAは言った。
「かわいそう。どうして振ったのよ?」
「Bにはその理由を言った。」
「どうせ、よく知らないとかでしょ。」
「わかってたのに、彼女に告白させたのか?」
「そんな訳ないじゃん。だって私たち友達だし。そう、だからBのためにも頼みたいことがあるんだけど、良いかな?」
「なんだ?」
「また、告白させてあげても良いかな?もし、私の言った通りに捺加環くんが言ったならまだチャンスがある訳でしょ。」
「たしかにそう言ったが。」
「それに捺加環くんも私が話しかけて男友達にいじられるの嫌じゃない?」
「どちらかと言われれば嫌だが。」
「じゃあ、私とラオン交換してくれない?次、来て欲しい時に呼べるしそしたら、捺加環くんも男友達にいじられずに済むでしょ。」
「わかった」
俺は内ポケットに隠してあるスマホを取り出した。
この中学校は良い学校ではなかった。
半グレみたいな奴がそこら中にいるような学校だった。
なのでスマホ程度で怒られることはなかった。
因みに男友達もそういう奴ら。
かといって俺が半グレなのかと言われるとそうではない。
中性みたいな。
そして、俺はラオンをAと交換した。
Aはその後Bについて一切ラオンで話すことはなかった。
遊びの誘いやつまんない雑談などのラオンのみだった。
俺は全て知っていた。こうなることも。
AはBと友達なんかじゃない。
Bはこの学校では珍しい大人しいタイプだ。
大人しい、つまり押しに弱い。
Aはそれを利用した。
AはBが俺のことが好きと知ったうえでまず話しかけた。
それは、1週間程前の時から始まったのだろう。
だから周りもAとBは最近仲良くなり始めたという印象だった。俺もその1人だった。
だが1週間前という短い時間にAはBに俺に告白をするように言った。
それが今日。
あまりにも短すぎるし、大胆すぎる。
だがAが俺に話しかけ、俺を校舎裏に呼び出したことにより、Bは後に引けない状態となり半強制的に告白をしたという訳だと推測すれば、AはBと友達になるために話しかけたのではなく、Aは俺と友達になるためにBを利用したと考えられる。
だからラオンでもBの話題はなく、しょうもない話ばかりして来るのだろう。
初めから丸わかりすぎる。
そして、そんな奴らがウジョウジョこの学校にはたくさんいた。
AやA以外の似たような奴らは俺というステータスが欲しかったという訳だ。
恋人などではないが、友達というだけでも絶大なステータスをゲットできるためスクールカースト上位に君臨できる訳だ。
要するに俺というアクセサリーをゲットするために他の奴らを蹴落とすという手口。
最低最悪の手口に俺も黙認していた。
次回はファミレスです。
それでは読んで頂きありがとうございました。




