彼女と幸せ?な日常
第11話 ~デート~
ハグをされてから、もう1ヶ月も経つ。そして季節は冬に差し掛かっていた。
僕たちは毎日同じ時間に待ち合わせて学校へ行くということになっていた。
僕は、この1ヶ月間ずっと考えていた。『本当にこのままでいいのか』と。
僕は1ヶ月間ちーちゃんと付き合っているが、どうしても神崎さんが頭から離れない。
どうせ陽キャだし、付き合えるはずがない。そう思っている。実際そうだ。
だけどそうわかっているのに頭から離れない。
どうにかしたいけどどうにもならない。
今日もちーちゃんと信号の前で待ち合わせ。
あれからハグのようなことはされなくなり普通のちーちゃんだ。あの時のちーちゃんがどうかしていたのだろう。
そして、一足先に来ていたちーちゃんと信号の前で出会いちーちゃんが話しかけてきた。
「ねぇ私たちまだどこかでデートってしたことないよね。」
僕も同調し、
「そうだね。」
「だからね、明日休日でしょ。だから“ディスティニーランド”に行かない?」
その提案に僕は、
「えっ?」
困った。
“ディスティニーランド”とは、子どもに大人気なあのハリネズミのハッリーとハッニーとその他愉快な仲間たちが暮らすお伽の国をイメージしたテーマパークだ。
「嫌だ。」
僕は少し間をあけてそう言った。
「えーいいじゃない。一緒に行こ!」
無理だ。その理由は、陰キャだから。
陰キャがそんなところに行くと空気が汚染されて、楽しくなくなる。つまり場違いということだ。
それにそもそも、そんなところに興味がない。
だから僕は断る口実を口にする。
「えっ、ちょっと無理。お金ないし。」
「あーそれなら心配しないで、チケットはもう取ってあるから。」
「えっ?」
これは、断れないやつ。
断ったとしてもチケットが既にある時点で後戻りは出来ない。
明日はのんびりゲームでもしようと•••あっこれを
「いや、でも明日はちょっと用事が」
僕がそう言い“ある”と言いかけた瞬間、
「ない」「ある」
「えっ明日用事あるんだけど。」
僕がそう言うが
「ないわ。だってりょーくん先週『来週暇だからゲームでもしよう。って捺加環くんと話してたじゃない。」
くそっ、聞かれてたか。
これは完全にちーちゃんの作戦勝ちだ。
「わかったよ。明日行くの?」
僕がそういうと、
「うん。明日。」
笑顔でそう答えた。
「あのさちーちゃん早く行かないと遅刻するよ。」
そして次の日 ディスティニーランドの前。
僕とちーちゃん2人で、入場ゲートの前にいた。
どうやってここまで来たのかというともちろん交通機関を使った。そして、それらの交通費とチケット代は割り勘で現在お金がない僕は、ツケということになっている。
開園まで5分前。
大勢の人が入り口で待っている。
「ねぇちーちゃん。僕本当にお金ないんだけど。」
現在の所持金3千円。昼食お土産その他諸々で絶対0円より以下になる確率が非常高い。
「大丈夫。もしなくなってもりょーくんが体で払ってくれたらいいから。」
「えっ?冗談だよね。」
怖いよ。
「フフフ。」
何がおかしいのか高い声で笑っているちーちゃん。
これは、なんとしてでも節約しなければ‼︎
開園。
チケットをクルーさんに渡してパンフレットをもらい、そのパンフレットを見る。
園内マップ、乗り物の情報、そしてイベントの案内を見ていると、
《10時より、ハッリーのワンマンショー》
「ねぇちーちゃんこれって本当に1人なの?」
「そうなんじゃない。」
えっ、何この大人向けのイベント。子どもに大人気とは?寂しくないか?
「それじゃあ、何か乗り物に乗ろう!」
ちーちゃんが楽しそうに僕の方を向いて笑顔で言った。
「そ、そうだね。」
それから僕たちは、1時間程乗り物で遊び
10時。
僕たちは、ある建物の中にいた。
「それでは、只今からハッリーのワンマンショータイトルは『ハッリーとハッニー』を上演します。」
クルーさんが、そんなことを堂々と言う。
「ビーー」
幕が上がる。
すると、そこには丸椅子に座ってるハッリーがいた。
「『やあ、僕はハッリー!みんなのことが大好きなハリネズミさ!』なんて、言っているけれど、本当は、僕は昔からの大親友ハッニーのことだけが大好きなんだ。」
急にそんな重い話から入っていく、ハッリー。
「『ねぇハッリー。これからも私たちずっと仕事仲間でいようね。』と言われて、まるで釘を打ち付けたように言ってくるんだー。本当はハッニーも僕のこときっと大好きなのに。」
おっと、激しい思い込みがハッリーにはあるようで。
「ねぇハッニー。そんなに僕のことを避けようとしているのはきっと緊張して近づけないんだろうなー」
激し過ぎないかその思い込み。
「ねぇハッニー。僕の前でキスをしていた男の子は多分従兄弟だからだね。」
激しいの域を超えている。
「ねぇハッニー•••••••」
それからもハッリーは、ずっとハッニーについて熱く語っていた。
目の前に座っていた親御さんが子供の耳を塞いでいた。
この話は子供には聞かせられない。
どうなってんだ、このテーマパークは。
そして、それを見ていたちーちゃんは『ウンウン。』と納得しておりこっちもどうなってんだと思った。
昼食。
ちーちゃんは、
「あのお肉屋さんが良い。」
そう言って指差したのは、高級料亭でとても清潔感のある店だった。
「いや、流石にちょっと無理。」
「えっーいいじゃない。」
ちーちゃんは押し切ろうとするが、
「いや、無理無理。お金ないんだから、もう少し安いところで。」
これって彼氏のとる行動なのか?
「別にいいじゃない割り勘だし。」
それがダメなんだ。
「わかった。じゃあハッリーとハッニーと一緒に食事出来るところでいい?」
ちーちゃんはそう提案するが、
「いや。もっとダメ。もうあの2人に会いたくない。」
「じゃあ、ここでいいわね。」
そう言ってちーちゃんは僕の腕を掴んで、高級料亭へと強引に引っ張っていく。
「いらっしゃいませ。」
店員がそう言い、
「2人で予約していた早乙女です。」
予約していたの!じゃあ、あの提案はまた作戦!
僕は、ちーちゃんの方へ向くと、「フヒッ」と鼻で笑っていた。
「こちらへどうぞ。」
そう言って店員は椅子を引き、僕が前に座ると押して座らせてくれた。
「ご注文がお決まりにまりましたらこちらのベルを押してください。それと、こちらがナプキンです。」
店員が白い布を2枚差し出す。
「ありがとうございます。」
こういうことには慣れているのかちーちゃんは、丁寧に応対していた。
「あのーこの布何に使うの?」
こういったことの知識が疎い僕が尋ねた。
「これは、膝に乗せるのよ。ほらこうやって。」
そう言って膝の上にナプキンを乗せた。
「へぇー」
そう言って僕も膝の上にナプキンを乗せる。
「何にする?」
そう言ってちーちゃんは僕にメニューを見せてきた。
1番安いの。1番安いの!
「この、『牛ヒレ肉のステーキマッシュルームを添えて』」
これだけで2千円は高すぎる。
「じゃあ私は、『最高級A 5ランクの黒毛和牛のステーキバターの風味』ね。」
「ん?ちょっと見せて。」
そう言ってメニューを見た。
値段は、7500円。
んーーー。
1人4750円
あれ?1750円足りない。
「ちょっと待って考え直さない?」
そう言った瞬間。
「チーン」
ちーちゃんはベルを押した。
お肉は美味しかった。だけどお財布には美味しくなかった。
「大丈夫よ。1750円後で払ってくれれば。」
畜生!割り勘は嫌いだ。
本当に疲れた。
今までみたいに1人がよかった。のだろうか?
この日を境に僕とちーちゃんの関係が崩れていった。
これ描くのに、2時間以上かかってしまいました。
いつもは30分クオリティーですが、話が長くなってしまいました。
“ディスティニーランド”や“ハッリー”や“ハッニー”に関しては、類似しているものがあればそれは、偶然です。
次回は、破局についてです。付き合っていきなり⁉︎となるかもしれませんが、一応付き合って1ヶ月経っているのでそろそろかなと思います。
そして、次回で第1章最終回です。
次が終わったらまた、「陰キャの日常」の第2章の始まりです。その間「陰キャの日常if」はお休みです。
それでは今回も読んで頂きありがとうございました。




