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陰キャの日常 if  作者: 陰キャ代表 if
第5章 秘めた想い
54/85

過去の日常

第58話 ~元凶~


私を変えたあの瞬間。

ちーちゃんを変えてしまったあの瞬間。

僕が、私が、人生を狂わせた。

________________________________________


私はいじめられっ子だった。

僕はみんなの人気者だった。

こども園での年長組での2人は接点などひとつもなかった。寧ろ対極の存在。

僕はみんなを楽しませて。

私はみんなにいじめられ。

お互いに接点がないように思えた。だけど、


ある日。

「おい、皇。」

そう言われて振り返る私。

そう呼びかけたのは、

けいくん。

名前は優しそうなのに中身はいじめっ子。

「何?」

一応そう聞く。

私を呼ぶとなる今までされたことはただ1つ。

「何?おまえわかっていないな。」

どこでそんな言葉を覚えてくるのだろうか。彼にも事情があった。

親が不仲であった惠くんの家族は、惠くんのお父さんが毎日のように惠くんのお母さんにDVを受けさせていた。それは保育園中に知れ渡っていることだけど中々家族の事情に首を突っ込むのはできなくて保育園側も咎めはしなかった。だけど、確実にその影響は惠くんにも現れていた。

毎日のようにDVを受けていた母親が育児放棄をし始め、惠くんもおかしくなり始めていた。

惠くんはお父さんのDVを目の当たりにして惠くんは真似してみたい。と思ったらしい。

その標的が私だった。

まず頰を叩く。

「痛い!」

パチンと悲鳴をあげる私の頰を見て惠くんは満足そうにしている。

次は握り拳で。

その次は、背中に痣が出来るまで叩く。

それをしている惠くんはどこか満足気になり手を離す。

「今日は、これくらいでかんべんしてやる。」

片言な言葉を言いどこかに消えていく。

つまり惠くんのお父さんはあんなことを毎日繰り返しているのだろう。

迎えに来るお母さんの様子を見るとすぐにわかる。

痩せ細り、顔色が悪い惠くんのお母さんは誰がどう見ても何か体罰を受けているとわかる容姿。

だけど誰もそのことを言わない。

何故なら惠くんのお母さんに何かを吹き込むと必ず自分に返ってくる。とわかっているからだ。

暴力を振るうお父さんが、お父さんにとって良くないことを吹き込むと絶対に惠くんのお父さんに暴力を振るわれる。と理解していたからだ。

だから、保育園側も何も言わずに惠くんの家族は一歩引いた存在になった。


ある日。

「稜駿くんおもしろーい!」

そう言って笑う女の子。

それにつられてみんな笑い出す。

1つ歳下の女の子が小さな手をパチパチと合わせていた。

ちょっと話をしただけなんだが、好評だった。

「稜駿すごいね。」

そう後ろから声をかけたのは寺野てらの。仲のいい友達だった。

「ぼく、そんなにすごいことしたかな?」

思った疑問を寺野に言うと、

「すごい。なんかよくわかんないけどすごい。」

まだ子供だった2人がそんな高度の高い会話ができるはずもなく、なんとなくの意思疎通。

「稜駿くんは、みんなに優しいからすごい。」

代弁してくれたのは1つ歳下の女の子、小鳥遊たかなし 羽咲はざき

良く執着してくる女の子だった。

「やさしいってどんなところが?」

「みんなを楽しませてくれて、みんなと同じ対応をしてくれるところ。」

5歳の子の回答とは思えないほどの答えが返ってきて、6歳の僕にも言ってることがよくわからなかった。

「へぇー。」

「なにいってるの?」

寺野は正直だった。

「稜駿くんの優しさを説いているのよ。」

「「?」」

この時からこの子はみんなと違っていた。

どうやら親から英才教育を施されていたらしい。

そんなこと言われても「?」となるだけなので話題を変えて、

「それよりも、これであそぼうよ。」

僕が指差したのはレンコンブロック。

創造力を培うのに最適なおもちゃだ。

それを3人で遊ぶと•••

小鳥遊さんがレンコンブロックでとてつもない豪邸を作り上げた。

「すごーい。はざきちゃん。」

「えへへ。そう?」

そう言うと答えたのは

「うん。すごいとおもう。」

寺野だった。

寺野が言うと小鳥遊はムスッとした顔で寺野を睨む。

今思えば、小鳥遊さんは天才だった。

なんでも難なくこなしなんでもできちゃうすごい人だ。

この時から小鳥遊さんの感情は大人だった。

みんなと仲が良く誰とでも仲良くなれる小鳥遊さん。そんな小鳥遊さんは近頃、様子が変だった。


惠くんによるDVは日を追うごとにエスカレートしていく。

誰かに喋ると殴られる。

そんな束縛が私を縛る。

どうして、私がこんな目に遭わなきゃならないの?

惠くんのお父さんを見様見真似でDVをする惠くんは、私と惠くんのお母さんもこうして親子2人からDVを受けている。

だからといって保育士は私を気にしない。

元々、おっちょこちょいな一面もある私はまたドジ踏んで何かやらかしたのだろう。という程度に過ぎなかった。

背中の痣は服で隠され、親と一緒にお風呂に入る時も、変な躓き方しちゃって。等の言い訳をする。

みんな私を気にしない。

そして、惠くんのお母さんも気にされない。

私と惠くんのお母さんはほぼ一心同体。

みんなから無視され、見放されて。


小鳥遊さんは、無口になり始めた。

最近はみんなとだんまり。

英才教育の影響かなんなのかよくわからないが、椅子に座ってずっと黙り込んでいるだけ。

保育士は心配していたが、小鳥遊さんが「大丈夫です。」と言っており保育士もソワソワしているだけ。

心配すべきところはたくさんあるものの放っておいてと言われているので放っておくべきなのだろうが、この時の僕は放っておかない性格だった僕は訳を聞こうと思って小鳥遊さんのところに行った。

「はざきちゃん。」

そう声をかけると、小鳥遊さんはこちらを振り向き、少し目を見開いた。

「はざきちゃん。だいじょうぶ?」

そんな言葉しかかけられない6歳児。

「本当は大丈夫じゃないんですよ。近々、引っ越すことになって、落ち込んでいるのです。」

「?」

この時の僕からしては何を言っているのかサッパリだった。

「えっと、要するにここから離れることになったのです。」

「はなれちゃうってどういうこと?」

「いなくなるんです。」

「•••」

この時の僕はどうすることも出来ない。

どう返事したらいいのか。

どう見送ればいいのか。

そんな思考には到底及ばなかった。

「バイバイ。」

ただそれだけを言った。


暴力は休むことなく受け続けた。

逃げ出しても意味がない。

受ける暴力の数が増えるだけ。

だけど、束の間。

今日も少し影になっているところで、惠くんと私は殴られている最中。

「えっ•••。」

見つかったのは保育士ではなかった。

それは、私の1つ下の小鳥遊さんだった。

「何、してるのよ。」

嘘?

惠くんはあたふたしていた。

こんな状況は今までなかったのだろう。

惠くんのお父さんがこんな状況下に置かれたことがないのだろう。

だから惠くんはどうすることもできない。

お手本がいないから。

私と惠くんのお母さんが一心同体だったのがパックリと割れた。

唯一の分岐。

惠くんのお母さんとの差。

それが何より嬉しかった。

「助けて!」

私はそう叫んだ。

惠くんは止まったままで動かない。

もちろん、小鳥遊さんは助けてくれた。

と言っても私の腕を引っ張って惠くんから引き剥がしただけだけど。


小鳥遊さんが奥に行ってしまう前にビンタされた。

悲しみが混じったビンタ。

到底そんなの気づくことなく。

ただ痛いと言うだけの感情が僕を回った。

なんで叩くの?

と聞く前に小鳥遊さんは奥へ行ってしまった。

少し迷い、小鳥遊さんを追いかけることにした。

小鳥遊さんを追いかけると、そこには•••


小鳥遊さんを追いかけるようにして来たのは•••


•••皇さんだった。

•••鈴木さんだった。


今まで静止していた惠くんが突然私を掴み、ビンタした。


それをただ傍観する僕と小鳥遊さん。


「皇!言うなってあれほど言っただろ!」

お父さんの模範通りに言うその言葉。


「ちょっと、待ちなさいよ!」

そう言う小鳥遊さん。


理解ができない。僕たち、(私たち)2人はどうすることもできない。


そして、小鳥遊さんと惠くんの口論が始まる。

圧倒的に有利な小鳥遊さんだけど、お父さんの言葉をそのまま言う惠くん。


そして2人の口論は過激化していく。

よくわからない言葉を連ねていく小鳥遊さん。

今にも暴力を振るいそうな惠。


誰も気づきもしないこの暗闇の中、僕は(私は)皇さんと(鈴木さんと)逃げ出した。

理由なんてわからない。

わからなくていい。

だけど、その時は気づかなかったが今になってわかることがある。

小鳥遊さんは(惠くんは)僕のことを(私のことを)好きだったってことが。


あの逃げ出した時、私の人生は狂った。


あの逃げ出した時、僕は早乙女さんの人生を狂わせた。


今の状況について説明させてください。

どうしてこんなに汗が吹き出ているのに小説を書いているのか。

よくわかりません。

何故、海にいるのに陸で小説を書いているのでしょうか。

泳げないからです。

あと海は嫌いだからです。

じゃあ何故海にいるのかって?

よくわかりません。


とまぁ今の状況はさておき、とうとう2人の過去が明かされました。

(といっても次回もちょっとだけ過去の話ですが•••)

どうでしたでしょうか。

最後の方は2人の会話が混ざりごっちゃになった人もいるかもしれませんが、ご了承下さい。


次回はあの過去の後半+早乙女による監禁です。


それでは、読んでくれてありがとうございました。

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