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陰キャの日常 if  作者: 陰キャ代表 if
第5章 秘めた想い
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する日常

第53話 ~したいこと~


僕は自転車に鍵をかけて、自宅の鍵を開けて自宅に入る。

自宅の時計が指す時刻は午後5時。

いつも母親が帰ってくる時刻は早くて7時遅くて9時程度。

あと2時間は暇な時間ということだ。

何をするわけでもなく、お弁当箱を洗い、お風呂の掃除と湯沸かしをしてサッとお風呂に入り疲れを癒して、自室に戻ると寝た。

今日は疲れた。

それが僕を眠りへと誘う。

現在の時刻は6時30分。

あと最低でも30分は寝られる。


「稜駿。いつまで寝てんの!」

身体を揺らされる。

意識が覚醒するとそこにいたのは母親だと気がつく。

「おはよう。」

僕がそういうも、

「もう9時回ってるわよ!何してたのよ?」

「今日は疲れたから。」

「そういえば、前も寝ていたわよね。」

「アレも疲れてたから。」

「あまり無理しない方がいいわよ。さぁ、ご飯にしましょ。」

そう言ってリビングに行くと夕飯は既に完成しており時刻は9時30分だった。

母親はこの30分で夕飯を作ったようだ。

だからまだ服装もスーツ姿のまま。

「いただきます。」

「召し上がれ。」

特に凝った料理ではなかったが、美味しかった。


夕食を食べ終えると、母親は湯を追いだきしてお風呂に入り僕は、リビングで録画していた深夜アニメを見まくること1時間。

「はぁーいい湯だった。」

普通の水道水で喜ぶ母親。

化粧水か何か塗っているためか顔がテカテカしている。

「営業って顔が命?」

「何よ急に?顔?•••まぁそこそこ。あんまりみないでよ。」

「40代のおばちゃんがいうことじゃないでしょ。」

「あんたねー。からかってるでしょ。」

「からかってないと言ったら嘘になる。」

「次言ったら怒るからね。」

どの家庭の母親も怖いものだと思う。

もちろん僕の母親も怒ると怖い。

ただ僕の母親はなんでも1回目は許してくれる。

『人は過ちをするものだ。』

それが僕の母親の理念なのだろう。

だからなんでも1回目は許してくれる。

だからそれを使ってからかう時もあれば2回目を言ってしまい激昂させてしまった時もある。

「あまり調子に乗るんじゃないわよ。」

「わかってるよ。」

「ちょっとした罰として洗濯物の取り込みと干すの頑張ってね。」

時にはこういうことになることもある。

「本当に僕が?」

「当たり前でしょ。からかったんだから。あっ洗濯物をはもうカゴに入れておいたから。」

「当たり前って。それに手際がいいね。」

「準備が必要なのよ。それにお母さんに歯向かうの?」

そう言って腕を組む。

これは、怒る寸前の態度。

「わかったよ。やる。」

「お手伝いはしなきゃね。」

「はぁー。」

「溜息吐いても洗濯物を取り込んで干さなきゃならない事実は変わらないんだから。ほら早く。」

「わかったよー。」

面倒そうに言うがそれ以上は言及してこなかった。

つまりとっととやれ。と言う暗示だろうか。

ベランダは幸い自室ともう一つの部屋から出入りすることができるので、洗濯物をもう一つの部屋に畳んでおいてそこから洗濯物を干して直接ベランダから自室に戻ればいい。


それを実行していると•••

いつものように2軒先の家の人が月を見て何かを願っていた。

もちろん家の人というのはちーちゃんのことだ。

毎日、ほぼ同じ時刻にこうして祈りを捧げている。

一体、何を願っているのか?

それとも、何かカルト的な習わしなのか。

考えれば考えるほど頭が混乱していく。

だが、僕はそれを無視して洗濯物を取り込む。そしてそれらを畳み終えると次はカゴに詰まった衣類を干す作業。

だが、

『ガーン•••』

高い音が聞こえる。

洗濯物を吊り下げる鉄棒とハンガーがいい具合にぶつかってその音を重複させる。

すると、今まで黙って何かしていたちーちゃんがこちらを振り向く。

そして、僕と目が合うと手を大きく振り上げる。

こんな真夜中に声を上げるわけにもいかず、ちーちゃんはジェスチャーで道路を指差した。

言いたいことはわかる。

『外で話しましょ』

そう言いたいのだろう。

だが僕にはやらなければならない仕事がある。

僕は衣類の一つを持ちそれをハンガーにつけてそれを鉄棒に引っ掛けてそれを指差す。

要は、『洗濯物を干す続きがあるから』

そう言いたかったのだが、ちーちゃんは腕を大きく広げてバッテンの字を作る。

それが意味しているのは、『わからない』か『しなくていい』だろうか。

しなきゃダメなんだが。

そう思っているとちーちゃんはベランダから姿を消した。

部屋に戻ったのだろう。

そうして、僕は引き続き洗濯物を干す。

すると数分後。

『パチパチ』

外から手を叩く音が聞こえた。

僕は外を見ると、

パジャマ姿のちーちゃんがいた。

そしてちーちゃんは手招きをする。

どうやら『早く来い』と言っているようだ。

流石にちーちゃんをあんなところに放っておくのは気がひけるので外に行くことにした。

だが飛び降りるわけには行かず僕は、階段を降りて廊下に出てそっと扉を開けて外に出た。


外へ出るとちーちゃんは僕の家の目の前まで来ていた。

「遅かったわね。」

「そんなことないと思うけど。」

僕は最速のルートで外に出たはずなのだが。

「そう?まぁいいわ。そんなことより奇遇ね。ベランダでばったり会っちゃうなんて。」

これは、ちーちゃんのしていたことを問うべきなのか。

いや。やめておこう。

「たまたま洗濯物干してただけだけどね。」

「それでもすごいよ。こんなタイミングでまるで運命みたい。」

運命なのか?

毎日毎日見ていたわけではないが、ちーちゃんは毎日外に出て何かしているような気がする。流石に雨の日はどうかは定かではないが。

「運命かー。」

「どうしたのりょーくん?」

「いや。別に。」

「そう言うってことは何か思っていることがあるんだね。」

ちーちゃんは顔を近づけ僕の顔色を伺う。

近い近い近い!

誰かが勢いよく押せば唇と唇が重なるくらいに。

「特に悩んでいないよ。」

「ほんとうにー?」

疑いの眼差しで僕を見るちーちゃん。

「ほんと。ほんと。ほんとに悩んでないから。」

「そう。じゃあ質問を変えるね。私はりょーくんと会うまでベランダで何をしていたでしょうか?」

ここで、ちーちゃんが直球で聞いてきた。

「願ってた?」

可もなく不可もなくという答えを導き出すが、

「じゃあ、何を願っていたでしょうか?」

「冬休みが早くきて欲しい?」

ありがちなことを言うと、

「全然違う。休みなんて関係ないよ。」

「じゃあヒント。」

「りょーくんが関係してるよ。」

はい、答えがわかりました。

だが答えたくない。

言うのが恥ずかしい。まさか僕に会いたいから願っていたとしたらその後の受け答えが行き詰まるだけだ。だから、

「わかんない。降参。」

「降参はなし!」

ここでまさかの追加条件を言いさらに僕を追い込んでいくちーちゃん。

その気がなくてもその気があるととってしまう。

「じゃあもう一度ヒント!」

「りょーくんと何がしたいでしょうか。」

何がしたい?

まさかの僕の予想とは違っていた。

会うをしたい。なんて言わない。つまりそれ以外のことで僕としたいこと。

そういえば前にこんなことを言っていた。

だが、僕も年頃の男子。変な想像しか頭に浮かばない。

「えっと、その。」

「うん、その?」

「例えば(キス)とか?」

僕はキスの部分を口パクで喋った。

そうなるとちーちゃんはその部分が聞こえなくてもう一度と催促する。

「(キス)」

また口パクでまた言うが、僕の口の動きを読み取ったちーちゃんは、

「き、す、?あぁー、キスか!」

「ち、ちがっ」

たしかにキスと言ったが『やっぱりなし精神』(=嘘)で否定する。

言われると恥ずかしくなるものだ。

「そっかー。りょーくんは私とキスがしたいんだね。」

「違う。そんなこと言って–––」

「私はもっと違う願いだったんだけどな。でもりょーくんがしたいのなら私は喜んでしてあげるよ。」

そう言って先ほどし近づけた顔よりもっと顔を近づける。

すると、上から何かが降ってきた。

目を逸らしていた僕には、それが見えてこのままだとちーちゃんにぶつかる。そう思って僕はちーちゃんを押し倒した。

するとその何かは僕の背中に落ちる。

少し濡れているもの。

僕の家で使っている衣類の柔軟剤の匂いがする。

それはただの干すつもりだった長袖の服だった。

だがそれよりも問題があった。

押し倒した反動で倒れこみ、ものすごく近かったちーちゃんの唇が僕の唇と触れていた。

僕は飛び上がる寸前でちーちゃんに抱きしめられた。

柔らかなちーちゃんの唇があたる。

ちーちゃんの体温を感じる。

そして僕の手の感触には柔らかなちーちゃんの胸の感触があった。

どうやら、アレはしていないようだった。

だからパジャマ1枚だけが隔てる状態。

だからちーちゃんの心臓の鼓動まで感じる。

テンポの速い鼓動。

ちーちゃんも緊張しているようだ。

そう思うと離れるに離れなれなくて。

緊張しているのに、どうして。

抱きしめが終わると、ちーちゃんはこう言った。

「りょーくんのえっち。」

抱きしめが終わったにもかかわらず僕はポカーンとしていたため、僕は未だにちーちゃんの胸を触ったままだった。

「あっ!あぁー‼︎ご、ごめん。」

僕は手を挙げた。

拳銃を向けられた人がするようなポーズになった。

だが最後まで感じた。ちーちゃんの速い鼓動。

「緊張してる?」

僕は恐る恐る聞いてみた。

「緊張なんてしていないわよ。」

嘘だ。

「じゃあ、なんでちーちゃんの心臓の鼓動はそんなに速いの?」

「これは、好きな人にキスされたらそりゃあ心臓の鼓動も高くなるでしょ。」

たしかに僕も光莉とまだ付き合い始めて間もない頃、僕の心臓はドキドキしていた。それと同じなのだろうか。

「じゃあ、私そろそろ帰るね。おやすみ。」

「うん、おやすみ。」

そうして僕たちはお互いの家に帰った。


玄関開けると、目の前には母親がいた。

「外で何していたの?」

まさか、みられたわけじゃ!

「ベランダから服が落ちたから拾いに•••」

落ちてきた長袖の服を言い訳にすると

「えっー!汚れてないわよね!」

そう言って長袖の服を奪い汚れていないか確認する。

「汚れてないよ。たまたま自転車の上に乗ってたから。」

「そう。じゃあ最後までよろしくねー。」

「はぁー。」

そして、ベランダに行くと、

「にゃー」

先日もいた黒猫がいた。

「まさか、お前が服を落としたのか?」

そう言うと、

「にゃーー」

少し高めに鳴く黒猫。

まるではい。と肯定するように。


次回は、また学校です。


それでは読んで頂きありがとうございました。

(えっ、後書きが短い?いえ、そんなことありません。)

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