吸血鬼
「健斗君、ここから何があってもおかしくないから気を付けてね」
「確か吸血鬼の試作品との戦闘だったか?ある程度は知っているから問題ない、無論お前のこともな」
「私達は初対面の筈だけど?」
きょとんとする女性
「……そうだったな…」
俺は溜息混じりに返答する
何故こんな言葉が出たのかは俺にもわからない
「まさか……な」
蚊の鳴くような声で呟く
「?…まぁ、御名答よ、試作段階だから君でも倒せる筈だけど…無理だったらまぁその時はその時よね」
「……さぁ、どうなるかは俺も分からんな」
曲がり角を進むと突如、銃声と共に弾が飛んでくる
俺はそれを紙一重で避けると飛んできた方向を見る
ドイツ軍の軍服を着ている、男が立っていた
顔を見る限り目は紅のように赤く、八重歯は尖っている。
「いきなりだけど、健斗君、出番よ?彼等に普通の弾は効かないからこの銃と弾を…」
女性が懐から銃を取り出そうとするが俺はそれを止める。
「銃ならある、問題ない」
「そう……それじゃあ後は頑張ってね?」
女性はそう言うと影に消える。
「ったく……面倒だな…」
吸血鬼の方に向き直り、構えを取る
「!!!!」
「ふんっ!」
俺は吸血鬼のパンチを受け流し、その勢いを生かして地面に叩け付ける
「……こんなもんか」
起き上がろうとする吸血鬼を踏みつけ懐の拳銃に銀の弾丸を装填する
「俺は…今回で終わらせてみせる……どんな無残な結果になろうとも…」
吸血鬼の頭に銃弾を撃ち込む
そうして静寂に包まれた路地の奥へと歩みを進める




