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番外 魔族領のとある変人兵士


 かなり長めです。





 この世界はクソである。そう理解したのは随分幼い頃のことだった。


 ヴォルケーノ大陸第九魔族領ノックス。僕が生まれたのはそんな辺鄙な場所だ。

 “ノックス()”という名にふさわしく、その都市は入り口以外が地下に存在する。初代勇者に消し飛ばされたのは地上に存在するもののみで地下には影響が及ばなかったから、跡形もなく消えてしまった魔王城に代わる次の城が本来ならば建設される予定だったそうだ。だが当時の建設関係の技術者も消し飛ばされ、とてもじゃないが地下なんて場所に魔王を住まわせるに足る城を建てることはできないとなり、その結果中途半端に取り残された場所がノックスだった。

 人が住めるよう色々と術式が組まれた便利な結界こそあるものの、空から一番遠いこの場所は街も人の雰囲気も薄暗く陰湿で鬱屈としていた。だからここで生まれた者はみなノックスから出て他の都市に住むことを一度は夢見る。だが他の都市に行ったところでノックスなんて最下のモルテよりはマシというだけの田舎にすぎない。そしてノックスやモルテ以外も特別栄えているというわけではない。というか地下にないという時点でモルテの方がマシである。夢見た外の現実を知って、一度は出て行った者たちも結局は戻ってくる。ノックスはそんな場所だった。


 だが僕の母は、そんな話を聞いても夢を捨てきれない人だった。



「お前だけが頼りなんだ。大きくなったら私を楽させておくれ」


「楽?」


「そう。お前は大きくなったら魔王城に勤めて私をクルールに住まわせるんだよ」



 そう何度も僕に言い聞かせてくるのは僕を生んだ母親。

 他種族よりも出生率の低い魔族では同年代は本当に少ない。兄弟が生まれても百年以上年の差があるのが普通だった。だが母とその姉は珍しいことに二十年ほどしか離れておらず、母は姉に強い劣等感を抱いている。その姉の子、つまり僕にとって従兄にあたる人が最近魔王城勤めになり、一家丸々ノックスを出て第一魔族領クルールへ移住することになったのがよほど悔しかったらしい。元々あった外への憧れがさらに増し、一人息子にも向けられるようになった。

 よくもまあ自分の腰ほどしか身長がない自分の子どもを相手に身勝手な願望を押し付けられるものだ。我が母ながら呆れてしまった。


 確かにクルールはノックスに住まう者たちの最後の希望なのだろう。今のところ王城勤めの家族が住まうクルールに移住してノックスに帰ってきた者はいない。よほど住み心地の良い街なのだろうとノックスの大人たちが噂していた。

 だが僕はクルールに移住した従兄と仲が良く、魔法で文通をしていたために知っている。クルールという街は大きな鳥籠にすぎないということを。城勤めの者が逃げ出さないよう、仕事を全うするように街一つに閉じ込めて家族を人質にとっているのだ。それを知らずに姉への劣等感から僕を城勤めにしてクルールへの移住を夢見る母は滑稽でしかなかった。


 とはいっても僕も一生をこのノックスで終わるのは御免だし、僕と母の利害は一致しているため僕は城勤めを目指すことにした。僕はノックスの街に唯一ある太陽の光を入れる穴からわずかに見える空が大好きだ。母の望みがこの街から出ることだとするのなら、僕の望みはあの綺麗な空を見て死ぬことだから。あの空を見ながら死ねるなら、僕は自分を産んだ母の望みさえもどうだってよかった。


 ときに、庶民から城勤めになるには種類がある。

 才能を見出され魔王家に連なる方へ生涯仕える者、侍女や執事として城の細々とした雑務をこなす者、兵士としていつあるか分からない戦争に備え城やクルールの警備をする者の三種だ。

 その中でも魔王家に連なる方へ生涯仕える者は僕には難しいので除外だ。選定方法が王家直々のお呼ばれであること、そもそも王家が見ている前で自分の能力を発揮する機会がないので仕方がない。庶民でも機会がまったくないわけではないが、その方法で選ばれるのは主に生まれながらに苗字を持つ俗にいう貴族様くらいだろう。というかそもそも僕には吐出した才能がない。

 残りは執事か兵士かだが、僕が選んだのは兵士だった。



「まさかお前も王城に来るとはな」



 母の望み通りに城勤めになり、クルールへと引っ越した僕たちは、慣れるまでは先にクルールに住んでいた伯母家族の世話になっていた。母は嫌そうな顔をしていたが伯母家族が歓迎してくれるのは嬉しいみたいだ。

 そして従兄と同じく兵士として魔王城へ入った僕には教育係として従兄が付けられた。随分前に兵士となっている従兄は今はとある貴族の方直属になっているらしく、他の兵より融通が利いて時間があるそうだ。



「叔母さんの夢叶えるなら執事でも良かっただろ。兵士の方がいい理由があんのか?」



 城内の案内をしながら僕に聞いてくる従兄の目には、わずかに非難の色が宿っている。

 不器用だから繊細な魔法が苦手な従兄がわざわざそれを使って僕にクルールの闇を教えてきたのだ。僕には魔王城勤めをしてほしくなかったのだろう。



「空が見たかったんだ。何にも遮られない空、どこまでも続く空を生涯見ていたい。ノックスでそれはできないから」



 執事だとどうしても仕事が屋内に偏る。その点兵士ならばクルール門番をはじめとした外の仕事が多い。

 そう答えると従兄は目を瞬かせ、そして破顔した。



「そうか。んじゃ、あらかた案内し終えたし、次は見晴らしのいい屋上に行くか!」


「うん!」


「誰でも入れるから身分の高いお方もいらっしゃるかもしれない。挨拶だけはきちんとしろよ」



 その屋上で僕は従兄の上司の貴族様のさらに上の人、サラン殿下に出会う。それは限られた穴から眩しい空を初めて見上げたときと同じくらいの衝撃だった。

 そのお人は輝かしい金の髪を風にたなびかせて、少し難しい顔で空を見上げていた。



「サ、サラン様!?」



 ひっくり返った声の従兄に続いて跪き同じように首を垂れる。



「ああ、君はカロンのところの子だったね、こんにちは。隣にいるのは新しく入った子かな?」


「は、はい。私と同郷の従弟でございます!」



 その日は雲一つない綺麗な青空だった。だから、太陽に反射してキラキラと輝く金の髪が良く映えた。



「書類作成が面倒でね。つまらなくて、勤務中だけど空を見たくて抜け出したんだ。頼むからカロンには内緒にしておくれよ?」


「はっ!!」



 サラン様はそう言って悪戯っぽく笑う。

 こんなにも青空の下が似合う人を初めて見た。



 ほどなくして、サラン様は魔王となられたナルサ様と決別し、魔王城どころか魔族領から追放された。

 あとで聞いたのだが、僕が採用された時期は先代魔王様が後継を決めずに崩御されてサラン様とナルサ様が後継者争いをしていたらしい。だからそれまでよりも兵士の採用人数が増えていたそうな。僕が兵士として採用されたのもそのおかげだろう。兵すら二分するほどに派閥同士が小競り合い、後継者争いが激化していたそうだが、興味ないから知らなかったな。



 サラン様が大陸を追い出されてから、魔王城は少しばかり様子が変わった。

 まず、魔族領の行く末を決める十魔会議の面子が戦闘力優先になった。先代までは戦闘力はともかく各領地を治める立場になることを考慮して十魔会議のメンバーを制定していたというのに。今までならアウルム様が数字持ちに選ばれることは絶対になかった。今代の魔王ナルサは他種族に戦争でも仕掛けるつもりだろうか。そう城では囁かれていた。

 そして、サラン様に賛同する者は全員魔王城より追放された。一度はその実用性あるスキルから見逃され第七位の地位を与えられた従兄が仕えているカロン様も例外ではなく、そしてそれに仕える従兄も追放を余儀なくされる。おそらく城内の半数近くが解雇されたんじゃないだろうか。

 どこの派閥に属することもなく空が見れる場所をフラフラしていた僕はその煽りを受けることはなかった。はじめこそ従兄に教えを受けていたが、それ以降はプライベートでも付き合いがなかったのはこのためだったのかもしれない。



「君、俺たちのスパイになってくれないか? ここにいる俺たちと違って君はサラン様との接点がない」


「はあ」



 カロン様がクルールを含めた主要都市から追い出されることが決定し、従兄が魔王城を追放される前に密かにカロン様に呼び出されたと思えば、そんなことを言われた。

 僕はただ首を傾げる。



「もしかして、カロン様はナルサ様に反旗を翻すおつもりで?」



 その瞬間、従兄を含めた周りの兵から武器を向けられる。兄弟も同然に育った従兄に殺気を向けられたのは初めてだ。ちょっとショックだった。

 カロン様は兵たちを止めることも僕の質問に答えることもなく微笑む。



「……君は利口だ。すぎるほどに」



 そこでようやく僕の言葉が何か誤解を生んだことに気付いた。人間関係をあまり構築してこなかったせいかこういう駆け引きに僕は弱い。もっとはっきりと言ってほしい。



「何か勘違いしていらっしゃるようで。僕はナルサ様も魔族の行く末もどうでもいい。でも……」


「でも?」


「あなたについて行けば空を見ながら死ねますか?」



 見上げても、室内であるここで見えるのは空を模した天井だけ。魔族の姿をし、翼が生えたなにかが描かれているがそれは邪魔なだけ。なんで空に太陽と雲以外を描くんだろうな。何ものにも邪魔されない空が一番美しいのに。

 カロン様に視線を戻すと、従兄を含めた兵たちが武器を下ろしていた。どこか唖然としたような雰囲気に釈然としない心地を抱えながらもカロン様を見る。



「まったく、君は噂に違わぬ変人だな。確約はできないがそれでも君の願いを叶えられるようにしよう」


「では私はあなたに忠誠を誓います。それが貴方やサラン様のお力になれるのなら喜んで」



 あの空に映えるお方をもう一度見れるのなら、喜んで。

 それより噂に違わぬ変人とはどういうことだろうか。確かに最近では空を見ていると上司にも呆れた顔をされることが多いけど。



 だがスパイと自覚がありながら、僕にカロン様から指示が来ることは何百年もなかった。



「え? ラティスネイル様からナルサ様へ謁見の申し込み!?」



 それなりに昇進し部下も増えて充実していたある日、そんな指令が初めて従兄から僕のもとへ届いた。なんで実の父親と話すのに謁見なんて遠回りな方法をとるのかと思えば、勇者一行も一緒らしい。納得した。



「ああ。モルテにいるカロン様からの指示だ。まだ今のお前の地位では難しいミッションだができるか? 無理そうなら別の手を考える」


「もちろんやるよ」



 今の僕の身分では魔王様への直接の取り次ぎすらできない。だが緊急時なら話は別だ。



「ご職務中失礼いたします! 至急お耳にお入れしたいことが!」


「うん。何かな」


「それが……ラティスネイル様よりご連絡がありまして、ナルサ様への正式な謁見の申し込みです」



 その日城門勤務だった僕は城門の前でラティスネイル様にそれを伝えられたという設定だ。

 事実、ラティスネイル様とは門番のときによくお会いしていたし、父親であるナルサ様よりもサラン様に似てよく空が似合う人だから僕としても好感度が高い。古くからいる兵ほど彼女を避けるけど、僕はそういうのを気にしないからラティスネイル様も僕を気に入っていたのか、他の兵士へのいたずらを手伝ったりもしていた。だから僕が伝言を携えてきたことについて疑われることはなかったようだ。

 ナルサ様が謁見の申し出を受け入れると聞いたあと、怪訝そうな顔のノレン様の視線を見ないようにしながら僕は退散する。一兵士としては出過ぎたことを言ったのは僕なりのかく乱のためだ。ナルサ様を気遣うことで万が一にも僕とカロン様を繋げないように。後ほど報告した従兄には危ない橋を渡るなと苦い顔を指せてしまったが。心が読めるダリオン様があの場に居なくて本当によかった。



 そして、一週間もしないうちにその日がやってきた。



「元第七位カロン・クロネル様のご謀反!! ご息女ラティスネイル様及び今代勇者一行が現在魔王城謁見の間にて交戦中!」



 平和で長閑な魔王城にふさわしくない激しい戦闘音に耳を澄ませば、他の兵の報告から聞こえるそれに僕は手にしていた報告書を投げて急いで謁見の間に駆け付けた。他は非戦闘員の避難に忙しいようで駆け付けたのも僕一人だけだ。



「ラティスネイル、マスターたちはこっちへ!」



 既に遅かったのか、戦闘があらかた済んだその場で見知らぬ青年がカロン様へ声をかけるのを見て僕はためらうことなく見知らぬドラゴンの背に飛び乗った。

 先に棘にしがみついていた従兄がぎょっと目を見開き、カロン様が満足そうに微笑んだのが見える。やっぱり、僕に決行日を伝えなかったのは従兄の独断か。



「お前……!?」


「仲間外れはダメ。大丈夫、兵士になった時点で色々と覚悟はしてるよ」



 黒い鱗の見知らぬドラゴンは先に空いていた穴から城を抜け、さらにはクルールさえも通過する。たぶんこの子は誰かの従魔だな。普通のドラゴンなら鱗を触れば手を傷つけるのに、この子は乗っている人間を傷つけないように鱗を閉じているし、飛び方も丁寧だ。

 門を抜ければ結界に遮られない自由な空が待ち構えていた。クルールの外に出たのは移り住んで以来初めてかもしれない。



「殿が必要だな」



 ドラゴンの背を飛んでしばらくして追ってきた騎竜兵にカロン様がそう呟く。ただの兵であればこのドラゴンで飛べば追いつかれないが、騎竜兵は誰かが残って相手をしなければ逃げ切るのは難しい。

 合図されたそれに僕は力強く頷いた。


 魔族は、人族とそれほど変わらない。違うのはその莫大な魔力量と魔物を従える能力。魔族はその力を使って魔族は魔物を調伏し他の種族が持たない空飛ぶ兵とした。それが騎竜兵だ。ちなみに魔族軍の花形であるため大変な人気職で、選ばれるのは限られた者だけ。僕は幸運にも竜に選ばれた一人だった。

 指笛を吹いて僕の魔物を呼び出す。この世界で僕の半身とも言える唯一の一体。ずっと空を見ていたいと言った僕に魔物ながら賛同してくれた相棒。

 ラティスネイル様と勇者パーティーの人族が驚く中、ここまで乗せてくれたドラゴンの背を撫でて相棒に空中で飛び乗った。



「ねえ相棒、一緒にこの空の下で死んでくれる?」



 飛行中の強い風の中、相棒の力強い声が耳に届く。

 僕に弓や魔法の才能はない。ただ、翼竜を乗りこなす才能は誰よりもあった。



「僕は操縦に集中するから振り落とされないように頑張ってね」


「誰に向かって言っているんだ? ん?」



 相棒の背でにやりと笑った従兄と拳を合わせる。

 最後にカロン様が相棒の背に飛び乗るのを確認して、僕たちは旋回しクルールから次々と来る騎竜兵たちに向き直った。何かアクシデントがあったのかはじめこそ一体しか追ってきていなかったがその後の立て直しは見事だ。伊達に何百年も兵をしていない。

 あのドラゴンが雲に入って追手を撒くまで単騎で持つだろうか。



「カロン様!? カロン様は残られた方が……!」


「いいや。ラティスネイル様がいらっしゃる今、古い者がいつまでも残っているのもな。あとは若い者に任せるさ。お前たち、悪いが俺と一緒に死んでくれ!」


「はっ!!」



 殺気立った元仲間から怒号が飛ぶが僕は気にすることなく相棒と息を合わせることにだけ集中した。僕の頭の上で矢や魔法が飛び交う。極力避けるように飛んでいるが相手の数が数だから囲われないように飛ぶので精一杯だ。


 結局は僕も母と同じ穴の狢だった。ノックスの穴からわずかに見える空に焦がれた僕と外の世界に憧れた母。いったいどちらが愚かで自分勝手だったのか。きっと母は裏切り者の家族として処刑されるか、クルールを追い出されてしまうだろう。でもどうか恨まないでほしい。僕と違ってあなたの叶えた夢は自分の力で得たものではないのだから。



「っ右だ!!!」



 まだ生き残っていたらしい従兄の声に反応して右を見れば、他の翼竜の間を縫うように死角から騎竜兵が一騎、顎を開いてすぐそこまで迫っていた。



「相棒!!」



 相棒に声をかけるがすでに遅く、その喉に牙が突き刺さる。その衝撃に従兄が振り落とされ、空中に投げ出された体に魔法と矢が突き刺さったのが視界の端に見えた。血を噴き出し叫び声を上げて身をよじる相棒に、その喉に噛みつく翼竜はさらに力を込める。



「裏切り者共め!! 報いを受けろ!!」



 顔を上げると、翼竜側の背に騎乗している兵がそう叫んで魔物のような形相でこちらに乗り込もうとしていた。いつもは穏やかな上司だったのに戦いになるとこんな顔をするんだな。僕も今は同じ顔をしているのだろうか。

 既にこちらの背には僕とカロン様くらいしか残っていない。なら、少しくらい無理したっていいだろうか。



「相棒! ターン!!」



 上司の足が相棒に乗る直前に、苦しんでいる相棒に指示を出す。指示通り動けるかどうかは賭けだった。こちらを睨みつけて足元に気を配っていなかった上司は相棒がすでに動けないと思っていたのか、僕の合図で噛みついたままの翼竜と共に一回転する際に足を滑らせ落下していった。

 飛び慣れていても空中で一回転しているの翼竜の背にしがみついているのは難しい。僕やカロン様がまだ背にいるのは火事場の馬鹿力のようなものだろう。

 だがそれもいつまでも続くわけではない。



「……よく、やった」



 おそらく相棒を操縦する僕を守るために身を挺して盾になっていたカロン様は、そう言って相棒の背から滑り落ちていった。カロン様が落ちた瞬間、僕の背にいくつもの攻撃が着弾し、同時に相棒は辛うじて動かしていた翼を止めた。



「ああ、もう終わりか」



 回転しながら落下していく相棒の翼の中で呟く。体中が今まで感じたことないくらい痛みを発しているし、視界もどこかぼやけているような気がした。おそらく地面へ衝突する前に死ぬだろうなこれ。



「……まあでも、悪くない最期だったね。おやすみ相棒」



 既に絶命した相棒と共に地面へ落ちていく最中、あの日ノックスで初めて見たように相棒の翼の隙間から見える綺麗だけど限られた空を最後に、僕の意識は完全に途絶えた。


 世界はクソだったけど、それでも僕は一人の人間として生き抜いた。なら僕はそれで満足だ。

 ただ、もし次に人間に生まれるなら何百年も生きるの面倒だから魔族以外がいいなぁ。





 当初の予定では屋上で会うのはサランじゃなくてカロンの予定だったんです。

 青空の下を想像したらサランがなんか突然出てきた。なんだお前。

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