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第1話 〜テンプレ〜


 その日を境に、俺たち二年二組の人生は変わった。

 穏やかで平和な筈の日常に突如現れた非日常。

 教室の中心に現れた巨大な魔法陣。

 複雑な模様の描かれたそれが青白く光り始めてから、ようやく事態の異様さに気がつく。



「皆、教室から出ろ!!!」



 誰かがそう叫んだが、時すでに遅し。

 すでに魔法陣は発動準備が整っており、一際強い光が視界を満たす。耐えきれずに目を閉じる。少し体が浮く感覚がした。近くで女子のものと思しき悲鳴が上がる。次の瞬間には再び地面に下ろされた。

 そして、俺たちは無理矢理日常から退場させられたのだった。

 

 異世界召喚によって。









 俺こと織田晶は、幽霊だとか宇宙人だとか、オカルティックな現象は全く信じていない。小説として異世界召喚ものを読んで、共感したり嫉妬したり感動したりはするものの、きちんと現実との区別はつけている。



「頼む、魔王を倒して我らを救ってくれ」



 だが、目の前で一国の王らしい人に頭を下げられている今のこの状況も紛れもなく現実で、流石の俺の脳も追いついていけない。いや、こればかりは誰でも混乱するだろう。無表情すぎてこれまで何度もヤがつくお方かと思われた俺の顔も呆けているに違いない。


 数分前、視界が回復した俺たちは向こう側が見えない程だだっ広い広間におり、全員を囲むように、十三人の騎士と王女と思われる俺たちと同じ年くらいの女の子が立っている。

 騎士に守られるようにしている少女は、肩で息をしながらこちらを窺っていた。

 いや、騎士の格好をしているが杖を持っているから魔法使いか?

 俺の脳内はぐちゃぐちゃに混乱しているが、冷静な一部は見たことがない空間の観察を続けた。

 床にはフカフカの絨毯が敷いてあり、色は毒々しい赤なのに、無駄に豪華なこの空間とマッチしている。天井も妙に高く、細かな意匠が施してあるのは分かるが、高すぎてハッキリと見えない。

 そうやって観察していると、いつの間にか傍には先ほどの少女と魔法使い達ではない人が立っていた。



「ようこそお越しくださいました、勇者候補の皆様。こちらへどうぞお越しください。国王陛下が全てをご説明致しますゆえ」



 執事っぽいお爺さんが恭しく俺たちに礼をして、これまた無駄に立派な扉を指す。

 質問をしようとした者はお爺さんの視線に黙らされた。とりあえず俺達はそれに従って扉の向こうへ進み、そこで国王陛下らしいおじさんに説明されたのは、まさに異世界ファンタジー小説でよくあるような展開だった。


 まず、この世界のこと。この世界は“モリガン”という、地球のような球状の星らしい。

 モリガンには大陸が四つあり、それぞれ人族、魔族、エルフ族、獣人族が暮らしている。

 俺たちを召喚したのは人族の大陸の中でも一番大きな国、“レイティス”。

 そして、召喚した理由は、王様が言った通りである。

 魔族が本格的に人族の領土へ侵攻してきた。魔王を倒して欲しい、と。

 俺は心の中で、テンプレ来たァァァァ!!と叫んだ。

 もちろん、歓声である。

 この年頃の若者の誰もが憧れるシチュエーションだと言えよう。俺たちのクラスでは歓声を上げない方が珍しかった。

 まあ、女子の中には何人かは不安げにあたりを見回している者がいるが、それでも男子生徒を中心に大勢の生徒が喜んでいた。

 かく言う俺も、歓声を上げるうちの一人である。

 これから待ち受けている苦難や困難も知らずに。



1月29日ーサブタイ「第2話」→「第1話」変更

3月29日ー本文、僅かに追加。

4月26日ー本文、大幅に修正。描写追加。

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