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カノジョがいる世界だから愛した  作者: マルゲリータ緒乃田
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起点

 マンションの一室、光を通したシャンパンは黄金のように輝き、儚い真珠をいくつも作っていた。

 部屋の持ち主夫婦が主催したホームパーティーには、研究に携わっていたメンバーと同僚たちが出席している。

 口々に研究の突破口が見つかった歓びと、政府の一大プロジェクトになる名誉。そして何より互いを讃え合って苦労を労っていた。

 中でも主催者夫妻は研究の中心人物だった。皆が明るい未来と強固なる地固めができた成果に大いに喜び浮かれていた。

 部屋の中の色とりどりのバルーンが、夢見心地に部屋に浮いていた。パーティー参加者の鳥の囀りは、集まると外の音をかき消してしまうほど。だから誰も侵入者には気づかなかった。

 部屋に乾いた音がした。でも誰もが話に夢中で、バルーンが割れたんだと思っただけだった。数秒後、女の金切り声が部屋に木霊してやっと侵入者に気付いた。

 ピエロのお面をした二人組の男たちは、旧型の銃で手当たり次第にパーティーに来ていた人間を撃った。もとより戦うすべを持っていない参加者たちは弾に当たるしかなかった。逃げ場所がない人々は、避けることもできないまま、ゴム人形が崩れるみたいに倒れ込んだ。直ぐにマンションの床は真っ赤に染まった。

 さっきまで賑やかだった部屋は、あっという間に静寂に包まれ、硝煙の匂いと錆びた鉄の匂いが混じりあっている。

 男たちは人形になってしまった参加者を足で蹴って、何かを確認していた。

「おい。子供がいないぞ」

 四室ある部屋に、生き残りの参加者と子供がいないかを男たちは探したが、生きている人間はこの部屋にはいなかった。

 パーティーが行われていた広いリビングに男たちが戻って来た時、小さな四歳ほどの子供が背を向けて立っていた。一人の男が銃を構えて照準を合わせた。


少しずつ、進めていきます。

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