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第九話 信長愚連隊

 思考と書類仕事ばかりで、頭が疲れてきたな。

 甘い物がほしいが、この時代には干柿くらいしか無い。

 

 体を動かして、気分転換を図ることとする。


「五郎佐、今日はここまでにして、遊びに行くぞ。

 勝三郎らを呼んでこい。

 それと、台所にいって女房衆に握り飯を作らせておけ。」


「はっ、わかりました。」



 ダッ 、 ダッ、 ダッ、ダッ、

 部屋の外から声がかかる。

「殿、お呼びでしょうか?」


「入れ、」


「はっ、失礼いたします。」


 勝三郎らが入ってくる。


「書類仕事のほうはどうだ。」


 勝三郎

「なれなことなので、まずは覚えるのが大変です。」


「人の上に立つのためには覚えなければならん事ぞ。

 お前らにはいずれは部隊の指揮を任すことになる。

 将来の為にキチンと覚えろ。」


「「「はっ」」」


「勝三郎、犬、内蔵助」

 机の前にいるのにも、飽きたであろう。

 今日は終りにして、いつもの河原で相撲やることとする。

 俺の舎弟らに声をかけて集めてこい。」


「わかりました。」とすぐ出ていった。

 あいつらは、俺の気性を知っているので、すぐに動く。


「村田、島田、記録の整理はどうである?」


「はっ、殿が作った算盤のおかげで進みはしているのでが、書類の量や内容が多岐にわたる物で仕分けが大変ですし、更に書類を担当したものによって書き方が違うので、確認して整理しなおすのが手間がかかります。

 それと、紙の残りも心配になってきました。」


「そうか、紙の方は美濃から取り寄せる手筈をしているので、しばらく待っておれ。

 記録は政に行うに必要なものであるが、まだその準備が整っていないので、それほど急ぐものではない。

 すでに言っていたとおり、読み書きできる物を集めて手伝わせよ。

 村井、お前にすべてを任す。島田には補佐を命ずる。

 人を揃えれば、指示と確認だけになり、負担が減るぞ。」


「はっ」


「それと、城に備蓄してある雑穀を持ち出すので、いつもの通りごまかしとけ、」


「平手様らに、すぐバレてしまいますぞ。」


「バレたら、俺が持ち出していることにすればよい、いつもやっていることだ。

 俺がじぃから小言を聞けば済むことである。」


「わかりました。」


「今日は仕事をやめにしてよいぞ、お前らも付いてこい。」


「はっ」



 帰蝶のところに向かう。

 部屋を出ると、犬弟が控えていた。

 小姓どもらに荷物持ちを命じる。


「帰朝、外に出かけるので、用意をしろ。

 俺の舎弟らにお前を披露する。」


「殿、武家の妻は外出せず家にいるものですが?」


「俺はこれまでどおり『うつけ』を続けるのだぞ。

 お前は『うつけ」の嫁になったのだから、従ってもらう。

 それに、古いしきたりなどしたがって何の得がある。

 未来では、女にもっと自由であるだぞ。

 中には、男と同等以上の働きをする女もいる。」


「まぁ~、そうなんですか? 

 今から準備いたします。」


「侍女らも付れてこい、織田のいい相手を紹介してやるぞ。」


「何を言っておりますのか、準備いたしますので、さっさと出て行ってください。」


「わかった、待っておるぞ。」


 屋敷の外に出て、厩に向かう。

 馬に鞍を載せ、轡を取り門に向かう。



 ちょうど帰蝶たちが屋敷から出てきた。


「殿、お待たせしました。」


「帰蝶、馬に乗ったことはあるか?」


「いえ、ありませんが?」


「そうか、初めてか。

 ほれ、手を貸してやる。」


「えっ、馬に乗るんですか?」


「そうだ、輿なんてものはないぞ、」


「はぁ~、わかりました。」


 帰蝶の体を抱え、鞍に横向きで座らせる。


「高い!」


「この馬は俺に従うので、心配ないぞ!」


「はっはい」


「殿、お待たせしました。」

 五郎佐が風呂敷を担いだ小姓どもと一緒にでてきた。


「帰蝶さまもお連れするですか?」


「そうだ、行くぞ。」


 馬の轡をとって歩き出す。

 あきらめ顔の五郎佐と小姓、それに侍女たちが後ろについてくる。


「帰蝶、どうだ」


「いい景色ですね、美濃でもめったに外に出られませんでしたので、楽しいです。」


「そうか。」



 いつもの河原に近づいてきた。


 すでに、50人ほど集まってきている。

 

 服装きちんとしている者、ぼろぼろな者、バラバラである。 

 武士の部屋住み、農家の次男・三男で小作人になるしかない者、

 他国から流民や里に降りてきた山窩の者で日雇いの人夫で暮らしている者たちである。

 那古屋城を任されてから、そういった者たちを集めて鍛えてきた。  


 河原に降りていく。


「殿、皆に声をかけ終わっています。

 ここにいない者も仕事が終わり次第、やってきます。」


「で、あるか。」


 帰蝶を馬から降ろす。

 

「皆、集まれ。 整列ーー!!」


 五郎佐、勝三郎、犬、内蔵助が前に立ち、その後ろに並んでいく。

 これは、俺が仕込んだ。


 帰蝶を横に来させる。


「お前ら!!、俺の嫁になった帰蝶である!!


 ほら、帰蝶。」

 

「はっ、はい、

 皆さま、殿の妻になりました『帰蝶』と申します。

 これから、よろしくお願いいたします。」


「「「よろしくお願いしますーーー!!!」」



「帰蝶の歓迎がてらで、相撲を見せることとした。

 いつもの通り、飯は用意してある。」


「ウォーー!!」


 歓声があがり、服を脱ぎはじめた。


「キャーー!!」


 後ろにいた、侍女たちがびっくりして奇声をあげている。

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