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第十六話 瑞兆

 塩田の構造を確認したので、熱田神社の市場を視察してから城に戻るとする。

 今までも訪れてはいたが未来のの知識を得たことから新たな見方ができるであろう。


 市場に向かう途中で湊の横を通りすぎようとしたときに、

 「若様~!!」

 聞こえた。

 振りかれるとみると、顔見知りの網元であった。

 昔、無理や舟に乗り込んで漁についていったのだったな~

 はじめは嫌な顔していたが、網を引くのやら、魚を網から外すの手伝っていたら、いつもまにか打ち解けていたのであった。

 「今日、獲れた魚ですので持っていてぐださいませ!!」

 鯛や鮃などの魚が入った桶を渡してくる。

 「ありがたい。こんど干し柿でも持っていくとする。」

 と言いながら受け取る。 

 「気にしないで下さいでだ~」

 と、船に戻っていく。


「折角の新鮮な魚であるな。

 これから市に寄るつもりだし、持って歩くわけにはいかんな~

 勝三郎!! これを屋敷に運でおけ」

「はい!」

 いつものことなので、桶を受け取り、馬で屋敷に戻っていった。 


 尾張は伊勢湾に面しており、古来より海人が多く住んでいる。

 漁師は土地と密接な農民らとは別枠扱いいとされいて、熱田神社の神人であったか?

 熱田は父が管理しており、浮かぶ知識にあやふやな部分があるので、そこいら辺も確かめておかねばならぬであろう。


 五郎佐とともに、市にむかった。

 

 市と言えば、室町時代は「座」が強い権限を持っており。知識の俺がそれを打破し「楽市楽座」の命じたのはだったので、確認したところでは、朝廷や公家、比叡山や八幡神社、奈良の興福寺などの有力な寺社を「本所」とし、商人が金銭などを支払い、代わりに畿内の独占販売権や原材料の仕入れ、通行料免除などの特権と保護を得ているとんぼこと。

 その権限は離れた地の本所の荘園などの生産地まで及び、商業における強い既得権益を持つに至ったらしい。

 意に沿わぬことが起きれば、「強訴」や「サポダージュ」などを行って幕府を困らせていたのだったはずであり、これは比叡山の荒法師がに日吉神社の神輿を持ち出して幕府に抗議したのだったか?

 

 しかし、熱田や津島で見ていた「市場」のイメージとは合わんので、さらに調べたところ昔の話であって、応仁の乱以降は状況が変わったのであった。

 

 畿内の権力争いが地方に波及し、京に在住していた守護も国に戻り、守護と守護代や力を持った国人らとの勢力争いに発展していくなかで、、地元勢力らは独自の関を設けて銭を徴収するようになり、幕府の権限や畿内の座の支配力が及ばなくなったのであった。

 

 さらに、在京守護が国に戻ったことで、京の文化が地方にも普及し、地方に新しい市場が形成されていき、地元の商人が地方の権力者と結び、新興の「座」ができたのであった。

 親父と熱田や津島がこれにあたる。

 

 地方の市場から原料を入手して畿内へ運び、畿内の座から製品を購入して地方の市場へ販売されるようになり、生駒氏のような馬借や行商人である「連雀商人」など流通専門の新商人がでてきた。

 

 南近江では、比叡山荘園の保内商人が鈴鹿山脈を越えて尾張まで商圏をもっており、奈良の興福寺に属する座は伊勢の大湊や山田三方に属する自治商人が流通を担っているようである。

 

 座の商人達の中にも時代の変化ににあわせて変わっていく者がいるようであり、江戸時代の「近江商人」や「伊勢商人」の元なのかもしれない。


 陸路は、地方勢力の台頭によって特権が通じないところがあり、多く所で関銭を徴収されるため、次第に大量輸送であった廻船での交易が増え、湊の使用率が増えたようであり、湊をもつ熱田と津島での商取引が増えているらしい。


 織田弾正家は両方を支配しているので、力を持つに至ったことに納得した



 熱田の座に関し、熱田神社の神官である千秋家が幕府奉行衆であり当主は在京していたため、神社よりも商人の力が強く、今は東西の加藤家が力を持っている。

 たが、親父は千秋家と加藤家を双方を織田弾正家の被官としているので、関係はない。


 本日は市場のざっと視察するだけとして、千秋家と加藤家によらずにしておく。


 熱田は、東国から伊勢神宮参拝者の玄関口であり、三河・遠江に大きな湊が無いため、駿河や関東からの廻船が多くきており市場もにぎわっている。

 本日は市の日ではないが、町の外にも露店が並んで売買していた


 尾張は畿内に近いため、古来から様々な技術が伝わり、農業の片手間で作れるであろう草鞋などの藁製品などが売られている。

 海で獲れた魚や貝の干物とかもあるな。

 野菜は季節が冬のため葉物は少なく、根菜ばかりであった。

 屋敷の台所の在庫がわかぬので、買わないでおくとしよう。

 瀬戸の陶器は釉薬が使われて高級品であり、欠けたり、継いだ物が古物として売られている。

 常滑の甕とかも置いてあるな、

 畿内からの産品だけでなく、美濃の古紙や昆布などの北陸から産品もあった。


 店を冷やかしながら歩いていくと、端の方に人だかりが見えた。


 何か近づいていくと、人の間から猿によく似たガキが見えた。

 手振り交えた口上で針を売っており、面白おかしくおどけもしながら、客を引き付けているようだ

 

 「猿」に「針」…


 あっ 秀吉であるか?


 気付いた瞬間、前に出ていた。


 客らは俺に気付いき、散らばって遠巻きに様子を見ている。


 秀吉かもしれんガキは怯えながら、

「お武家様、どうかいたしましたでしょうか?」


「面白き童がいたので、近づいてよく見てみたくなったのだ。

 お前、名はあるか。」


「はっはい、

 中村の名主の一人である木下弥右衛門昌吉が子、日吉と申します。」


「ほう、名主の子が何故に針を売っているのだ。」


「はい、実は父に嫌われており、家を追い出されたのです。


 母の親戚の伝手つかって、職人などの修業したのですが、どうにも性に合わず転々といたしまして…


 そこで、母から与えられた金で親戚の鍛冶から針を買い行商しながら東に向おうかと…


 まずは試しとして、ここで売っていたところであります。」


「そうであるか、」


 今川への仕官を目指して駿河に向い、途中の遠江の武家に奉公するとの話があったな、

 ここで見つけたことは上々である。

 欲しい人材であったのだ。

 こんな簡単にすぐ見つかると思わなかった。


「口上を聞いたところ、頭は悪くないだろうに、年はいくつか?」


「はっ、十二になります。」


「十二にしては、小さいか?

 しかし、名主の子が家を出されるにしては早くはないか?」



「はっ えーと・・・


 声に詰まっている。


「どうした?」


 右手を突き出しながら、

「この指のせいです。」


 手を見ると、親指が二本ある。

 やはり、秀吉であるか。


「この指が多いせいで、生まれたときから父に嫌われており、

 村の者からも奇妙がられ、村から出ていくしかなかったのです。」


「ふむ、

 指が多いことぐらいたいしたことがない、少ないよりはいいだろう。

 ちょっとした違いである。

 それに唐の国では龍の爪は多い方が良いらしいぞ、」

 

「えっ」


「これは、織田家の瑞兆を発見したかもしれんぞ、

 日吉と申したな。

 お前を小者として、使ってやる。

 俺についてこい。」


「はっ はい! 

 よろしくお願いいたします。」

 と膝と手をつき、頭を提げる


「殿、よろしいのですか、」


「これから人を増やす予定であるから、雑事を行う者も必要だろう。

 それに、こいつの面を見てみろ。「猿」のようで面白い。

 気に入った」


「はー そうですか。」


「おい、これからお前のことを「猿」と呼ぶ。

 わかったな!!」


「はいっ!!」


「我は、那古屋城主 織田三郎信長である。

 では着いてこい。」


「わかりました。」


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