ポコとミーナの脱出劇+2
プラスです
そこに待っていたのは三柳一葉
昔世界を救った英雄の一人、レジスタンスのリーダーその人だ
「あ、一葉さん」
僕が声をかけると一葉はニッコリ微笑んで会釈してくれた
「………」
ミーナは恐ろしい形相で一葉を睨んでいる
一葉は笑顔のままミーナに近寄ると刀を引き抜いた
「ちぃ!」
僕が間に入り、その刀を弾いた
一葉は微笑んだまま、僕の頬に一筋の亀裂が生まれる
「ミーナに何をする……英雄三柳一葉」
一葉の笑みが消え、般若のような顔になる
「そこをどきなさい!ポコ!」
一葉がかけて来る
そして一撃、僕はかわしたつもりだった
「あ……」
僕の体が崩れ落ちる、下半身は立ったまま、そして僕はその下半身を見つめていた
「さあ…美奈ちゃん、貴女の番ですよ。罪を償いなさい」
そう聞こえた、そんな事はさせない
「古の精霊イフリートよ…業火を持ち我が敵を滅っせよ……【紅蓮浄土】」
僕の口から大量の炎が発射されて三柳一葉を押して行き、そのまま彼方にある山まで飛ばして行く、そして僕の意識が落ちていった
目覚めたのはある一室、僕の上半身と下半身は繋がっていた
僕は鎖で両手両足を別々に繋がれていた
隣からクスンクスン泣く声が聞こえる
「…ミーナかい?」
隣で泣いていたのはミーナだった、こちらを振り向くと手錠をかけられ、繋がっている鎖を引きずりながらこちらへ来た
「はひ!ポコへんぱひ、目ふぁはめたのへふね?(はい!ポコ先輩、目が覚めたんですね?)」
ミーナの声がくぐもっている
ミーナの方に顔を向けるとミーナの顔は晴れ上がり、丸くなっていた
「……クソ…ゴメンよ…ミーナ……」
そう言うとミーナは笑ったのか楽しそうに声を出した
「たいひょうふれすよ、こへくはい…いふほもほとれふ(大丈夫ですよ、これ位いつもの事です)」
いつもと言うのは前の奴隷の事であろう
「……ミーナ、どうしてこうなったか説明してくれないかな?」
僕がそう言うとミーナは頷いて話しはじめる
一葉を吹き飛ばした後、日本軍が辺りを囲んでいたと言う事、ミーナが僕を必死に癒している間、双葉と茶癒が抵抗していた事、双葉と茶癒が倒れたと同時に僕を癒しおえた事、そして拳帝と呼ばれるアルウェンが参戦した事を聞いた
「……ゴメンよ…ミーナ……僕が不甲斐ばかりに…そんな傷を………フン!」
鎖をひきちぎった、ミーナが驚いている。まだミーナには話していなかったような気がした
「言ってないよね?僕が魔族出身だって」
ミーナは口を開けたまま何度も首を縦に振った
僕はそれを見てちょっと笑い、ミーナの手錠と足枷をひきちぎった
「魔力殺しの牢屋か……魔族の体を考えてないね」
鉄の檻を掴んで曲げる、人一人が通れる位の隙間を作る
「お先にどうぞ、ミーナ」
僕が微笑みかけるとミーナはやっと笑ってくれた
ちょっと気障っぽいかな、僕もミーナに笑顔を向ける、こんな時にでも僕らは笑えた
僕にとってミーナは大切な存在だ、もちろん双葉も茶癒も
「……とりあえずここからでよう、久しぶりに素手で戦うけど………大丈夫だよね」
そう言うとミーナは頷く、僕は辺りに気を配る
高い魔力はない、魔法兵士は100程、そして地下一階に魔力が溢れている泉があるみたいだ
「出る前に地下一階魔泉がある、そこで傷と疲れを癒そう」
ミーナはふあいと返事をすると後ろからトコトコ着いて来る、魔法兵士に見つからない様に慎重に僕らは進んで行く
エレベーターは使えないから階段を登る、階段は危険だ。隠れる場所がないから敵と会ったら一撃で倒さなくてはならない
「よし……もう少しだ」
僕は気を引き締める、ミーナはもう戦えない
僕が頑張るしかない
後ろを振り返り誰もいない事を確認すると階段を下りる、音を立てない様に頑張っているのだがどうも素足でも地面に触れる音が響いてしまう
どんな小さな音でも大きく聞こえてその度に心臓が高鳴る 心臓の鼓動の音が耳の中でガンガンなっていた
そして部屋に着くとドアを開けた
「やはり、来たな」
僕は目の前に居た男に目を見開いた
目の前、泉の渕に立っている男が二人
「真君!葉銀君!」
二人がこちらを見てニヤリと笑った
僕は二人に駆け寄って行くと真が僕を葉銀がミーナを担ぎ上げた
そしてそのまま泉に投げ込まれた
「とっとと魔力を補給しろ、運が良かったからなのか……ここは星の源泉だ。とてつもない魔力が貯まっている」
青く光る泉から魔力が体に染みて行く、普通の泉なら一瞬で吸い付くしてしまうが…ポコの魔力を全快させた
そう、今古の魔導士の中でも1番魔力が多いポコの魔力を回復させた
「ふう……全快だよ、これで…ミーナを守れる」
ポコの体から魔力が染み出している、ポコは体を見つめると三人を見て微笑んだ
「伏せていて、ここ吹っ飛ばすから」
ポコは呪文を紡ぐ古代禁呪の一つを星に属する呪文……魔導と呼ばれるに相応しい魔法を
「古代禁呪【落日】」