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第5話:神様仏様伊藤様

「みかんが食べたいですね」

居間のソファに腰掛けて編み物をしていた夕菜さんが唐突に切り出した。

「いや、俺は別に」

食卓の椅子に座って、テレビを見ている俺はそっけなく返事をする。

「すいかでもいいですね」

「そう?」

「ドラゴンフルーツ」

「……だから。買わないって」

「ちっ」

「………」


……最近自分の身が危ないのは気のせいですか?


「さてと。今日の夕餉ですが。裕也様の大好きな物に致しました」

「へぇ。カレー?パスタ?それともグラタン?」

「ええ。カレーパスタグラタン風味の白米です」


それって普通のご飯ってことじゃん。


「いいえ、違います。ご存知ありませんか?とある人が残した偉大な発明を。かの絵時損さんも彼の発想力には大変驚いたと言う話です」

「知らん。つーか絵時損さんって誰?」

「むかしむかし、ではないけれど、東京は池袋の公園に、家がなくても人は逞しく生きていけることを証明しようと頑張っている人がいました」


……シカト?しかもその人ってただのホームレスでは?


「しかし、如何に勇敢なその人も空腹には耐えられませんでした」


あえて突っ込まないでおこう。


「男は、とうとう限界まで近づいてしまいます。これでは今までの苦労は無駄になってしまいます。男は最期の力を振り絞って、民家から炊きたてのご飯を奪います。そして、命からがら逃げ出しました」


良い子も悪い子も絶対に真似しないでね。


「さて、とある路地裏まで逃げてきたホームレ……男ですが」


やっぱりホームレスじゃん。


「裕也様。その役立たずの耳、切り落として差し上げましょうか?」


……すみません、調子に乗りすぎました。


「コホン、逃げてきた男ですが、とうとう力尽きてしまいます。しかし、民家の主は、ご飯の匂いをたどってどんどん近付いて来ます。もはやこれまで、男は意を決して、電子ジャーの蓋を開けます。我が生涯に一片の悔い無し!と叫び、顔を突っ込みました。するとどうでしょう。ただの白米と思われたご飯から、ステーキの味が滲みてくるではありませんか!男は、感動します。こんなに美味しい物は初めてだ。と。そして、一気に頬張り、飲み込みますが、そこで不運が訪れます。男は、喉につまらせ死んでしまいました。しかしジャーの主が彼を見つけたとき、あることに気が付きます。

この男はなんて幸せそうな顔なのだろうと。

そして、漂ってくる匂いを嗅ぎ、全てを悟りました。

それから数年、ジャーの主、伊藤さんはとある質問を受けました。何故白米しか食べないのか。と。伊藤さんは答えます。私だって様々な物を食べます。カレー、シチュー、牛丼……。数えきれないほど色々な物を食べてきてます。と。納得のいかない人が言います。じゃあなぜ白米しか食べていないのか、今食べているのは何なのか。伊藤さんは髪をかきあげ、その人を指差します。これは焼き鳥だ!そう、ここは焼き鳥のお店。彼は漂ってくる匂いをおかずに白米を食べていたのです。おしまい」


「……すみません。訳がわかりませんでした」

「つまり、です。今日はカレーパスタグラタンの香りで夕御飯です」

「そんだけのことであんな物語を創るなよ。主人公誰かわかんないし、しかも絵時損さん出てきてないし」

「細かいことを気にするような男の人はモテませんよ?」

「超大きなお世話です!」


あぁ、もうすぐ俺頭おかしくなりそうだ。


「大丈夫ですよ。そうなっても私が一生面倒を見て差し上げます」


……そこはかとなく不安だ。


「それよりも、どうぞ。ご飯です」


目の前に置かれる茶碗。今夜は本当にこれだけらしい。


「てゆーか夕菜さんは何食べるの?」


対面の席に座ったメイドは、何やら美味しそうなものを持ち出してきた。


「茹でたパスタにカレーをかけて、チーズをトッピングして、グリルでパリパリに焼き上げたモノです。言うなれば朝倉夕菜オリジナル、カレーパスタのあつあつグラタン。ですね」


……主人を差し置いてなんとまぁ。あぁ、神様仏様。この冥土の中のメイドからお助けください。


本気で祈る今日この頃。


「あと、仏様の後に夕菜様と祈って下さい」

「お前、何様のつもりですか?」

えー、とりあえず書いてしまった今回の話。ノリです。全てがノリです。私は海苔が大好きです。でもぞうさんの方がも〜っと好きです。あ、面白くない?済みませんでした。ノリでした。

さて、これを読んでくださった方々。ありがとうございます。面白かった。とか、お前バカじゃねー?とか何でも宜しいので評価してくださると嬉しいです。

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