種苗法再改正! 前回改正の懸念と海外流出のリスク軽減について検証!
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は26年7月17日に改正が行われた種苗法はなぜ改正されたのか?
前回問題になった2018年の種子法廃止の問題点は何だったのか? について語りつつ個人的な意見を述べたいと思います。
◇2018年の「種子法廃止」を行っても影響が出なかった理由
質問者:
種子法廃止って当時凄く問題になりましたよね……。
結局何が問題か分からないまま廃止されて今に至るんですけど……。
筆者:
当時、一部で「日本の農業が外資系企業に牛耳られる」「自家採種(自分で種を採って翌年植えること)が全面的に禁止されて農家が破産する」といったことが述べられていました。
実際に種子の価格が抑えられていた要因だったと言われています。
しかし、民間企業に品種開発や種子ビジネスへの参入を促すため、2018年4月に廃止されてしまったんです。いわゆる「規制緩和」の一環だったわけです。
質問者:
それは大変なことですね。でも、実際は高齢化による後継者不足による廃業はあっても種子が高騰したとかそう言う話は聞かなかったような……。
筆者:
それはそうです。当時、この種子法が廃止されたことによって各都道府県で請願活動が起き、農業生産力が高い30以上の道府県が「種子条例」を独自に制定して予算を維持したため、上記のような懸念は起きなかったんです。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220611-OYT1T50356/
つまり、「法律は無くなっても代わりの似た条例が出来たために問題が起きなかった」だけであり、種子法を廃止したことそのものはやはり問題だったと言って良いでしょう。
これは主に農家を中心とした国民側が問題提起をして各都道府県が動いたある意味”実績”と言っても良いと思います。
◇2020年の種苗法改正と今回の改正の違いは?
質問者:
問題がむしろ未然に防がれたという事だったんですね……。
2020年にも種苗法が改正、21年に施行されたんですけど、これはどういう事で改正されたんですか?
筆者:
日本固有の品種を守るためです。現在日本のブランド品種と言うのがぞくぞくと海外に流出しています。
当時、種苗法改正に懸念を示す人の多くが、「自家増殖(自家採種を含む)の原則禁止」という点に着目し
「自家増殖(自家採種を含む)が制限されるのは登録品種だけ」という点です。つまり、地域で伝統的に生産されてきた「在来種」や、一度も品種登録されたことのない「一般品種」については、これまで通り制限の対象になっていません。
「PVPマーク」というものが登録品種かどうかを区別する基準みたいです。 https://nokanowa.jp/topics/seed-saving-law/
※また、家庭菜園で増やした株については売らなければ違法になることは無いようです。
ところが海外では「飛んできた種が勝手に配合された品種」すらも「飛んできた元の品種」として扱われたという裁判事例が2004年にありました。https://x.gd/UKcCB
しかし、今現在はそう言った理不尽な訴訟と言うのは起きていないので杞憂とはなっていますけど、今後海外ブランドが理不尽な訴訟を起こす可能性はゼロでは無いというのが僕の見方です。
ただ、幸いにも日本は周囲に海がありますから種だけが突然飛んできて――と言うケースは限りなく低い良い環境と言えますから、人為的な持ち込みだけに警戒すれば良いのかなと思います。
質問者:
なるほど……日本の品種を守るためなんですね。
でも、シャインマスカットの1年間の損害が依然として200億円もあるとかいう報道がありましたよね? この改正では足りなかったという事ですか?
筆者:
そうなんです。そのために今回の26年の改正がされたようなのです。
今回の改正では品種登録前でも第三者による無断輸出を差し止められるようにするなど規制を強化。新品種の生産や販売などを独占できる権利の適用期間も10年延ばしにすることが出来るようになりました。https://mainichi.jp/articles/20260717/k00/00m/020/248000c
◇日本で取り締まりを行っても海外では法律適用できないためそれだけではほとんど意味は無い
筆者:
ただ問題は、当たり前なんですけど日本の法律は日本でしか適用されません。
そのためにいくら日本の法律を改正したところで海外に持ち出した人間が日本に戻ってこない限り罰することが出来ない他、海外で植えられた場合当然それを差し止めることも出来きません。
そのために「日本の品種を守る」とか言って法改正をしても一番品種を盗んでいる中国やら韓国やらに働きかけなければ何の意味も無いんです。
先ほどの26年種苗法改正の記事の最後には
『農水省は昨年、中国や韓国の種苗会社のインターネットサイトを調査。日本で開発された新品種とよく似た名称の果実などが約50品種あることが確認された。』
とありました。
海外に品種登録をすれば良いんじゃないか? と思うかもしれませんけど、海外から見たら「自国の利益を増やすために盗んでいる」ので日本の申請は却下し、自国民の製品を認めると言った事もあり得ると思うんです。
品種のDNA鑑定によって今後抑止力になるかも? と言う話もありますけど、 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODB220TT0S6A320C2000000/
結局のところ中国韓国に「盗んだ品種を事実上日本に返せ! 流通しているのは回収しろ!」と直接交渉しなければ何の意味も無いんです。
質問者:
……つまり外交交渉力の失敗が品種の流出に繋がっているという事なんですか?
筆者:
僕は少なくともそう見ています。メディアは複数の情報を総合するとそう判断できるかどうかと言うレベルで僕のような分析をしてくれる人は数少ないです。
もっとも日本政府も何もしていないようでは無いみたいです。
これまで苗木などを海外で申請しても、審査に4~5年放置されている間に、現地の密輸業者が爆発的に増殖させてしまえば手遅れになっていましたが、
オーストラリア、ベトナム、EU、シンガポールなど多数の国・地域との間で「審査協力の覚書」を締結してロスを少なくしようと試みているようです。
でも、一番盗んでいる中国・韓国の本丸に切り込んでくれなければ意味が無いんです。
確かに日本国内の法律のザルは狭まりましたが、交渉がザルであることには変わらないので局面は変わりません。
質問者:
筆者:
中国と韓国それぞれ理由は違うと思います。
中国との関係は正直なところ高市政権になってから「存立危機事態発言」も相まってそんなに深まる気配はありません。日本側の余程の譲歩を行わない限り良い方向には向かわないと思います。
韓国との関係については「移民受け入れ」というのを日本政府が狙っているのではないか? と言う考察を以前させてもらいましてhttps://ncode.syosetu.com/n3074ml/ これを実現するまでは波風を立てないようにするのではないのか? と言うのが僕の感覚としてはあるんです。
質問者:
何というか……どちらも政府の都合次第と言う感じで国民や農家について考えていないんですね……。
筆者:
むしろ今回の法改正は先ほど見たいような「飛んできた種が勝手に配合された品種」すらも「飛んできた元の品種」として扱われたという海外の裁判事例がありますので「リスクが上がっただけ」なんですね。
「やっている感」をを出すためだけの法改正だと思った方が良いので、建前だけに惑わされないことが大事です。
一番直接的に効果があるのは「中国・韓国との直接交渉とその履行」1択ですからね。
根本治癒を行わず上辺だけを取り繕っているのは経済政策だけでなくあらゆることで行っているという事ですね。




