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トリミングパニック!!  作者: もふまみれ
3/4

第3話「毛玉まみれ!?ブラッシングパニック!!」

こんにちは、読んでくださってありがとうございます!


今回は、ペルシャ猫・モカくんとの真剣勝負!

ささらの成長と、ひよりの的確なツッコミ(?)も見どころです


※実際のトリミングの事例等を一部取り入れていますが、物語としての演出も含まれますのでその点ご理解ください

――ここはペットサロン・ミモザのバックルーム。トリミングテーブルの上には、長毛種ペルシャ猫のモカくんが鎮座している。白くふわふわ……のはずが、全身フェルト化した毛玉の塊に覆われていた。


「うわー、凄まじいね・・・・・。これはS級の毛玉だよ!!」


「毛玉にランク付ける奴はじめて見たわ・・・・」


隣の神代ひよりがカルテを手に現状を確認しながらツッコミを入れていた


「ささら、これ見て。飼い主さんが書いてくれたカルテ。モカくん、今年で6歳。体重は3.8キロ、室内飼いの元気な子らしい」


「そうなんだ。でも毛玉の量が半端ないよね」


「毛玉の原因は運動不足や毛のお手入れ不足が主だけど、モカくんは元気だから皮膚疾患やアレルギーはなさそう。定期的なブラッシングの指導が必要ね」


「ふむふむ」


ひよりはカルテを確認しながら、まるで探偵の様に思考を巡らせている。


「飼い主さん、毎日ブラッシングは試みているけど、嫌がってうまくできないらしい。特に尻尾と腹回りがフェルト化しやすいから、ここが重点エリアだって」


「やっぱりそうなんだ、このフェルト状の毛玉、すごく硬いんだよね」


「それに、モカくんは皮膚が敏感だから、無理に引っ張ると痛みでますます嫌がられるぞー」


「じゃあ慎重にいかないとだね…」


ささらが緊張と不安を押し殺しながらバリカンの準備をしていると、


「あと、モカくんは肛門腺がたまりやすい体質。トリミング中にお尻周りを触るから、こまめに観察して臭いや炎症に注意してねって」


「えっ、そんなことまでカルテに書いてあるんだ……」


「うん、飼い主さんとの信頼関係を崩さないためにも、こういう情報は大事」


ささらもカルテをしっかりと読み込み改めて気合を入れた。


「よーし、モカくん、私達頑張るからおとなしくしててねー!!」


モカくんは鋭い目つきでささらを見つめ、まるで「本当にできるのか?」と問いかけているようだった。


「さあ、カルテに従って慎重に、でも確実にやっていこう」


「おー!!」


ドライヤーの時の教訓を活かしバリカンの振動を最小限にして、ささらはまず背中からフェルト化した毛玉を慎重かつ丁寧に少しずつ削り始めた。


「……あれ?」


「どうした?」


「なんかモカくん、毛玉の硬さが場所によって違う……こっちは岩みたいに固いけど、こっちは少し柔らかい感じ……」


「それはカルテにも書いてある。年齢的に皮膚も変わってきてるから、毛質も場所によって微妙に違うんだ」


「へぇ、毛玉にも“地層”があるみたいだね」


「うまいこと言うな」


ふと、モカくんが小さく唸り声をあげた。


「うわっ、怒った?」


「怒ってるというか、警戒してるんだ。特に腹側は触られるのが嫌いだから」


「うう……怖いよ、でもここが一番大事なんだよね」


作業は慎重に進み、モカくんは時折シャーッと怒りながらも、優しく丁寧な二人の作業にだんだん慣れていくようだった。


「カルテって大事だな。飼い主さんの愛情も伝わってくるし、猫の性格や健康状態もわかって安心する」


そう。トリマーは単なる“毛を切る人”じゃなくて、動物と飼い主の架け橋なんだね


ささらはバリカンで毛玉を取り除きながら、そんな思いを胸に刻んでいた。


「よし、あと少しで終わりそう!」


汗だくになりながら、毛玉の山を減らしていく。


45分後、モカくんはすっかり涼しい姿に変身していた。


「終わったー!」


「お疲れさま。モカくんもスッキリした顔してる」


「よかった……これで飼い主さんも安心だね」


ひよりがカルテに「今後のケア」として、


・週2回のブラッシング


・食後すぐのブラッシングは避ける


・お尻周りは清潔に保つ


・健康診断の際に皮膚チェックを忘れずに


と追記し、ささらに渡した。


「覚えておいてね。モカくんの健康と快適さは、日々のケアが鍵だよ」


「はい! これからはもっとちゃんと勉強して、モカくんみたいな子を助けられるトリマーになりたい!」


モカくんは満足げに丸まり、時折ゴロゴロ喉を鳴らしてささらに甘えていた。


「モカくんかわいすぎるよ・・・お持ち帰りしたいよ・・・」


「気持ちはわかるけどやめとけよー、飼い主さんここからは見えないけどちゃんと待ってるからなー?」


モカくんは、飼い主さんが見える場所にいるとそわそわしてしまうらしく、気を使って下さり

見えない位置で待って下さっていた。

無事に引き渡しが完了し、安堵していた所に満面の笑みでフローリングワイパーを持ったひよりが近づいて来る。

「さぁ掃除の時間だぜ野郎どもー、準備はいいかー?」

「野郎じゃないし!うわーすごい毛の量・・・・」


掃除が終わった頃バイトの時間も終わり、店長に報告と引き継ぎをして更衣室で着替えを行う、ささらとひより。

「ねーひよりちゃん、お店の制服のデザインってすごくかわいいよね。トリマーさんの服装って地味目な感じだと思ってたからびっくりしたよー」

「あー、それは店長の妹さんがファッションデザイナーらしくて、わざわざ頼み込んでアニマルな感じにデザインしてもらったみたいだよ?何か特異体質が原因であんまりお店には来たくないみたいらしいけど詳しくは知らないや」

「ふーん、特異体質って猫アレルギーとかかなぁ・・・今度店長に聞いてみよー」


この時の二人はまだ知らなかった、店長の妹がミモザに訪れとんでもない大事件が起きる事を。

最後まで読んでくださってありがとうございました!


今回は、まさに“毛玉キング”との戦いでしたが、少しずつトリマーとして成長していくささらの姿を描けたと思います

文中では表現していませんが、こっそり店長は二人の作業に問題が無いか見守っていますのでご安心下さい・・・


毛玉、ドライヤー、カルテの大切さ、そして猫様のご機嫌とり……動物相手のお仕事の難しさとやりがいが少しでも伝わったらうれしいです


次回はいよいよ“店長の妹”が登場し、大事件の予感が……!?どうぞお楽しみに!


感想・レビュー・お気に入り登録、大歓迎です!作品を続ける大きな励みになります


それでは、また次回もよろしくお願いします!

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