77話 ストラテジとタクティクス
―Ayame Side―
文化祭も終わって今、私は焦っていた。
今回のイベントでセンパイとより仲良くなろうと考えていたけど、そうは上手く行かなかった。
委員会は忙しいし、そもそも学年が違うので一緒にクラスを盛り上げる……みたいなこともできなかった。
センパイが受験とかで忙しくなるまでにまだ時間はあるとは思うけど、流石にそれまで待ってはくれないはず。
付き合うのが受験前なんてことになったらデートやら何やらなんてのは考えの外になってしまう。
そしてセンパイは意外なところからモテたりしているっぽいし、なにより“目立った障害”が若干1名かなり近い位置にいる。
今、私が焦っている理由はこの“目立った障害”が近々行われる学校行事でセンパイに近づいてしまう可能性があること。
そろそろこの時期にこの高校の修学旅行の時期になる。
修学旅行、団体行動以外は大体男女別らしいけど、私の目の届かないところで何が起こるのか分かったものじゃない。
できたら今からでも色々センパイにアプローチを仕掛けたいけど、何も無いのに2人で出掛けたいなんて言い出したら逆に警戒される?
それとは別に最近色々と挙動が怪しくなっている“目立った障害”が警戒したり、何かおかしな行動やらをしたりしてこないとも限らない。
勿論、センパイを遊びに誘えないのは他でもない私自身のヘタレ度合いにもあるけど、それを無視したところで先に考えたリスクが回避される訳じゃないと言い訳を考えてしまう。
どうにかしてセンパイと距離を自然に詰められるモノは無いものかと唸っているだけで1日が過ぎていきそう……。
―Minol Side―
ここからどうして行ったらいいのか、自分でも分からない。
自分がまー君とどうしていきたいのか、自分自身がどうでありたいのか。
いや、正直言って「自分自身がどうでありたいのか」については一応の決意というか、覚悟のようなモノを決めた感じはある。
1年以上女性の身体で過ごしてきて、それなりに順応してきた。苦労することもあったけど、なんだかんだこれで一生を過ごすことになったとしても大丈夫な気はする。
自分自身に向いた感情の矢印はそのように決したので、残っているのは……まー君の方へ向く感情の矢印という問題だ。
高校生活も折り返し。
近々修学旅行もあるし、関係を進めるにしても身を引くにしても、そろそろどちらかの道を明確に選ばないと中途半端な結果が返ってきてしまう……かも知れない。
……よし、決めた。この修学旅行で決めよう。自分の進退を。




