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73話 2度目の文化祭

 今年の夏休みも色々あったが、これで終わり。


 新学期が始まってから、すぐに次のイベントへと校内の雰囲気は移ろいでいた。


「去年私のクラスだった子は分かると思うけど、それと同じように帰りのHRで案だけ出して授業の方のHRで決めるから、やりたい演目とか出し物とか考えておいてくださいね~」


 去年と同じように、浜竹先生は生徒名簿で自らの頭を軽く小突きながら目を瞑ってそう言った。


 そして去年をなぞる様に、その日のうちにこのクラスの学園祭の出し物が決まった。


「そういうことで、このクラスの出し物は『男装喫茶』に決定となりました~」


 委員長がそう言って拍手をし、クラスの連中もそれに続くように拍手をしていた。


「この流れって……」


「?」


 実ともう一人、TS化したクラスメイトである河豚名も周りに倣って拍手をしていたが、何かを察した実に対して河豚名はこのクラスの意図をよく分かっていないような顔をしていた。


 実はもう戸籍的には女性になっている訳で、何より去年よりも見た目が女性らしくなっている。このことから敢えて男装させたいというかんがえかたを持つ層がクラスの中に居たということなんだろう。


 河豚名の方は最初から割り切っているのか、既に女性の振る舞いをしているので、そこも男装が良いと考えたのかも知れない。戸籍的にはまだ男性のはずだけど。


「保健所……また……面倒臭い……マジか……」


 去年の文化祭の始まりを再生するかのよう、再び浜竹先生は机に突っ伏してそう独り言を怨嗟のように放っていたのだった。


「それじゃ、男装する人と料理と飲み物の担当を決めまーす」


 そして次の授業時間のHRの時間となり、その時間が始まり次第、委員長が浜竹先生に代わって司会進行となって学園祭の話を進め出した。


「あ、はーい」


「はい、松前さん」


「私は委員会の方もありますし、着替える時間とかも考えて、調理担当か列整理が良いと思うんですけど」


「あ、あー……そういうのはナシで。松前さんは体調不良が無い限り強制参加になってます」


「河豚名君がですねー、戸籍的にまだ男で……えっ?」


「因みに河豚名君も半強制参加です」


「えっ」


 ポカンと口を開いたままの美少女2人。


 哀れ、去年実を推薦した方法で河豚名を推薦して男装役になることを回避しようとするも、既に男装することは決定していた。推薦しようとしていた河豚名と共に。


「ちょっ……私聞いてないんだけど!?」


「多数決で決まったので……」


「それも聞いてないんですけど!?」


「前にクラス皆の推薦を聞いたときに、1番多かったのが河豚名君で、2番目に多かったのが松前さんだったから。因みに3番目は林さんだったね。河豚名君と松前さんが多くて、この2人がクラスの9割が占めていたから、2人は半強制で男装決定になりました」


 去年の文化祭から経験を活かしたのか、手際が良くなっている。


 前は根回しなどはなくて、アドリブで速攻を決めたのとは対照的だった。


「まー君代わって!」


「俺男だから“男装”にはならないだろ」


「じゃあ女装で良いから!」


「何でそうなる」


 取り敢えず実は混乱して、意味不明なことを口走っていた。


「え……? えっ」


 因みに河豚名は何が何だか理解していないようだった。


 その後、実に「本当に嫌なら止めるか?」と聞いてみるも「別にいい」と、去年よりも応酬の弱い了承が得られてしまった。女装というものよりも男装はやはり抵抗は無いらしい。


 応酬の中で「まー君が見たいなら良いけど……」とか言っていたけど、ここで否定していたらどうなっていたのだろうか。……ってか、何でそんなことを俺に聞いたんだろう……?


 そして、我に返って微妙な顔をしていた河豚名だったが、林さんに何事か言われて少し嬉しそうな顔をして、先の不満気な雰囲気は無くなっていた。

書いた後にこの話必要だったか、雑味が強すぎないか悩んだ所存。

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― 新着の感想 ―
[一言] 数の暴力で押し切って嫌がる事を強制的にやらせる。 それでも断れば空気の読めない協調性の無い奴と村八分で教師は面倒を恐れて見て見ぬ振り。 教育委員会は責任取らされるのが嫌で隠蔽作業に邁進。 …
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