39話+ あの人は今
一応、見なくても大丈夫っちゃ大丈夫です。
―Mirai Side―
大学に入って1年目の初夏。大学のシステムや講義にも慣れてきたころ。
「熊野は飲み会行かないの? サークルの」
「いやぁ、私は未成年なんで」
「えぇー、別にいいじゃーん。未成年で飲んでなくても他の子とかも来てるよー? それにこういう時に来てないと、飲める年齢になってもお呼ばれされにくくなって、馴染めないって子はよく見るからさ。だから1回、1回だけ来てみたらいいんじゃない?」
「そう……なんですか?」
「軽い感じに飲みに行くだけだし、サークル内の飲みだから緊張することもそんなに無いと思うし、サークルの中の不穏な雰囲気にならないように無理に男女間でゴチャゴチャしたことはしないし」
「はぁ……」
意味はイマイチわからないけど、なんとなく男女間でも気を遣っている……という風に聞こえる。
「とにかくワイワイするだけで、実際にお酒を飲むかどうかとか、口説かれるかどうかとかはあまり関係ない……ってことですか?」
「そう! そう、それ! 言いたいこと言ってくれた! まさにそうだよ! で、どう? 1回来て見ない?」
「うーん……」
「今日の飲みは男の多め出しだから、お金もあんまり心配しなくて良いと思うし!」
「そう、ですか……」
「何事にも初めてはあるって! 大丈夫、大丈夫、あの女の先輩も初めて飲みに行ってたのは1年の時だし! 何かあったら俺が責任とるからさー」
「そこまで言うなら……」
「よっしゃ!」
先輩はガッツポーズして喜んでいた。
「そんなに嬉しいものですか?」
「女の子が1人いるのといないのとでは場の華が違うからね。他の皆も喜ぶよ」
「そうですか……」
「じゃあ、参加費は……1年の女の子だし、1200で」
「はぁ……では、これで」
「1000と……確認した。じゃ、俺は幹事に持ってくから」
「ありがとうございます……」
ハツラツとして走っていく先輩の姿を、少し引きながら眺めていたのだった。
―Another Side―
「例の新入生、どうだった?」
「イケた……ヘヘヘへへ」
「イヨッシャ! これで……なぁ?」
「じゃあまあ、誰から行く?」
「出来れば俺か……長が良いかとは思ったけど、やっぱお前の手柄だからな、1番目はお前で」
「ヒィイッヒ……。持つべきものは理解ある同胞だな。……あっ、これ、参加費」
「ほいほいーっと、……ん。じゃあ最後の講義行って、”お楽しみ”と行こうか……へヘヘッ」
「嫌いなウーロンハイを飲むのが楽しみだぜ……ギヒィッヒ」
とある大学のとある食堂では、そんな話が繰り広げられていたのだった……。




