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38話 二度目

 大型連休明けの初日。その朝。


「ねぇねぇ、あの子のコト知ってるー?」


「どの子のこと?」


「なんかさー」


 教室はなんだかザワザワしていた。それは連休明けに見る久々のクラスメイトの顔を思い出してのことではないようだった。


「なんだろ?」


「さぁ?」


 実に聞いてみても、知りたい答えは帰って来なかった。


「まさか誰かTS化してたりして」


「そんな実じゃないんだからさぁー……」


 そんな話をしていると、担任の浜竹先生が入って来た。


「はーい、静かにー。今日はちょっと朝から用事あるから早めに静かにー」


 浜竹先生はため息混じりに、そしていつの日かの如く、頭を出席簿でコツコツと叩きながら教卓に着いた。


「先生1つ質問良いですかー?」


「多分こっちの話でおおよそ解決するからそうじゃなかったとしたら後でー」


 クラスメイトの1人からの質問も華麗にスルーし、先生は本題に入った。


「じゃ、出欠取る前に皆に知ってもらうことがあるから。はぁ……。入ってー」


 先生が呼び、その声と共に入って来たのは、女生徒だった。


「ええっと……、1年前に私のクラスだった人たちはなんとなく察することが出来ると思うけど……、この人は河豚名君です」


「どうも……ハハハ……。河豚名 樟利です……。去年の松前と同じく、連休前にTS病に掛かってこの身体になりました。よろしくお願いします」


 そして去年と同様に、静寂からの動揺の声で教室が震えたのだった。


 ざわめく教室は数時間が経ち、ある程度落ち着いて放課後となった。


「で、河豚名は男に戻りたいの?」


「え……? 戻り……、たい、けど……」


「なんかぎこちなくないか……? 本当は別にこのままでもいいんじゃ……」


「戻りたい! 戻りたいです! 戻り隊隊長です!」


 何それ……。


「じゃあ……おーい、実!」


「な、何……?」


「御新規様、1名です」


「何が……? ――っああ! そういうこと?」


「らしいです。……じゃあ、俺はこの後することある?」


「いや……多分、大丈夫。……ありがと」


「感謝されるほどのことでもないだろ? それじゃ、後は頼んだ」


「分かった。任された」


「じゃあ河豚名、そういうことで」


「おお? おう……。おおぅ?」


 困惑している河豚名のことを実に預け、2人と今日の別れを告げたのであった。

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