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3話 連休前にアレコレ

 連休前の平日。の、放課後。


「ほーい、プリントとノート。毎度のことながら、ノートの綺麗さは期待するなよ」


「サンキュ」


 俺たちが通っている高校の春の連休はまとめて休むことになっているため、次、学校へ行くのは再来週だ。その代わり他の学校よりほんの少し長期休暇が短い、らしい。


 そんなことはさておき。


「明日から連休だな」


「数日休んだし、あんまり授業のことであんまり分かってないこともあるからそこだけ連休の内の1日か2日くらい教えてくれないか?」


「いいけど、殆どが中学のときのものの復習が大概だろ? 大丈夫じゃないか?」


「中学の復習のところだけじゃなくて、大丈夫じゃないところを教えて欲しいんだよ」


「そこまでなかったような気がするけど……なんとか思い出してみる」


 プリントとかでそこまで遅れはとってないとは思う。だから俺が自発的に教えるよりも、分からないところを言ってもらうのがいいだろうな。


1時間と数十分後


「今日の“お勉強”はこれくらいでいいか? 俺疲れたんだけど」


「んー……それもそうだな。ありがとな。できればあと2、3回したいんだけど、次行けそうな日とかある?」


「俺は明日でもいいけど?」


「明日かー……どうしよっかな」


「お前から言い出しただろうに……」


 勉強会の日程を決めたがっていた割には、即日は嫌なのだろうか。


「明日は何かあんのかよ」


「いや~……母親と妹に服買えって言われてさ~」


「多少はなんとかなるだろうけど、専用のものとかあるもんな」


「面倒くせ~な~……」


「しゃーねーだろ。生活の大部分が変わっちまうんだから、服くらい」


 元々、実は服に頓着するような性格ではなかった為か、こういうことも面倒の二文字で片付けたいんだろうな。


「じゃあ、明後日か?」


「それで頼む」


 ふぃー……。授業のことを教えた疲れも残っているからだと思うが、次回の予定を決めただけで、更に疲れたような気がする。


「それじゃ、久しぶりにゲームでもするか?」


「んー……」


 時計を確認。


「そうだな」


 今、思えば、中三の夏休み以降は一緒に遊んで無かった気がする。


 高校受験は勿論のこと、高校入学後も新生活に慣れるために放課後も各々独自に色々していたからな。


「……ん? どうした?」


「あー……、いや、別に」


 実がこちらを見ていたことを指摘しても、彼自身も首を傾げて応えたので、これ以上聞いても何も返ってこないと思ったので、追及はしなかった。


……。


「……」


「はぁ……」


「ここは……これか」


「ふぅ……」


「……」


「んん……ふぅん……」


「あのさ」


「なんだ?」


「溜め息多くない?」


 ゲームに集中しづらい。


「そうか?」


「勉強とかは……別にどうともないよな、解決策自体は実の方から提案してきたし。他に何か悩んでることとかあんのか?」


「悩み……悩みねぇ……」


「はい、撃破」


「セコっ!」


 ゲームの決着がつき、実は天を仰いで目を伏せた。


「う~ん……」


 拳を顎に当て、実は考えているが、その姿もう本当に女子になってしまったんだなと、外から見て思う。


 その顔つきは実が男だったときを女っぽくしたような顔立ち……といった具合なのだが、数日前に女体化を打ち明けられたときよりも自然な感じ、「元から女子だった」ような印象を受ける。


「……何だよ」


 こちらの視線に気づいたのか、怪訝な眼差しを向けて来た。


「いやぁ、本当に変わったんだなってさ」


「んなこた休み始めたときから分かってたことだろ?」


「そりゃ分かってるけどさ」


 実の服装を見る。変わって初日、会った時はぶかぶかになっていたパーカーで体形が隠れていたが、今は普段来ていたようなシャツを着ていたため、特に違いが見られた。


 初日以外はプリントとノートを渡すだけ渡して、実がノートを写し終えたら返す。それだけだったから、そこまでちゃんと意識して見ることなんてなかったしな。返すときは玄関口、それも夜だったから見ようとしないとよく見えないし。


「あ」


「どした?」


「んー……やっぱなんでもない」


「本当にどうした」


「まだ分からんから分かったら言う」


「そうかよ」


 今回は聞けそうだったが、まあ、こういうこと言って、言うときは言うし言わないときっと俺自身も忘れてるから、別にいいか。


 その日は再びゲームをした後、特に何事かある訳でもなく、帰ったのだった。

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