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142話 LOADING

 さて、着いたのは電車1本で来られる地元から遠目のショッピングモール。


 時折来ることのある場所だけど、実と2人で来たのはいつ以来だったっけか。


 アレ? 初めてだったっけ? 緊張してあんまり思い出せないな。


「まー君」


「どした?」


「その……」


 駅を出て暫く歩き、ショッピングモールを前にして実がモジモジしながら何かを言いたげにしていた。……その姿がなとなく、愛おしく感じてしまうな。


「腕……良いかな?」


「おー……?」


 実が手を俺の腕に向けて差し出した。これはつまり、腕を絡めたいということだろうか。


「ダメ、かな……?」


 ダメじゃないけど……。何か緊張してしまう。


 以前……丁度1年前くらい、連休で出掛けていた帰り際に絡めたことがあるけど、その時とは俺の感情は違うからだ。


 ……とはいえ、俺たちの関係性が大きく変わった訳じゃないし、ここなら学校や地元の人に見られて揶揄われるリスクも少ない。それに前例もあるので、断る理由は無かった。


「えっと……」


「ゴク……」


 実の喉が鳴った気がした。


「どうぞ」


「あ、ありがと……」


 そう言って実は俺の腕に絡みついてきた。前はどうにもしてなかったはずだと記憶してるけど、今回、実は少し頬に色を染めている。言った割には恥ずかしさはあるのか? 謎だ。


 そして腕に感じる柔らかさ。


「じゃ、じゃあ改めて、行きま、しょう……」


「お、おう……。そうだ、な……」


 2人ともぎこちなさ過ぎだろ……。


 “2人ともぎこちな”いということは、やっぱり、実は……。


 今から遊びに行くんだし、あまり余計なこと考えないようにしないと。少なくとも、あと半日はあるはず……。焦らずに行こう。時間はまだある。落ち着け。


 それから遊びに出てみれば、案外いつも通りというか、いつのまにか緊張はしなくなっていた。


「こうやって遊んでると、受験のことなんかサッパリ忘れちゃうよね」


「そうだな。たまにはこういう息抜きが必要だって、思い知らされるな」


 ……そうだなぁ。改めて思う、受験が終われば俺たちは恐らく別々の道に行くのだろうな、と。それも含めて俺自身の想いもどうしたいのかも、ここで決めなければならないのか。


「そろそろお昼だし、どこかに食べに行こっか」


「ああ。どこにする?」


 時間も良い感じに過ぎてしまえば、実の顔にはショッピングモールに入る前のように緊張していた表情は、綺麗サッパリ消えているように思えた。やはり実が俺のことを何事か想っているとの予想は、全くの的外れだったのかも知れない。


「イタリアンはアリ?」


「俺はアリだと思う」


「少し歩いたところにあるから、そこにしよ?」


 実が指し示したレストランは、そう遠くない位置にあるモールの中の店だった。


「いらっしゃませー。何名様でございましょうかー?」


「2人で」


「承知しました。奥の空いてる席へどうぞー。2名様ご案内でーす!」


 店員さんに促されて、奥の席へ。


 店員の彼は学生なのだろうか。外から見たお店の印象は他の店と比べて落ち着いているように感じるけど、店員としての対応はやや粗雑なモノにも見えた。まあ連休だし、雑というよりは余力というか、スタミナを残して受け答えをして連日働けるようにしているのだろう。


 ま、そんなことはどうでもいいとして。


「色々あるし、見た目もオシャレなのが多いね~」


 メニューを見ながら目を輝かせる実。その瞳は全く以って邪念を感じない無垢のものだ。


 ……やっぱり、実が俺のことを……というのは、俺の思い過ごしかな?

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