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119話 重心

「着いたけど、まずはどこ行く?」


「んー、そうだねぇ」


 いつも行くところとは違うショッピングモールに着いて、辺りを見回してみる。


 時期が時期だからか、学生のグループは少ない。その代わり、入学進学のためか家族連れで来ている人がちらほらと。


「本とか雑貨とかが良いかな? 食べ物系はお昼までに取っておきたいし、服とかは嵩張るからね」


「それもそっか。OK。ここからだと雑貨屋の方が近いから、そっち行こっか」


 モールの広場での話し合いも終わって歩き出した。


「雑貨の専門店って向こうのモールには無いから新鮮だな」


「ね。……ん?」


「お? 何か、良いのあった?」


「ちょっと、気になるのが」


「どんなの?」


「こんなの」


「何何……マスキングテープ?」


「色々と使えるからね」


「へぇ~……何かを貼る以外に使い道とかあるんだ」


「メモとかにも使えるし」


「……それ普通のメモ帳じゃダメなの?」


「別にそれでも使えるけど、普通のメモ帳だと下敷き代わりの台紙が柔らかくて書きにくくなることがあるけど、マスキングテープだとあまりないかな。あと、長さが決められるから無駄に使っちゃうスペースとかもこっちだとより少なくできるし」


「なるほどなぁ~。そんな使い方もあるのか~」


 こういった雑貨っていつの間にか元の使い方とは全く違うモノになってたりするよな。


 そんなことを考えつつ、その他2、3の雑貨を買って次の店へ。


「本屋ねぇ……」


 次のテストも近いし、今年からは受験生。参考書やら何やらのことが頭を過ぎってしまう。


「まー君は気になる本とかある?」


「いやぁ、どうにも参考書とかのことを考えちゃって……」


「あー……それは確かにそだね」


 実は苦笑しながら並ぶ本棚を見渡した。


「まあでも遊びに来たんだし、流行りの本でも見て忘れちゃおう!」


 そう言って実は一冊の本を手に取った。


「こういうの流行ってんの?」


 その本は本屋の入り口付近に置かれていた棚の真ん中に平積みされていた、小説に疎い自分でも聞いたことのある作家の小説だった。確か、推理小説だったっけ。帯には「心躍らせるアクション。結末の衝撃!」などと書かれている。


「ここにあるってことは、流行ってるってコトじゃないの?」


「いや実も知らないのかよ」


 思わずツッコんじゃったよ。


「まー君の気になる本のジャンルとかあるの? 勉強系以外で」


「う~ん……、本自体あんまり読まないしな……。教科書とか放送の朗読課題の本以外は……あ」


「何か思いついた?」


「放送関連で強いて言えば……演技関係だったりアナウンスや朗読の発声関係の本だったりが気になるかな」


「アハハ……放送関係なんだね。勉強系以外って言ってもそっちの本が気になるあたり、まー君って本当に勉強熱心だよね」


「結局そっちの方を見てしまうかな。技術書とかの方が……ね。小説とか啓発書とかはあんまり……。台本も書いていたから小説とかも見た方が良いかなとは思えるけどさ」


「雑誌とかは?」


「そっちもあんまり読まないかな~……。街の食堂とかで待ち時間長くて端末の充電が心もとなかったりするとそこにある雑誌とか読むこともあるかも知れないけど……」


「あー……、私も大体そんな感じかも」


「そういう実はどうなんだ? 普段買う本とかあんの?」


「中学までは私も本とかあまり興味なかったけど、高校に入ってからはファッション誌とか……TS病に掛かった人について書いてある本とかも、買ったりしたかな」


「はー……なるほど」


 ……やっぱり、実も実で悩んでいることとかあるんだろうな。


「じゃあさ、せっかく本屋さんに来たんだし、安めの本1冊で良いから何か買ってみようよ。まー君もあんまり本屋さんに来ることも無かったでしょ?」


「んー、それ良いな」


 その後、それぞれ文庫本サイズの小説を1冊ずつ買って店を出た。書店を出た後はモール内を暫くウィンドウショッピングしながら回るのだった。

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