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0話 TS病発見とそれにまつわる社会情勢について。

最初の数行読んで「あ、メンドクセ!」って思った方は最初の3行ほどと最後の3行ほどを読んで次の話に入っても大丈夫です。読んでいて「こんな設定あったっけ?」ってなったらこの話を再び読みに戻ると良いかもしれません。

・指定難病:堅持性同一性一時的転換症候群、通称TS病(旧名:一時的性転換症候群)。


 20世紀の終わり、突如どこからともなく発現した病。その病の特徴とはズバリ、ある日突然、体の性が転換するという病気である。


男女ともに発症することがあるらしいが、その発症件数はどこかの国が調べたところ、男性983:2女性という割合という結果になったらしい。特効薬もワクチンもなく、そもそも何が原因で起こるのかも分かっていない。遺伝子が原因で最初からそうなるように突然変異したのか、未知の細菌やウイルスかなのかさえも。指定難病となっている割に発症者が多い。というより、発症者が割かし多いのに分かっていないことが多すぎるのだろう。


発症は寝ている間に起こることが共通しており、発症する年齢は第二次性徴以降30歳代前半ほどまでと言われている。完治……というか、戻るというか、寛解?というヤツなのか……兎に角性別が元に戻るのは人それぞれだが、今のところ5年の内に戻ったというのが、症状が戻った中での最長らしい。


近年の脳科学の研究に於いて、トランスジェンダー性が無い場合に発症することが分かったらしい。それが分かるまでは一時的性転換症候群と呼ばれ、分かった今は堅持性同一性一時的転換症候群という名前が正式なものとなった。


あ、ちなみに名前の切るところはよく「堅持性、同一性、一時的、転換、症候群」と思われているけど、正確には「堅持、性同一性、一時的、転換、症候群」というらしい。先ほどの研究から、性同一性が堅持されているのかどうかが分かるようになり、それによって発症者の特徴づけができるようになった。


 この……長いので通称のTS病で通すが、このTS病、正確には分からないが、これを「受け入れる」と治らないらしい。「受け入れる」というのは、少なくとも発症後の転換した性を受け入れ、その異性のパートナーがいることになった発症者で元の性に戻った前例は一つとしてないらしい。


 TS病が世間に広く認識されて数十年、世界の在り方も変わった。


 ジェンダレス区分のトイレが増え、学校の体育について、着替えはTS病の者は別に、実際の科目に於いては転換後の性で扱われることが多い。中学高校の保健の授業にも概要の説明があり、勿論教科書にも書かれている。


 21世紀に入ってから急激に、まるで「ずっと昔から存在した」かのように近い存在となったTS病。


 とはいえ、中学時代にTS病を発症している人はいなかったし、高校に上がって今の学校には数人、それも全く関わりない人が数人いるだけで、そこまで自分の人生とあまり関係はないと思っていた。


 その意識が変わったのは、高校1年、入学直ぐの連休前の話だった。

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