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奴らのシステムの特徴

〇ソースコードにまともにコメントやインデントが無い。

 勿論解読にもデバッグにも苦労します。

 だがそれを問題視してもうちょっと整えようという気持ちが何故か奴らには発生せず、毎回バグを発生させて自分のソースの難解さに頭をひねって残業、休日出勤をします。


〇たまに動き、たまに動かない、原因は謎

 職人気質の開発者であれば、テスト中に不思議な動作が有れば立ち止まって原因を追究し、納得して取り除きます。

 だが奴らにはそんなメンタルが存在しません。

 何か不安定だけど一回動いたからOKと全て放置します。

 それが積もり積もって一番解析困難な、運で動くシステムが出来上がります。


〇マジックナンバーのロングパスをするジェンガみたいなバランスシステムを作って疑問を抱かない

 マジックナンバーってのは例えばなろうで言うならジャンルという変数が有ったとして、1がファンタジー、2がSF、3がアクションと言った数値を割り当てた時の、生の数値の事です。

 普通は定数やEnum値という物を作り、例えば「TYPE_FANTASY」「TYPE_SF」と言ったシステム全体で共有する定数文字列に置き換えて値をやり取りします。

 しかし奴らは、


 Parameter[7] = 3


 といった事を平気で行い、そのParameter配列を多数の関数、クラス、データベースやデータをプールする部分に放流し、遥か遠距離まで流したあとで


 IF Parameter[7] = 3 THEN ~


 といった事をやりやがるので、その部分の改修をしてたら『一体この数字は何だ?』と悩んでソーストレースの大冒険をしなければならなくなる上に、マジックナンバー直書きだからいずれシステムの一部アップグレード時に他への影響を忘れたり、不整合な物を組み上げやがります。

 そして自分達のバグで自分達が苦しんで残業や休日出勤を繰り返しますが、改善しようと言う意識が奴らには発生しません。


〇言われた事しかやらず、致命的な影響が容易に想像出来ても問題視しない

 例えばお家の庭に噴水を作って下さいとお願いします。

 こんなイメージですと絵で示します。

 奴らが作りました。

 言われた通りの恰好の噴水の様な置物です。

 なお、水は出ないし、水道も繋がっていません。

 だって水道管を繋げて水を吹き上げるギミックを付けろと指示されて無いから。


 なお、依頼人はすっかり忘れていましたが、その噴水の位置は土で埋もれているだけで、地下室への入り口が有り、今家族の一人が中に籠ってサバイバルしてました。

 奴らは噴水の置物を作る時に、地下室の入り口の存在も、中に人が居る事も知りました。

 でも入り口をふさぐ置物を作って知らんぷりしました。

 何から何まで指定しないのが悪いと言うのが彼らの主張です。

 『私は悪くない』なのです。

 全体を考えたり、他者の都合を考えたり、論理的に物事を判断して臨機応変に対応したり出来ません。


〇テストしない

 異常系パターンなどは、ものによってはテストをするのが難しい事もあります。

 奴らはそれはやらずにスルーして『出来ました』と言います。


〇後先を考えない

 例えば南北に流れる道路と東西に流れる道路の十字路が有りました。

 東西の道路を車がいっぱい通ろうとしていると、巨大な岩が有って通れません、これは問題です。

 奴らは巨大な岩の位置を東西の道路から移動させ、南北の道路のど真ん中に移しました。

 これで東西の行き来は出来ました。

 すると南北を走る車が巨大な岩にぶつかりました。


 「通れないぞなんとかしろ!」


 奴らは今度は南北を走る道路に置いてあった巨大な岩を移動させて南北を通れるように修正し、東西の道路のど真ん中に移動させて再度東西の通行を阻害しました。

 それを通行阻害された方の道路の車に言われるたびに繰り返します。

 そう。

 奴らにはその巨大な岩を東西、南北、どちらの道路にも干渉しない場所へ移動するという発想が出来ないのです。


〇エラーを発生させない、発生させても何のエラーか分からない

 プログラムをしていると各所でエラーが発生すると判断出来るポイントが出てきます。

 奴らはその判定をしません。

 データや状況が明らかに間違ってこじれたままシステムは突っ走ります。

 結果解析困難な状況に陥って関係者も、奴らも全員青い顔で何日も悩みます。

 でも改める気は有りません。


 そして普通はエラーが発生すれば、それが分かるエラーを主張するのがシステムです。


 『20行目で字下げ出来てないよ』

 『35行目のセリフの末尾が!で終わってるのに読点が付いてるよ』

 『文字数が200文字に満たないから投稿出来ないよ』


 奴らが吐くエラーはこうです。


 『Error』

 『Error』

 『Error』

 『Error』


 どこで何が起こったのか分かりません。

 エラーが起こった事だけが分かります。

 ソースコードを全トレースして、今の状況分析から通ったであろうルートを絞り込んで、実際に試して初めて何のエラーか分かります。

 エラーログは開発者向けですが、奴らはお客さん向けにも同じノリでやります。


 購入ボタンをポチッ!


 『駄目です、買えません』


 いや、お金は足りてるでしょ、ポチッ!


 『駄目です、買えません』


 何が駄目なのかは絶対に教えません。

 それが奴らのシステムです。


〇意地でも根本修正をしない

 とあるビルが有りました。

 依頼人「ベランダを付けてくれ」

 奴ら「南側にベランダを作ったよ」


 数日後の依頼人「もう一つベランダを付けてくれ」

 奴ら「南側のベランダを2倍の奥行にしたよ」


 数日後の依頼人「巨大冷蔵庫を置きたいんだけどスペース無いんだよね」

 奴ら「南側のベランダに配置しておいたよ」


 数日後の依頼人「看板を取り付けて宣伝したんだけど」

 奴ら「南側のベランダの一番外側からさらに外に大きな看板を取り付けたよ」


 重量が南に偏り過ぎて、ゆっくりとビルが傾いていきます。


 依頼人「ちょっとどうすんの? なんか傾いてる気がするんだけど。あ、あと電波塔付けて欲しいんだ」

 奴ら「南側のベランダの一番外側から伸びた看板のさらに先に電波塔を付けたよ」


 依頼人「ちょっとまって、そもそも根本改造してよ」

 奴ら「出来ないです」


〇分かりやすく状況を教える気が無い

 購入ボタンをポチッ!


 『駄目です、買えません』


 関係者「おかしぃなぁ。仕様上買えるはずなんだよなぁ。そや。ログみたろ」


 ログ(E023453T334)


 開発者「エラーコード一覧表持ってこい! えぇと……? 載ってねぇぇ! ソースコード解析しないと原因が分からねぇええ!」


 エラーコード一覧表はメンテされない事が度々です。

 そう、奴らのシステムはソースコードを解析しながら運用するものなのです。

 ソースコードを与えられていないお客様は完全に詰みます。


〇メイン機能が満たされない

 お客「炊飯器作ってくれない? お米を炊ける奴」

 奴ら「出来たよ」


 お客「お米と水を入れてっと、ポチッとな。あれ? 電気付かねぇぞ。つーか米が炊けねぇええ!」


 思いやりや良心が欠片程もあったなら、『炊飯器でお米が炊けなかったら困るだろうな。何とかしてやろう』と思って何とかします。

 奴らには

 【STEP1】「~だったら困るだろうなぁ(他者の気持ちを想像)」

 【STEP2】「俺が一肌脱いで何とかしてやろう(自己犠牲の精神)」

 が存在しません。


〇他者に伝えるまともな資料を作らない

 奴らが常に対応出来る訳では無く、他の人々が代わりに対応せざるを得なくなるのは日常茶飯事です。

 でも奴らはトリコに出てくる最高難易度の特殊調理食材のようなシステムを作り、他人に何の資料も説明もなくポイッと渡して何とも思いません。


「こんなの初見じゃわからないだろうなぁ」

「ある程度説明作ってやらないと厳しいだろうなぁ」

「教えてやらないと無理だし絶対聞かれるよ」


 と考えられる才能を持つ奴が100人中5人居ません。


〇ロジックが穴だらけ、運用者にミスの無い完璧な前提条件が整っている事を求める超デリケートなわがままシステム

 まともな職人気質の開発者であれば、想定できる100%の状況に対応出来るロジックを考えます。

 奴らは碌に説明もない実現困難な手順を運用者に守らせた上で、60%のメインルートがおっかなびっくり状態で通るロジックを作ります。

 40%はバグります。

 でも奴らのシステムはエラーと主張して鳴かないので、なんとなくバレず、平穏に時が過ぎていくのです。

 泣いて全面的にケツを拭くのは、奴らの代わりにそのシステムの一部改修を担当してしまった真面目な奴です。


〇疑問を持たず、顧みない

 これらの問題で奴ら自身苦しんでいるのですが、やっぱり奴らはそれが問題だと思いつくことが出来ません。

 言われても同じです。

 よって改善する事も無く、いつまでもいつまでも、毎回毎回苦しみます。


〇許されて、守られる

 真面目な奴は厳しい事を言われ、要求されます。

 でも奴らはされません。

 いつまでもいつまでも重用され続けます。

 奴らは守られている特別な存在なのです。

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