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貴族の責任と不敬

ナタリエの暴言暴挙が止まりません。


ナタリエの言葉に冷えていた体の芯が熱を持ち始めた気がする。


「ルッツは立派な騎士です。侮辱するのは止めてください。わたくしにはもったいないぐらいです」


「あら。平民を騎士と認めるのね。騎士団長もどういうおつもりなのかしら。いくら娘がかわいいからと言って図書室に行くために騎士を付けるなんて、職権濫用も甚だしいですわね」


「ルッツをわたくしに付けたのは父ではなく上司です。それにルッツは騎士団の所属ではありません」


「そう。なら貴女の上司も酔狂な方なのね。平民を騎士に任命するなんて、わたくしには理解できませんわ。その平民騎士がどこの所属か知りませんけど、平民の騎士を召し抱えるなんて、頭がおかしいとしか思えませんわね」


いやおい。私にはあんたの方がよっぽど頭がおかしいと思うよ。

ナタリエのあまりにも無知な発言に、呆れてしまった。おかげで熱を持ち始めていた体の芯が少し冷えた。


ナタリエの発言によると、ルッツは騎士団の所属ではなく王宮騎士なので、王族の護衛騎士に任命した国王陛下は『誇りがない』

ルッツを護衛騎士として傍に置いている王子様方は『酔狂』で『頭がおかしい』ということになる。

騎士団の騎士と王宮騎士は騎士服の色が違うから、所属に関しては一目瞭然のはずなのに。

もちろんそんなことは王典に書いてあるので、ちゃんと勉強した人なら誰でもわかることだ。


お父さまのことを『親バカ』と評したことは、

まぁ、そうかも知れないと思うのでちょっと横に置いておく。


ナタリエさんや、ものすごく不敬な発言をなさっている自覚は・・・


全くないようですね。


「うそだろ。この人バカなの?」


また横からボソッと聞こえる発言に心の中で同意した。


「ナタリエ様。今すぐ口を閉じて、お帰りになる方がよろしいかと思います。貴族たるもの、その発言や立ち居振る舞いには常に責任が付きまとうものです。理解しているとおっしゃいましたよね」


「当たり前よ。わたくしは王子の婚約者候補なのよ。そのわたくしに対してなんて失礼なのかしら。やっぱり残念姫ね」


いや、間違いなく私より貴女の方が残念ですよ。


「わたくしのみならず、両親や騎士、王族まで侮辱なさるなんて、貴女の方が余程失礼です。わたくし、貴女の発言に対してはキャンベル侯爵家に抗議させていただきますのでそのおつもりで」


「は?わたくしがいつ王族を侮辱したというの。言いがかりは止めていただきたいわ」


「それもお判りにならないのであれば、なおさらこれ以上口を開くことなくお帰りになって、もう一度王典と王典別冊を良く読み、内容を理解された方が良いと思います。それでは失礼いたします」


私は読んでいた本を持ってナタリエに背を向けた。


宰相の用が終わったのだろう。アランが来るのが見えた。私に気付いて少し足を速めている。


「なによっ!!残念姫のくせに、わたくしをバカにしてっ!!」


「やめろっ!!」


背後から聞こえたナタリエの大声と誰かが制止する声に、振り返った私は、額に激しい衝撃と痛みを感じた。


『目から火が出る』とはまさにこのことだ、なんて思いながら私は意識を失った。



とうとうやってしまいました。サラフルールはどうなったのでしょうか。

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