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禁書庫と2人目の婚約者候補

レオンハルト王子の婚約者2人目が登場します。


「おはようございます。サラフルール様」


王宮図書室の前でルッツが出迎えてくれた。


「おはよう。ルッツ。さあ、行きましょう」


昨日から引き続き、テンション爆上がりの私をルッツは完全スルーして、どうぞと扉を開けてくれた。


ふぉぉぉ~本がいっぱいですね。当たり前なんだけど。


蔵書量はかなりのものだと思う。図書室というより図書館と呼びたいぐらいだ。

きょろきょろ見回しているとルッツにアランが待っているから、と禁書庫に案内された。


「これってどうやって入るのかしら」


『許可なきもの入室不可』と書かれた扉の前で思案する。


「アラン様は普通に入って行かれましたよ」


ルッツに言われ、扉を押すと普通に開いた。


「来たな。サラ」


すぐそこにアランがいてちょっとびっくり。


「ねぇ。ここ普通に開いたのだけど、許可証の意味ってあるの?」


「当たり前だろう。許可証を持っていない者にはその扉を開けることはできない」


なるほど、持っているだけで良い魔術具なのね。


「そして、許可証を持っている者が2人以上いないと、ここから先へは進めない」


アランは少し先の床を差した。床の素材が違う。扉の内側すぐのところに設置されたティースペースのような場所は、タイルのような石貼り。少し先からは板貼りになっていた。


「そうなのね。待たせたかしら」


「それほどでもない」


このティースペースは待ち合い用らしい。扉の外で待ち合わせても良いが、許可証がないと禁書庫に入ることができないため、人目に付かぬよう中に待ち合いがあるのだという。時間をつぶせるよう、通常閲覧されている本が書棚に並べられていた。


少し軋む板張りの床をアランと並んで奥に向かう。


「禁書も結構たくさんあるのですね」


「そうだな。古代魔術の本とか、禁術の本とか、世に出せないものもたくさんあるようだな。まぁ多くは王族や国に関する機密事項や些末事のようだ」


些末事って何よって思ってたら、王族のラブレターとか日記とからしい。機密事項に比べたら些末事かもしれませんけれどもそんなものを保管しておく必要があるのかしら。


「この辺りだな」


アランが足を留めたのは、少しだけ奥まったところだ。レオ様とデル様からは、迷いの森近くにあったはずの王城を移築した経緯、古代の人と精霊の関わり、闇の精霊王の変遷を調べて欲しいと言われていた。


「私は移築関係を調べる」


「わたくしは、精霊について調べるわ」


アランはあらかじめ禁書庫の目録から、参考になりそうな文献の保管場所を調べておいたようだ。さすがアラン。用意周到ですね。

私は精霊に関する文献を何冊か手に取り、パラパラとめくりながら、気になる部分を書き出す。二人とも一言も発することなく、黙々と本を読んだ。

しばらくするとどこかからチリリン、と鈴が鳴るような音が聞こた。


「あぁ、ルッツが呼んでいるのだろう。用があるときは外にあるボタンを押すとこの音が鳴って、禁書庫の中の者に知らせることができるんだ」


「ちょうど良いわ。わたくしも少し休憩したいわ」


禁書庫の中に一人で残ることはできないのでアランと一緒に外に出た。アランは宰相から呼ばれたようだ。


「すまない。サラ。すぐ戻って来る」


アランは急いで図書室から出て行った。

さて、私はしばらく図書室を堪能しよう。


「ルッツも適当にしていてね。わたくしはアランが戻るまで読書をするわ」


うきうきしながら、手近な棚から数冊の本を取り読み始めた。


「ちょっと」


このお話、すごく面白い。恋愛ものかと思いきや、冒険ものだった。


「ちょっと。そこのアナタ」


借りて帰ろうかしら。続編もあるのかな。


「ちょっと。そこのアナタ。聞こえないの?」


突然大きな声がして、私の目の前に分厚い本が叩きつけられた。ものすごくびっくりした。声も出ないぐらい。

同じ机で書き物をしていた男性は、「あっ」と小さく叫んでいた。今の衝撃で字が乱れたのだろう。

顔を上げると見目麗しいご令嬢が腕を組んで、怒りの表情で私のことを見下ろしている。


「わたくしが話しかけているのに、無視するなんてどういうおつもりなの?」


話しかけたって言われてもねぇ。


「それは申し訳ございません。わたくしのお知り合いの方であれば、お手数おかけいたしますが、お名前をお聞かせいただけると助かります」


「へぇ。記憶がないっていうのは本当でしたのね」


そのご令嬢はふんと鼻で笑った。


「仕方ないわね。わたくしはナタリエ=キャンベルよ。侯爵家の令嬢ですわ」


えぇ・・・自分で令嬢って言うんだ。見るからに私のことが気に入らないというのが態度と言葉に現れている。


「失礼いたしました。ナタリエ様。わたくしのことをご存知なのであれば、名前を呼んでくださればよろしかったのに。『チョット』では、わたくしが呼ばれているとは思いませんもの」


うふふと笑っておく。


「なっ。貴女わたくしをバカにしているのね」


「いえ全くそのつもりはございません」


バカにしているのはそちらでしょうと思いつつ、目の前の女性をじっと見た。

ナタリエ=キャンベルという人に全く興味はない。どうでも良いのだ。でも知識はある。

私と同じ侯爵令嬢でレオ様の婚約者候補、父親は宰相の事務官主任をしている。


こんな人が婚約者候補だなんて、レオ様大丈夫?



レオンハルト王子の婚約者は全部で3人

2人目はなかなか激しい性格をなさっています。

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