レアアイテムとキラキラしい笑顔
年末年始のお休みはあっという間に終わりますね〜
今から初詣行ってきます。
おつかいから戻ったら、レオンハルト王子からレアアイテムをいただいた。
なんと、王宮図書室にある禁書庫の入室許可証だ。
赤銅色のメダル型の魔術具で、私の名前が刻まれている。
おお~。禁書が読み放題なんて、なんのご褒美ですか。今すぐ行きたい。
メダルに思わず頬擦りをした。
「一人では入れないぞ。サラフルール嬢」
私の爆上がりテンションに気付いたレオンハルト王子が呆れた顔をして教えてくれる。
書物の破損や盗難防止のためメダルを持つ者が2名いないと入れないそうだ。しかも禁書庫の書物は持ち出し禁止だって。
ちょっとがっかり。
「サラフルール嬢は本が好きなのか」
ヴェンデル王子も私の様子に苦笑いしている。
「はい。大好きです」
「それはちょうど良かった。本好きのサラフルール嬢にぴったりの仕事を頼みたい」
レオンハルト王子の笑顔が胡散臭い。イヤな予感がする。
「明日は、私もデルも公務があり、こちらには来ることができない。だからアランとサラフルール嬢には図書室で調べ物をして欲しい」
「ルッツも連れて行け」
「王子様方は護衛が減りますが大丈夫なのですか」
「大丈夫だ。王城内での公務だからな」
「外には出ないから多くの護衛は必要ない」
やったぁ。禁書庫だよ。ワクワクするぅ。
王子の笑顔が胡散臭いなんて言ってごめんなさい。イヤな予感どころか、良いお仕事ですね。
「お任せください」
アランはいたって冷静だ。
「サラ、浮かれすぎてメダルを落とさないようにしろよ」
「落としません。わたくしはそんなにうっかりではありません」
むうっとしながらアランに言い返す。
「アランはいつからサラフルール嬢のことを愛称で呼ぶようになったのだ」
レオンハルト王子がニヤニヤしている。
「あ、いえ、それは、その」
アランは王子二人に追及されて、私への償いであることを白状した。
「アランが呼んでいるのだから、私たちも『サラ』と呼んでも良いだろうか」
「はい。もちろんです。お好きなようにお呼びください」
「では、我々のことも『レオ』と『デル』と呼ぶように」
「それは‥‥恐れ多くて無理です」
「私たちが良いと言っているのだ」
「無理です」
「アランは我々の部下だからな。部下の失態は上司である我々の責任だ」
ヴェンデル王子が言うと、今度はアランが慌て始める。
「王子。そんな。悪いのは私です。償うのは私だけで良いではありませんか」
「そうです。アランだけで充分です」
私とアランが慌てているのを見て、レオンハルト王子はクスクス笑い始めた。
「すまない。ちょっとからかっただけだ。償いのつもりではないのだ」
アランが私のことを愛称で呼んでいるのだから自分たちも、と思ったとヴェンデル王子が言う。
「それに、サラフルール嬢もアランのことを呼び捨てにしているだろう」
「レオンハルト王子。それはアランですし・・・」
「サラ。『レオ』だ」
「いや、でも、そんな」
レオンハルト王子が私に近づく。
「サラ」
どんどん近づいてくる。
「レオンハルト王子。近いです。その、少し離れて」
「『レオ』だ」
ひぃ。いや何故私の手を握っているの。至近距離はダメぇ。
そんな攻撃は卑怯です。
「わかりましたわかりましたわかりましたからおねがいですから離れてください」
取られてない方の手でそっとレオンハルト王子の胸を押し、距離を取る。至近距離からのきらきらしい笑顔はある意味、兵器だ。
お二人には公の場では呼ばないこと、敬称を付けることでなんとか妥協してもらった。
敬称なしでも良いとおっしゃったけど、絶対無理。
以前アランも同じようにして愛称呼びを迫られたらしい。レオ様に迫られるアラン・・・BLだ。




