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寝不足としばしの別れ

大晦日です

今年は色々と大変な1年でしたが

来年こそは良いことばかりの1年になりますように


選定の儀については、誰も教えてくれなかったけど

選抜試験については、以前フリッツから基礎ができていれば大丈夫だと言われているし

アリソンにも選抜試験では手を抜いたほうがいいかもなんて言われているし

この様子なら分家は回避できそうだと少し安心した。


総魔力量を増やすため、いつもは、寝る前に自分の中の魔力をほぼ空にするのだけれど、アリソンが言っていた通りもう十分みたいだし、今日はもういいかなって思ってそのまま休むことにした。



どれくらい眠っただろう。

眠っているのに、意識が起きているという感覚。

あ、まただって身構えた。


どんな感覚と言われると表現が難しいけど、少し肌寒いと感じ、周りの空気が粘つく感じ。

緩いゼリーの中にいるような感覚がするのだ。

息をひそめて周囲を伺っていると、遠くの方で何かが動いている気配がした。

その気配は以前感じた坂田のものと同じで、きっと坂田なのだろうと思った。

「何か」がブツブツ呟いている声と、引きずるような音が聞こえてきた。多分「オマエノセイダ」って呟いてるんだと思うんだけど。

幸い(?)にも何を言っているのか良く聞こえない。

辺り一面鼻をつままれてもわからないような暗闇で

私は音のする方をじっと目を凝らして見つめていた。


近づいてきたらすぐに逃げられるように。


でも、そのうち、ブツブツ呟く声と何かを引きずるような音は次第に遠ざかって行き、いつの間にか聞こえなくなって・・・気が付いたら朝だった。



その日から毎日、同じ夢(?)を見るようになった。同じように、アイツの気配がして、ブツブツ呟く声が聞こえて、引きずるような音が聞こえて、音が次第に遠ざかっていき、気が付いたら朝。


そんな夜をかれこれ10日ほど続けているが、毎日少しずつ違っていることがあった。


「サラ様。大丈夫ですか。あまり眠れていないようなので心配です」


ベッドに腰かけたルウが心配そうに赤い瞳を揺らす。


「ごめんね。心配かけて。私は大丈夫よ」


夢の中で感じる坂田の気配が、日に日に近づいているような気がするのだ。おかげで眠るのが怖くなってしまった。

ルウが隣に座る私の髪を撫でてくれる。

いつもは私がルウを撫でているけど、今は、まぁ心配かけているから、こういうのも仕方ないと思う。


「なんで坂田が私の夢に現れるんだろう。坂田も死んだってことなのかな。それほど私のこと恨んでたってこと?それよりもこの夢はどうすれば見なくなるのかしら。そろそろ寝不足が限界だわ」


ルウに撫でられながら私がブツブツ呟いていると


「サラ様。ルウが調べてきます」


ルウが真剣な顔で宣言する。


「どうするの?危ないこと、しないよね」


ルウの手を取って尋ねる。


ただでさえ怖くて不安なのに、ルウなにかあったらと思うと不安が倍増だ。


「4日ほど留守にしたいのです。精霊の里に行って、精霊王さまにお聞きしてきます。サラ様に何が起こっているのか、精霊王さまならおわかりになるかも知れません」


私はルウに導かれてこの世界でサラフルールとなった。そして精霊であるルウに名付けをした。


精霊王さまは、名づけされた精霊と名付けをした者が、世の理に外れることのないよう常に見守っていてくれるのだそうだ。それに、精霊王さまは大変な長寿で、様々な知識があるので、きっと何か有効な情報がもらえるとルウは確信していた。精霊王さまの信頼って半端ないね。


「私はサラ様が心配なのです。きっと、サラ様のお役に立つ情報を得て戻りますので、しばらくおそばを離れることをお許しいただきたいのです」


ルウが必死な様子で、大きな瞳をウルウルさせながら私を見上げる。その上目遣いは反則だよ。可愛すぎて


「わかった。気を付けて行ってきてね」と言いながら、ぎゅうって抱きしめてしまったのは仕方ないと思う。

その夜はルウと一緒に手を繋いで眠り、明け方バルコニーから精霊の里に向かうルウを見送った。




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