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猫かぶり

猫かぶり 2

とある高校の朝の教室。

一人の少女が考えていた。


少女の考えていることとは、一週間くらい前まで仲が良かった同じクラスの『猫村』のこと。



朝一番に来て掃除をしていると、いつも必ず来て手伝ってくれた。

困った人達を助けてたら、その手伝いもしてくれるようになった。

私が読んでいた本を読んで、同じところで泣いていた。


それなのに突然、一週間前から他人行儀な態度を取るようになり、それ以来一度も話せてない


朝は来なくなった。

困ってる人を助けてる時には無視して通り過ぎる。

私が見たことも聞いたこともない本を読み始めた。


少女は猫村の顔は好みではなかったが、中身には惹かれていた。

それは好意と言うにはまだ小さいが、確実に育ち始めていたのだ。


だが、たまたまそんな時、同じクラスの神崎優馬に告白された。

顔がドンピシャに好みだったのと、初めての告白に舞い上がった少女は即了承してしまったのだ。

あとから考えるとなんでかなぁとか今更別れたいとか言えないなあとか思ってはいるが、そんなことよりも猫村がなぜあんな態度を取るようになったのか考えるのを優先していた。


結局考えに考えても答えは出ないまま一週間が過ぎているわけだが。



そんなことを考えながら、いつものように掃除をしていると、不意に教室のドアの開く音がした。

猫村くん?!と思って振り向くと、先週告白されて付き合い始めた神崎優馬だった。



「なーにしてんのー?」


神崎は少し……いやかなり軽い話し方をする。

それが少女は正直苦手だったが、あえて何も言わない。


「あ、おはよう。いつもの掃除だよ」

「ふーん。いつも一人でやってるの?」

「先週まで猫村くんとやってたんだけど、来なくなったの」

「へぇ猫村とねぇ。そいえばあいつお前のこと好きだったみたいなのに、先週から星見に冷たくなったよな」

「え?」


(好きだった?猫村くんが?私のことを?だとしたら……)


だとしたらなんでいきなり?

先週私が猫村くんに何かしたとは思えない……。


「ま、別にいいけど。それよりさぁ」


星見は考え込んでいて、気がついたときには神崎が目の前に。

そして星見が何か言う前に神崎は星見に軽くキスをした。


「きゃっ?!な、なにするの?!」

「なにってキスだよキス。俺ら付き合って一週間もたつのに全然させてくんないじゃん。丁度すきがあったからさ。もしかして初めて?」


初めてだった。

初めてのキスだった。

それを理解した星見は、


「なにすんのよ!ふざるな!出てけ!出てけえ!!」


怒鳴り散らしながら持ってた箒を神埼に向けて振り下ろした。

神埼の足元に叩きつけられた箒は真ん中あたりでポッキリ折れて、何処かに飛んでいく。

神埼は吃驚してすぐに教室から出ていった。



昼食の時間、星見は皆の目の前で神埼をふった。

人が大切にしていた初めてをいきなり奪ったからだと言うと、神埼はあせりながら教室から出ていった。


星見は無意識に猫村の方を視線を向けたが、猫村は我関せずと本を読んでいる。

そのことにガッカリして、ガッカリしたことに自分でも驚き、そんな自分を猫村に知ってほしいと思った。


とりあえず星見は猫村に話しかけることにした。

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