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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

くらげちゃんシリーズ(:]ミ

眠ちゃんは今日も眠たげ

作者: うろこ雲

・百合っぽい描写は仲良しこよしのお友達の範疇なので安心してお読みください。


・あとがきに人物紹介を追記しました


・連載との関連はほぼ皆無ですが、連載「自称癒し系の冷やし系少女は今日も背後から忍び寄る」のスピンオフです

 こんにちは!私は望美(のぞみ) 夢見(ゆめみ)!私立雲が丘学園の1年生だよ!今日も可愛いブレザーに袖を通して元気に登校するよ!

 私は毎朝7時20分に家を出て、お隣のお家に友達を迎えに行くの。おっきな門の横の表札には布枕(ぬのまくら)って書いてあるの。

 布枕さんちは大豪邸!4人家族だけど、使用人の人達のいるお金持ち!だけど全然気取ってなくて、みんなすっごくいい人たちなんだ!布枕さんちのお父さんは外交官。かっこいいしうちのお腹のでたお父さんとは大違い。でも2人は親友なんだって。なんだかおかしいね!

 インターホンを押すと、おっきな冊の門がゴゴゴって空いて、広いお庭が見えてくるよ!大きな噴水とかお姫様がいそうな庭園に、門までの距離はうちの4倍はあるからなんか圧倒されちゃう。ほんと何度来ても慣れないよぉ〜。でもでも、大切な友達を迎えに行くために気合を入れて頑張るぞ!

 綺麗な石畳の道を越えてもんまで着くと、メイド服を着た使用人の人が出迎えてくれる。最初見た時はびっくりしたな〜。メイドさんなんて絵本かテレビでしか見たことなかったもん。黒い髪を後ろで結ってピンと綺麗な姿勢で立ってる美人さんは刻山(こくやま)さん。最初はちょっと怖かったけど、今はとっても仲良し!


「望美さま、おはようございます」


 スッと頭を下げてお辞儀する刻山さんはいつ見てもかっこいい!これができる女の人なのかな。色んなことを知ってるし、私も刻山さんみたいな素敵な女性になりたいな!


「おはようございます刻山さん!いつも言ってるけど夢見でいいよ!」

「お嬢様のご友人に無礼があってはなりませんから」


 そう言うけど、刻山さんが失敗したところなんて見たことないよ!いつもすっごく優しいし、作ってくれるお菓子は絶品だし。名前で呼んではくれないけど。


(ねむり)ちゃんはまだ寝てる?」

「いえ。もう朝食を済ませて待っておいでです。ご案内致します」


 そう言うと刻山さんはスッと歩き出して私を案内してくれる。

 ギギギとこれまたおっきな扉を開いて中に入ると、ピカピカ光る白い大理石の床の長い廊下がお出迎え。黒い手すりの螺旋階段にキラキラ輝くシャンデリア。なんだかすっごく高そうな絵が金の額縁に入れられて壁に飾られて、おっきな壺とか、アンティークの家具とか。とにかくすっごくお洒落。前にお泊まりした時は緊張で眠れなかったな〜。刻山さんが相手してくれたから寂しくなかったけど!

 螺旋階段を上がってふかふかのカーペットが敷かれた廊下右に曲がるといよいよ私のお友達の部屋が見えてくる。あ、おはようございます!今のダンディーなお髭のおじさんは執事の影林(かげばやし)さん。どこからともなく現れて、いつの間にか居なくなる謎の使用人さんだけど、すごい量のお仕事をこなす超人って刻山さんは言ってた。でも見るといつもにこにこ笑っていて、ゆっくり動いてるように見えるけどなぁ。そんなことを考えてるとお友達の部屋に到着!コンコンコンとノックしてお洒落な気の扉を開けて中に入るよ。


「眠ちゃん?入るよ〜」


 ドア越しに声をかけるけど、いつものように返事はこない。まあ眠ちゃんだししょうがないよね。真鍮のノブを回してドアを開けると中は綺麗な女の子のお部屋。まほがにーとかいう素材の素敵な家具が少しあって、本棚と勉強机、ウォークインクローゼットが奥にあって、横に大きな天蓋付きベッドが置いてある。真っ白なシーツの上に私と同じ制服を着たままこてんと横になっているのは私のお友達の布枕(ぬのまくら) (ねむり)ちゃん。

 つやつやした黒髪のボブカット、雪のように真っ白なすべすべのお肌、ちょっとちっちゃめの149センチだけど手も足もすらっと細長くてまるで妖精さんみたいだ。今日も違う枕を抱いてすやすや眠ってる。

 可愛いな〜。ぷくっとしたほっぺたを思わずつんつんしたくなるけど我慢我慢。ぐずぐずしてると学校に遅刻しちゃうし、なんだか悪い気がするけど起こさないと。


「眠ちゃん起きて」

「…………」


 ゆさゆさ


「眠ちゃん私だよ。学校に行こう?」

「…………」


 わさわさ


「制服にしわが付いちゃうよ。起きて」

「…………」


 ゆらゆら


「起きないとほっぺたつついちゃうよ!」

「…………」


 わきわき……じゃなかった。

 ゆさゆさ


「もうっつついちゃうからね!」


 私はそーっと人差し指を眠ちゃんのほっぺたに近づける。あ、まつ毛長い。くちびるも綺麗な桜色だし……なんだかドキドキする!

 もう少しもう少し……あとちょっと……


 ぱし!


 と、あと1センチというところで私の指はちっちゃな手に掴まれて止められた。

 眠ちゃんは私の指を掴んだままゆっくりその目を開けた。お母さん譲りのコバルトブルーの瞳はまだ眠たげだけど、意識ははっきりしてるみたいだ。


「………ほっぺは…ダメ」


 私の指を離さないまま、眠ちゃんはゆっくり体を起こした。


「あはは……あとちょっとだったのに」


 眠ちゃんは寝てても周囲の状況が分かるみたいで、いたずらしようとしてもいつも気付かれちゃう。でも今日こそ眠ちゃんのぷにぷにのほっぺを堪能できると思ったのに!惜しかった。次は絶対触るんだから!


「おはよう眠ちゃん!」

「……ん。夢、おはよ」

「うん。お待たせ!学校に行こう?」


 私がそう言うと、眠ちゃんはこくんと頷いた。


「ああもう可愛い!!」


 私の中の『眠ちゃん可愛いさメーター』の針が振り切れて、思わずぎゅーっと抱きしめちゃう!

 眠ちゃんふわふわ〜、あったか〜。いい匂い。


「……夢…苦し……離して」

「もうちょっと。もう少しだけ」


 眠ちゃんは苦しそうにもぞもぞ動くけど、それがまた可愛くて、私は抱きしめる力をちょっと強める。


「眠ちゃん抱き枕〜」


 ぎゅぅううう〜


「痛い痛い!」


 ぎゅーっと抱きしめてたら、お腹をぎゅぅうううっとつねられて、ぱっと眠ちゃんから離されてしまう。

 眠ちゃんを見るとむすっと口をへの字にして抗議の表情。


「……………」


 ジーーーーーー。


「ご、ごめん!眠ちゃんが可愛くて思わず抱きしめちゃったの!」


 手を合わせて必死で謝ると、眠ちゃんはぷいと顔を背けてしまった。あちゃー怒っちゃった。


「ごめんね?」

「…………」


 眠ちゃんはしばらくの間顔を見せてくれなかったけど、1分くらいの長い沈黙の後にこそっとつぶやいた。


「………遅刻」

「え!?」


 腕時計を見ると7時42分。まだ間に合うけれど、この調子でぐずぐずしてると遅刻しちちゃう。


「そ、そうだね!じゃあ行こうか!」


 そう言って眠ちゃんのベッドから降りた。

 眠ちゃんはとたとたクローゼットまで行くと、扉を開けて中に入る。クローゼットから出てきた眠ちゃんは学校指定のバッグを背中に背負って枕を小脇に抱えている。今日は若草色のカバーにしたみたいだ。中は低反発のクッションタイプ。


「準備出来た?」


 こくん


「じゃあ行こっか!」


 こくん




 刻山さんの案内で部屋を出る。なんだか刻山さん顔が赤いけど大丈夫かな?風邪引いてる?


「問題ありません。ご心配ありがとうございます」


 体調がどうか聞くといつも通りの刻山さんに戻っていた。見間違えかな?風邪引いてないなら良かった!

 歩きながらふと眠ちゃんを見るといつも通りみたいだけど、ちょっと不機嫌さん?もしかしたらさっきのハグが嫌だったのかも。


「眠ちゃん」


 眠ちゃんはこてんと首を傾げる


「さっきはごめんね」


 眠ちゃんはとろんとした蒼い目でこちらをじっと見ると、


「……大丈夫。気にしてない」


 と言ってくれた。嬉しくてまた抱きついちゃいそうだったけど、それは眠ちゃんのひとにらみで止められた。残念。





 刻山さんと影林さん、その他の使用人さんに見送られて門を出る。


「「「「「行ってらっしゃいませ」」」」」

「行ってきます!」

「………(こくん)」





 私と眠ちゃんの家から雲ヶ丘学園までは歩いて大体20分くらい。途中車の通る大通りとかはほとんどないから、閑静な住宅街をてくてく2人で歩きます。

 今日はいい天気。初夏の風が気持ち良くて眠ちゃんじゃないけど思わず寝そうになっちゃうよ。

 ぽかぽか陽気に当てられて、うとうとしながら歩いていたら、道端の石につまづいた。

 あっ!と思った時には遅かった。地面がどんどん近づいて、怖くなってぎゅっと目をつぶった。


 ぽふん


 いつまでたっても衝撃は来なくて、代わりに何か柔かい何かに私の手と顔は埋まった。

 恐る恐る目を開けると、それは枕だった。若草色のカバーが掛かった低反発の枕。これっっ眠ちゃんのだ!


「眠ちゃん?」


 横を見上げると、右手を前に左手を後ろに、右片足立ちの何かを投げた姿勢のまま眠ちゃんが止まっていた。どうやら眠ちゃんが投げてくれた枕おかげで私は怪我をせずに済んだみたい。


「眠ちゃんありがとう!助かったよ!」


 眠ちゃんは姿勢を崩さずこくんと頷いてくれた。

 眠ちゃんに枕を返そうとすると、道路に落ちたせいで綺麗な若草色のカバーが汚れてしまっていた。


「ご、ごめん!大事枕を汚しちゃって……」


 ぱんぱんと払ってみるけれど、茶色い汚れは取れなかった。


「わ、私、新しいの買うから!」


 眠ちゃんのことだからきっといい素材の枕カバーなんだろう。幸い貯金は一杯あるから弁償は大丈夫そうだ。

 でも眠ちゃんはふるふる首を振った。


「眠ちゃん?」

「……弁償は…いらない。洗濯すればいいし、もう一個あるから……それに…」

「それに?」

「枕カバーよりも、夢の方が大事。怪我…ない?」


 眠ちゃんの気づかうそぶりに私の中の『眠ちゃんありがとうメーター』の針が振り切れた。まだ片足立ちの眠ちゃんにがばっと抱きつく。


「ありがとう眠ちゃん!!ほんとに助かったよ!!」

「……苦しい」


 眠ちゃんが何度も抗議してたけど、私はその後2分くらい抱きしめ続けた。本当はもっと長くしてたいけど、遅刻はまずいからね。






 無事学園に付いて、2人で教室に入った。 幸運なことに眠ちゃんとクラスが同じで席も隣だ。

 教室のドアをくぐるとみんなが挨拶してくる。そして眠ちゃんはクラスの人気者。登校すると決まってクラスのみんなに囲まれる。中には抱きしめたり、頭を撫でる人もいて、そういう人を牽制して眠ちゃんを守るのが私の日課。

 私が止めに入ると文句を言うけれど、眠ちゃんが過度のスキンシップを嫌うことをみんな知ってるからしつこくは迫ってこない。今日も眠ちゃんの安寧を守れたので私は大満足だ!






 1限目は数学で、私の苦手な教科だ。先生は厳しくて怖いので、みんな授業は真面目に聞く………眠ちゃん以外は。

 授業が始まると眠ちゃんは枕ーー替えのカバーを鞄から出して掛けてから。ちなみに群青色だーーを取り出して机に置き、ぽんぽんと確かめてから居眠りを始める。当然先生は怒って、無理やり起こす。そしてうんと難しい問題を黒板に書いて授業を聞いていない罰として解くように言う。

 眠ちゃんは眠そうな目のまま、とことこ黒板まで歩くと、白いチョークを持ってたかたか答えを一瞬で書き込む。それからまた、てとてと自分の席に戻って座り、机に置いた枕をぽふぽふと確かめてから、また居眠りを始める。

 先生はしばらく黒板に書かれた答えを見るけれど、直ぐにぎゅっと眉間にしわを寄せて、ため息をついて授業を続ける。どうやら今日も眠ちゃんの勝ちみたい。眠ちゃんすごい!!


 それから4限目まで同じように居眠りを続けてーーちなみに数学の先生以外は眠ちゃんを起こしたりしない。成績が良いからだと思う。眠ちゃんさすが!!ーーお昼休みになるとむくっと起きる。そして私の食べる量の2倍くらいあるおっきなお弁当をもふもふ食べる。ちっちゃい体のどこにそんな量が入るんだろ。眠ちゃん七不思議の一つである。






 放課後私は手芸部に、眠ちゃんは茶道部に行くんだけど、今日は茶道部がお休みらしいから、眠ちゃんは私と一緒に手芸部の部室に行く。

 手芸部と茶道部は毎年文化祭で(しのぎ)を削ってるらしくて、お互いにあんまり仲良くないんだけど、手芸部でも眠ちゃんは部員のみんなに愛されているので手芸部の部室に入っても誰も眠ちゃんを怒らない。むしろ大歓迎で構い倒そうとする。

 今日も眠ちゃんが入ると、いつも静かな手芸部が、上を下への大騒ぎ!先輩方は我先に膝の上に座らせようと争い、同級生はお菓子で釣る作戦に出る。でも眠ちゃんは全部無視して隅っこの私の作業スペースの横に行き、机の上に枕を置いてぽよぽよ確かめると、瞬く間に眠ってしまった。

 そうなるとうるさい部室がシンと静まり、部員のみんなは眠ちゃんを起こさないように作業にもど………ることはなく、第二の紛争が始まる。誰も彼も活動なんかそっちのけで音を立てないようにしながらじりじりと私の作業台に近づき、より良い『眠ちゃん観察スポット』を巡って争う。針で牽制したり糸で行く手を(はば)んだり布で視界を塞いだり。とにかくありとあらゆる手を使ってベストビューポイントを取り合う。

 私はこういう時は自分の作業台からうんと離れて様子を見守る。遠くの運動部の掛け声が聞こえるくらい微かな音しか立たない無言の戦争は見ていて怖い。本当は私も寝顔を見たいんだけど。





 部活が終わり、茜色の空の下、私は眠ちゃんと帰路に着く。

 結局寝たまま起きなかったので、眠ちゃんをおんぶしながらてくてく歩く。

 ふふふ……なんという役得!!ちっちゃくて軽い眠ちゃんの柔らかな体温が背中越しに伝わってなんとも言えない心地よさを感じる。すー、すー、という規則的な可愛い寝息はマジックアワーの帰り道の最高のBGMだ。ビバ眠ちゃん!!おんぶ万歳!!!

 私がにまにましながら歩いていると、突然むにゅっと胸を鷲掴みにされた。


「はにゃ!?んぉ!?ね、眠ちゃん!!?」


 もみもみもみ


「ちょ、くすぐったい!だ、ダメ!!きゃ!?変なところ触らないで!」


 むみむみむみ……むみ?


「何かを確かめなくていいから!とにかく一旦ストップだよ!!」

「……むう。おっきい」

「お、重くて邪魔なだけだよ?肩は凝るし」

「……制裁」


 もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ……


「きゃあ!!?ふにゃぁ!??だめ!そこダメ!!ごめんなさい許して!やんっ!!」

「……むぅ〜」


 くすぐった過ぎて思わず(うずくま)ったが、眠ちゃんはなかなか手を離してくれなかった。なんとか魔手を振りほどき、荒い息を吐きながら、私は眠ちゃんを睨んだ。


「眠ちゃん!」

「……むぃ〜」


 私の怒りを余所にわきわき両手を動かして何かを確かめている。そして自分の胸元に手をやると、ちょっとしゅんとなって、私をジト〜っと睨んできた。


「な、なに?」

「……………夢は敵」

「被害者は私だよ!?」


 しばらく眠ちゃんは不満気な顔で私を見ていたが、目を閉じてふす〜っと息を吐くと、また何時ものように眠たそうなとろんとした目に戻った。


「…………これでおあいこ」

「それって朝のこと!?」


 それともおんぶしてた時の煩悩を読まれた!?心当たりが多過ぎて被害者のはずの私は怒るに怒れない。


「………どっちも」


 眠ちゃんは鋭かった。私の邪心なんてお見通しだった。


「じゃ、じゃあこれでおあいこね」

「……ん」


 いつの間にか息も整っていたので、私はスカート軽く払って立ち上がった。と、ここでアレを思い出す。


「そうだ……これ眠ちゃんに」

「?……ストラップ?」


 私がカバンから取り出した物を見て眠ちゃんはこてんと首をかしげた。


「そう。お揃いで作ったの。良かったら携帯とかに付けてね」


 それは今日の部活で作った小さな枕のストラップ。余り布に綿を詰めて空き時間に作って見たのだ。水色と黄色の2種類があって、水色は眠ちゃんの、黄色は私の分。

 それを渡すとぎゅっと抱きしめて、眠ちゃんは私を見た。


「あ……ありがと」


 ちょっと赤くなった眠ちゃんに上目遣いでお礼を言われて、あまりの可愛さに抱きしめたい衝動に駆られたが、ぐっと我慢して笑顔で言葉を返す。


「どういたしまして。大事なお友達のしるしだよ」


 そうしたらもっと顔を赤くした眠ちゃんは


「…ちがう」

「え?」

「友達……じゃない」

「ええええええええ!!!???」


 嘘嘘嘘だ!どうしよう!!もう生きていけない!!近くに飛び降りれる屋上とか手頃な縄はないかな!?

 でも眠ちゃんの言葉には続きがあった。


「……友達じゃなくて……大事な親友」


 その言葉を聞いた途端、私の中の『眠ちゃん大好きメーター』と『眠ちゃん可愛すぎて萌え死ぬメーター』などをはじめとする全ての計器の針が振り切って弾け飛び、私はカバンを投げ捨てて目の前の天使に抱きついた。


「眠ちゃん!!!!!!!」

「………苦しい」


 くっつく2人の影はだんだん長くなっていき、夕陽が住宅街の奥にゆっくりと沈んで行った。

お読み頂きありがとうございました。良かったら感想などをお願いします。



【簡単な人物紹介】



布枕(ぬのまくら) (ねむり)


雲ヶ丘学園一年生。茶道部。

色白の美少女。黒髪ショートボブ。瞳は母譲りのコバルトブルー。

身長149センチ(自己申告)。胸は慎ましやか。

あまり喋らず、いつも眠たげ。授業中の居眠りはMY枕持参。

枕のコレクションは高級ホテルのものから人間工学に則った最新のものまで数多く取り揃えている。

家はお金持ちだが、茶道部にとんでもないレベルのお金持ちがいるのであまり目立たない。

外交官の父(日本人)と一流デザイナーの母(フランス人)を持つ。




望美(のぞみ) 夢見(ゆめみ)


雲ヶ丘学園一年生。手芸部。

茶髪のロング(肩にかかるくらい)。瞳は黒。

身長170センチ。胸はかなり目立つくらいの大きさ。

見た目はキリッとしたかっこいい系の女の子だが、精神年齢はやや幼い。

眠の親友で幼馴染でお隣さん。

眠大好き。眠LOVE。使用人の刻山と眠の父親とトリオを組んで男除けの蚊取り線香役を買って出る。

手芸の腕はなかなかのもので、眠のドレスを直したこともある。

家はごくごく普通の一軒家。夢見と眠の父親は幼馴染の親友同士。

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