プロローグ8 聴取と招致
久々に主人公登場です
〈フェンリル海軍 第3艦隊航空隊 『サーペント隊』 サーペント2-1機内〉
冒険者:エイミー・ウォーカー
「こんなが乗り物が存在するなんて……長生きしてみるものね。」
私は降下してきた女性とその部下の男性達と共にヘリとかいう箱に乗り、彼女達の母船に向かっていた。
「確かにこの世界にはこんな物は無さそうですね。」
「大尉さん…だったかしら?この度は助けて頂き、本当にありがとう御座いました。」
「いえ、これが仕事ですし。それに私達も色々聞きたい事がありますし。」
「個人的には、大尉さん達の事を聞きたいのだけれど…。」
「私の事はジェニーで大丈夫ですよ。こちらも状況が良く飲み込めていないので、後ほどゆっくりとお願いします。」
「そう……」
しばらくすると島と見間違える程巨大な船に近づいてきた。
「凄い大きさね…。ジェニー、ますますあなた達に興味が出てきたわ。」
「そうですか。”いずも”に着艦したら私に着いてきて下さい。……興味があるからといって、無闇にさわらないでくださいよ。」
「そう…残念ね」
〈フェンリル海軍 第3艦隊 旗艦”いずも”〉
フェンリル空軍パラレスキュー1st STS 1st STT隊長:ジェニー・クーパー大尉 コールサイン:ナイチンゲール
”いずも”に着艦した私は、エルフのエイミーを連れて艦長室に向かった。
「本当に凄いわね…。ジェニー!これはどうやって光ってるの?光の魔法?」
「それは魔法じゃなくて電機…雷の力を使ってるんですよ。というか魔法があるんですね。」
「えっ…この船とかさっきのへりとかは魔法で動いてるんじゃないの?!」
「ええ、違いますよ。詳しくは私も知りませんけど。…あっと、ここです。」
話しているうちに艦長室に着いた。
コン、コン、コン、コン
「どうぞ。」
「ジェニー・クーパー大尉、入ります!」
中にはこの艦の艦長であり、艦隊司令でもある坂本勝少将に報告を行った。
「重要参考人をお連れしました。冒険者のエイミー・ウォーカーさんです。」
「エイミー・ウォーカーです。この度は私達を助けて頂き誠にありがとうございます。」
「いえ、あなた方が無事で何よりです。…大尉、彼女はかなり若いようだが、我々が必要な情報を本当に持っているのかね?」
見た目は20代の彼女を不安に思ったのか、少将がそう聞いてきた。
「少将、彼女はエルフです。恐らく私達の数倍は生きているかと。」
「なるほど。それは心強い。早速質問させていただいても?」
「はい。大丈夫です。」
「では…この世界にはあなた方エルフの他にはどのような種族がいるのですか?」
「そうですね…大まかにいって、獣の特徴を身に宿した[獣人種]と高い魔力と長い寿命、強大な力をもち、角や尻尾、魔眼などを持つ[妖魔種]、ドラゴンの特徴を身に宿した[龍人種]、精霊魔法が使え、妖魔種以上の寿命を持つ[エルフ種]、武器の作成を得意とし、妖魔種と同等の寿命を持つ[ドワーフ種]、武器や防具に魔法付与が行え、身長40cm程の[妖精種]、そして魔術という魔法とは別の技を使う[人種]の7つの種族が主です。」
「なる程。ちなみに。海賊船団から猫の耳と尻尾を持つ少女7人と、青い肌に角とコウモリのような翼と尻尾を持つ少女が4人、赤い眼に鋭い牙を持ち、コウモリのような翼を持つ少女が3人、下半身が蛇の少女5人の合計19人を保護したとの報告を受けているのですが、彼女達は?」
「猫耳の少女は[猫人族]、青い肌の少女は[魔人族]、赤い眼の少女は[吸血族]、蛇の少女は[蛇人族]かと。」
「冒険者とは?」
「冒険者ギルドに登録し市民や国から依頼をうけ、その報酬で生活する者の総称です。」
「あなた方の乗っていた船団の目的は?」
「ルイース大陸南西部のアメックス王国からの”数日前に観測された異常な量の魔力の調査”という依頼の為にアメックス王国が編成した調査船団です。」
「ルイース大陸と言うのは東にある大陸の事ですね?」
「そうです。」
「魔法と魔術、それと魔力とは?」
「魔法は体内に宿る魔力、生命力のようなものですね、を使って起こされる現象を指します。魔術は杖や剣などを媒介し、自然に存在する魔力を使って起こされる現象の事です。」
「なる程。ありがとうございます。本国に報告するので待っていてもらえますか?」
「はい。わかりました。」
質問を終えた坂本少将はそう残し、退室した。
〈軍事国家フェンリル 首都ロキ 総司令部 総帥執務室〉
フェンリル軍総帥 七海優香 コールサイン:フェアリー
コン、コン、コン、コン
「どうぞ。」
「総帥!失礼します!第3艦隊から報告が届きました!」
ノックのあとに部下が報告書を手に入室してきた。
「ご苦労様です。」
部下から渡された報告書を見た私は思わず溜め息を出してしまった。
「はぁ~。これで異世界にきたのは確定ね…。このエルフの女性と保護された子ども達は今”いずも”に?」
「はい。子ども達はSBUが、エルフの女性はパラレスキューがそれぞれ保護しています。」
「……直接話を聞きたいわね。救出した者と一緒に此処に連れてきて貰えるかしら?」
{本物の亜人を見られる機会を逃すわけにはいかない!}
「はっ。ではそのように手配します。明日の午後には到着するでしょう。」
{明日までお預けか、仕方ないわね。}
「頼んだわよ。これで外のことがはっきりするわ。」
{それに亜人の少女にも会えるし。ああ、明日が待ち遠しい!}
私は心の中でそんな事を考えていた。
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