プロローグ6 隠し部屋と少女
〈海賊船 船長室 隠し部屋〉
SBU隊長:斎藤重春 大尉 コールサイン:テンマ
「船長室の床下にまさか、こんな部屋があるとは…。」
俺は今捜索中に発見した隠し部屋を進んでいた。恐らく船長の個人的な物品などを保管しているのだろう。金色の装飾が施された剣や、冠などが置かれているのが目に付いた。
「それにしても、悪趣味だな。少しくらいちょろまかしてもばれないよな…。」
当然只の冗談だ。これらの宝は重要な情報源になる。
「ん?あれは…。」
更に奥に進んでいくと鍵が厳重にかけられている扉を見つけた。
「鍵がかけられているということは、中には捕られちゃ困る物があるってことだよな。」
中を調べることを決めた俺は、愛銃であるHK416のアンダーバレルに取り付けられたM26にスラグ弾を装填し鍵に向けて発砲した。
ドン! カシャ ドン! カシャ ドン! カシャ
3発のスラグ弾を食らった鍵砕けた。
俺は銃を構え、油断せずに室内へ侵入した。
中は牢屋になっており、数人の少女が鎖で捕まっていた。
「糞が!本当に外道だな!」
思わず悪態をついてしまった。
それを聞いた16歳程の猫耳を持った少女が怯えた目で俺をみた。
「あ…あなたは?海賊の仲間何ですか?わ…私を好きにしていいから、他の子達には何もしないでください。」
どうやら俺を海賊だと思っているようだ。
「大丈夫だ。俺は海賊じゃない。君達は何故こんな所に?」
「1ヶ月位前に故郷の村が襲われて…亜人は金になるからって…無理やりここに…。」
その時のことを思い出したのか、少女が鳴きそうになりながら答えた。
「……すまない。ここから出してやろう。扉から離れて、耳を塞いで。」
「は、はい。」
少女達が奥にいき、耳を押さえたのを確認し、M26を牢の鍵に向け、発砲した。
ドン!
牢の鍵は一発で吹き飛んだので、俺は中に入った。
少女達は初めて聞く銃声とその威力にさらに怯えていた。
「あなたは何者何ですか?そんな武器今まで見たことが…」
「俺はフェンリルという国の海軍に所属する兵士だ。海賊はもういないから安心してくれ。」
俺の言葉を聞き少女達の緊張が少し解けたのを感じた俺は、仲間に連絡をするために無線に声をかけた。
「こちらテンマ、”いずも”。船長室下にて亜人の少女7名発見。かなり衰弱している。緊急搬送を要請する。」
「あの、大丈夫ですか?」
無線に声をかけている俺を不審に思ったのか先程の少女がそう声をかけてきた。
《了解。直ぐにオスプレイを向かわせる。コールサインはブラックバーズ・リードだ。甲板から収容しろ。》
「なっ箱から声が!?」
「了解。少女達を甲板に誘導する。」
連絡を終え少女達に助けがすぐに来ることを告げる。
「仲間が直ぐに来て君達を手当できる場所まで運ぶ。直ぐには信じられないと思うが、俺に着いてきてくれないか?」
少女達は戸惑いながらも頷いてくれた。
甲板には既に捜索を終えた隊員達が集まっていた。
「隊長、その子達は?」
副隊長の柏原中尉がこちらに気づき、声をかけてきた。
「船長室の隠し部屋で保護した。直ぐに回収のヘリがくる。そっちは何か見つけたか?」
「本や日記、それと航海日誌を発見しました。それにしても隠し部屋ですか。良く見つけましたね。」
「まだ中にかなりの数の宝石などがあった。人をやって、運び出しておいてくれ。」
「了解です。隊長は?」
「俺は彼女達についていく。隠し部屋のことは任せるぞ。」
中尉との話を終え少しするとオスプレイが到着した。
「なにあれは?!」 「魔物だ!?」
少女達は初めて見るオスプレイに恐怖しているようだった。
「あれが俺達の乗り物だ。魔物じゃないから安心して。」
少女達は俺の言葉を聞き少しだけ落ち着いたようだ。
「兵士さん、あなたは本当に何者なんですか?」
最初に話かけてきた少女がそう聞いてきた。
「そういえば、まだしっかり名乗ってなかったな。フェンリル海軍、特別警備隊『SBU』隊長の斎藤重春大尉だ。君は?」
「わ、私はルコという村に住んでいたミリアといいます…」
「そうか、ミリア、今までよく頑張ったな。もう大丈夫だぞ。」
「あ……」
そう伝えると彼女は緊張が途切れたからか泣き出してしまった。
「こ、怖かったですぅ。私が…子供達を守らないと、いけないから…」
俺は泣き続ける彼女の頭をそっと撫でていた。
しばらくするとミリアは泣き疲れて寝てしまった。
《こちらブラックバーズ・リード、テンマ、上からも見えてたぞ、まったく。低空でホバリングするから、さっさとお姫様達を乗せてくれ。》
「すまなかった。」
《後で酒の1杯でも奢れよ!》
オスプレイが降下し乗り移れるように後部ハッチを開いた。
「あれに乗り込んでくれ。君達を手当できる場所に運ぶ。」
少女達はびくつきながらも乗り込んでいく。
最後にミリアを抱いた俺が乗り込んだ。
「全員乗ったぞ!」
「了解!”いずも”に向かう。」
その機長の声の後オスプレイはすぐに速度を上げた。
「すごい!私達空を飛んでる!」 「はやーい」
少女達は初めて見る空からの景色を楽しんでいるようだった。
「……テンマ、助けられて良かったな。」
「…ああ、そうだな。」
俺は心の底からそう思った。
キャラクター増えてきたので1章を始める前に解説を作ろうと思います。
予定としては後4話でプロローグが終わり次からは、フェンリルの東にある大陸での話を書きたいと思っています。
キャラクターや武器、部隊のリクエストがあればドシドシ送ってください。
ブラックバーズはアメリカ空軍第1特殊作戦航空団(1st SOW)第8特殊作戦飛行隊(8th SOS)所属の特殊部隊で特殊作戦用のCV-22 オスプレイの実用試験を行っています。また、1st SOWのモットーは『Any Time, Any Place.(いかなる時、いかなる場所でも)』です。
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