プロローグ5 海賊討伐
戦闘回です。
〈フェンリル海軍 第3艦隊 旗艦”いずも”〉
SBU第1小隊小隊長:斎藤重春 大尉 コールサイン:テンマ
”いずも”艦内の一部屋に40人の黒い戦闘服に身を包んだSBU隊員が集まっていた。
「本日1145時、偵察任務のために飛行していたグローバルホークが海賊行為を発見した。民間船舶と思われる船団は、背後から海賊船からの攻撃にさらされており、長くは持たないだろう。よって今回の戦いでは、スピードが重要だ。船団が沈められるより先に海賊船を制圧する。発砲許可は降りているので好きに撃て。ヘリが、上空で待機しているので、航空支援は必要に応じて要請しろ。我々が制圧を完了すると同時に全ての船へパラレスキューが降下する。負傷した場合は甲板で待機しろ。何か質問はあるか?」
若い隊員が手を挙げていった。
「何故海賊船を沈めず危険な臨検を?」
「周辺国の情報を少しでも多く得るためだ。今我々は異世界にいる、不確定要素が多数混在しているため、我々にとって情報収集は、目下最優先課題だ。他には?」
今度は誰も手を挙げなかった。
「よし。この戦いは転移後初の実戦であり、今後の我々を左右する重要な物となる。全員覚悟して臨め。以上だ、10分で装備を整え、甲板に集合しろ。」
[10分後]
〈フェンリル海軍 第3艦隊航空隊 『サーペント隊』 サーペント・リード機内〉
”いずも”の飛行甲板上から4機のSH-60”シーホーク”で構成される『サーペント隊』がSBUの搭乗を完了し、発艦した。
「ここからなら3分でつきます。敵船上空を旋回するので、降下の邪魔になるメインマストと攻撃兵器を全て潰して下さい。」
インカムからサーペント・リードの声が聞こえてきた。
「大丈夫だ。そっちこそ、俺達をおろす前に墜ちるなよ!」
そんなやりとりの後、少しすると目標が見えてきた。
「目標視認!後30秒で着きます。目標到達後甲板上の目標を掃討してください。」
「了解だ。」
前方の船団をフライパスし4機のヘリが海賊船4隻に襲いかかった。
「大砲とメインマストに攻撃を集中させろ!」
その声に従い、隊員達がHK416、89式小銃、シーホーク搭載のM134ミニガンなどで掃射を行った。
ミニガンから発射された大量の7.62mm弾を浴びた敵は痛みを感じることなく死んでいき、メインマストも根元から折れてしまった。
「甲板はクリアだ!ヘリをホバリングさせてくれ!」
「了解!」
すぐさまヘリの動きが止まりホバリングをはじめた。
「よし!降下準備完了!ロックンロールだ!ゴーゴーゴー!」
隊員達がヘリから垂らされたロープをつかみ勢い良く船に降下していった。
「降下完了!これより船内に侵入する!3人ここに残って生存者を探せ!」
甲板をメディックを含めた3人に任せ、俺を含めた7人は船内に侵入した。
「出会い頭での戦闘になるだろう。ショットガン持ちを先頭にクリアリングしていく。いくぞ。」
「扉につけ。ドアブリーチャーを取り付けろ。」
隊員の1人が突入用の爆薬を設置した。
「3秒だ。3…2…1…突入!」
「1名クリア!」 「2名クリア!」 「こちらは4名クリア!」
爆発直後に隊員達が一気に流れ込み中にいた海賊を確実に殺していった。
「オールクリア!次だ!」
SBUは訓練通りに動き、的確に海賊を制圧していった。
さらに4つほどの部屋を制圧すると最後にやけに豪華な装飾の施された部屋に着いた。
「恐らくここが船長室だ。船長は生け捕りにする。催涙ガスを使うぞ。マスクをつけろ。」
全員がマスクをつけたのを確認し、扉を少し開け素早く催涙ガスの詰まったグレネードを投げ込んだ。するとすぐに中から咳き込む音が聞こえてきた。
「3…2…1…突入!」
中には隻眼の男とその取り巻きとと思われる男達がいたが、ガスのせいでまともな抵抗も出来ずに捕らえられた。
「”いずも”こちらテンマ、船を制圧。船長とおぼしき男を確保した。他の船の状況を教えてくれ。」
《テンマ、こちら”いずも”お前らが一番乗りだ。他の隊は未だに戦闘中だが、今の所負傷者は出ていない。》
「了解した。こちらは船内の捜索を行う。」
《了解。どんな情報も見落とすなよ。》
「全員、船内を捜索しろ。使えそうな物は全て回収しろ。俺はこの船長室の中を捜索する。」
「「「「「了解です。」」」」」
そう答え隊員達は船内に散らばっていった。
「さて、鬼が出るか蛇がでるか。」
海上自衛隊の特殊部隊である特別警備隊SBUを登場させました。
SBUはこんな武器使ってねーよという意見もあると思いますが、ゲームの中で編成された部隊ということで勘弁してください。
次話では、斎藤大尉が船長室で宝物を見付けます。
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