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ゲームの軍隊と異世界攻略  作者: RIGHT
第2章 Operation Dragon Slayers
57/88

第2章19 Operation Dragon Slayers Part.9

前回の投稿で20万アクセスを突破しました!

私の拙い作品を読んで頂けてとてもうれしいです!

これからもよろしくお願いします!

[9月11日 04:00時]

〈レイシス帝国 城塞都市ベルン ベルン湾海中 SDV〉

フェンリル軍GDU6thIB フェンリル海軍DEVGRUネプチューン隊隊長 レオナ・メイソン TACネーム:セクション コールサイン:ネプチューン・アクチュアル



作戦開始の1時間前。私達ネプチューン隊は敵艦隊の頭を押さえる為に他の部隊より先行して、敵艦隊の旗艦や、火砲を大量に積んだ重武装の艦艇を制圧にきていた。


「こちらセクション。ネプチューン1はスピア1(敵旗艦)の下に到着した。」


《こちらモラク。ネプチューン2がスピア2(敵重武装艦艇)に到着。》


《こちらアッサム。スピア3(敵高速艦艇)への乗船準備良し。》


《こちらルシー。スピア4(敵兵員輸送艦艇)の下に展開。》


「オールネプチューンスタンバイ。乗船開始。静かに行くぞ。」


《《《ラジャー。》》》


全隊の展開完了を確認し、停泊している帆船の後部から吸着モードのグローブを使用し静かに乗船した。

私はマストの監視台に見張りがいるのを見つけ、腰に装着していたハチドリ(小型UAV)を展開した。

ハチドリは殆ど音も無く上昇し、監視台より上に上がった。

監視台には見張りが2人おり、それぞれ会話をしながら別々の方向を見ていた。

私はハチドリを慎重に操作し、見張りの兵士達をハチドリに搭載されている5.7mm口径の銃で射殺した。

ハチドリを警戒の為に空中で待機させると、ネプチューン1の全員がステルスで後部甲板に侵入した。


(船内に侵入し乗員を始末する。攻撃開始は1時間後。1-1、1-2、1-3は下の船室。1-4は艦長室だ。行くぞ。)


ハンドサインで合図を出し、誰もいない甲板から2手に別れ船内に侵入した。

後部の少し高くなっている所を降り、扉をそっと明けた。


(クリア。)


部屋の中は下へ続く階段になっていた。

私はライフルから取り回しやすいFive-seveNとナイフに持ち変え、慎重に階段を降りた。

下の階は大砲と砲弾、火薬、酒、食糧がたっぷり入った木箱や樽が転がっており、その隙間に船員達がハンモックをかけ、イビキをかいて寝ていた。


(始末しろ。)


ハンドサインを送り、隊員達が音をたてないようにナイフで船員達を殺し始めた。

私も近くで眠る船員の口を押さえ、喉にナイフを突き刺した。

男は一瞬目を見開いたが、直ぐに息絶えた。

全く警戒していない船員達は、何が起こったか理解する事も無く絶命し、旗艦の制圧は10分ほどで完了した。



[05:00時]

〈レイシス帝国 城塞都市ベルン 近海 AH-64E〉

フェンリル陸軍 第160特殊作戦航空連隊第1大隊第3攻撃飛行中隊『チャージ隊』中隊長 ケビン・ジョンソン コールサイン:チャージ1-1



《こちらセクション。ネプチューンはスピアを制圧。楽勝だったわ。これで敵旗艦や高脅威目標はただの箱よ。》


先行して敵艦隊の重武装艦艇や旗艦の制圧を開始していたネプチューンから制圧完了の報告が入った。


《了解した。サンダーヘッドより全機。作戦開始時刻だ。航空部隊各隊は定められた目標に空爆を開始しろ。》


《《《《《了解。》》》》》


頭上を戦闘機の群れが通過し、山に向けてミサイルを発射し、山に設けられた地下要塞への入口を封鎖した。


[ズドドォーン!]


《全目標の破壊を確認。良くやった。これよりヘリボーン部隊と地上部隊が上陸を開始する。各自自由戦闘を許可する。制空権を確保しろ。トカゲどもを叩き落とせ。》


《了解。ウォードッグ隊エンゲージ!》


《シャーク、エンゲージ!》


《ジョリーロジャー隊、エンゲージ!》


《レッドデビル隊エンゲージ!》


《サムライ隊、エンゲージ!》


《ソウヘイ、エンゲージ!》


《アニマ隊、エンゲージ!》


《イーグル隊、エンゲージ!》


《シノビ隊、エンゲージ!》


《クーガー隊、エンゲージ!》


《レッドナイト、エンゲージ!》


《ソード隊、エンゲージ!》


攻撃を終えた戦闘機達が、空に上がり始めた飛竜達に襲い掛かり、次々と撃墜して行った。


「チャージ1-1より、チャージ隊全機へ。俺達の目的は地上部隊へのCASだ。低空でホバリングする場合はRPGや魔法に注意しろ。」


《チャージ2-1ラジャー。》


《チャージ3-1ラジャー。》


《チャージ4-1ラジャー。》


LCACやボート、水陸両用車で構成された上陸部隊が城塞都市ベルンの砂浜に上陸し、戦車等の車両や兵士達を吐き出していった。


《上陸成功!》


《ゴーゴーゴー!砂浜だとただの的だ!建物の近くまで走れ!》


《地面にキスしている余裕はねぇぞ!走れ!》


《ミスフィット[海兵隊第3遠征旅団]上陸に成功!これより街の制圧を開始する!》


《セントバーナード[陸軍第1機甲師団]・アクチュアルよりオールセントバーナード。歩兵部隊と連携しつつ前進!発砲の際は誤射に注意し、細心の注意を払え!》


地上部隊が次々と街に向かって前進を開始した。


《チャージ隊。こちらナイトストーカー[第160特殊作戦航空連隊第1大隊第1中隊]・リード。積み荷の特殊部隊を領主館や敵施設に降下させる。援護を頼む。》


「チャージ1ラジャー。」


チャージ1のAH-64E×2、AAS-72×4、AH-6J×4を散開させ、特殊部隊を輸送するMH-60Mの護衛についた。


《こちらナイトストーカー3-1。チャージ1-1、ケビン!わかってるだろうが、降下中の俺達は無防備だ。しっかりケツを守ってくれよ?》


「野郎のお守りはごめんだ。さっさと荷物を降ろしちまいな。」


《は!抜かしやがる。目標地点まで2分だ。》


目標に接近した時、


《RPG!》


ナイトストーカー3-1の直ぐ下をロケットのような何かが通過した。


《チャージ1-1!攻撃を受けている!RPGを近付けさせるな!

ガンナー!敵施設に対し制圧射撃!》


「ベル[ガンナー]!RPGはいたか?!」


《見つけました!》


「殺れ!」


《了解!チェーンガンレディ!ファイア!》


[ドドドドドド!]


《ターゲットキル!》


「良し!ドンドン行くぞ!」


時折姿を現すRPGを撃破しながら前進し、目標に到着した。


《降下地点に到着!待たせたな!降下しろ!》


《アレクシー[JTF-2]降下開始!ロックンロール!》


《ゴーゴーゴー!》


《怯むな!行け!》


MH-60Mの扉からロープが下ろされ特殊部隊が降下を開始した。


《降下完了!これより空中で旋回し、待機する!》


MH-60Mがロープを切り放し、空中待機を始めた。

俺達も空中で旋回して待機していると、


《こちらバルト5-1[海兵隊第3遠征旅団第2大隊第3中隊第5小隊]!敵要塞の出口から大量の地竜が接近中!火力が足りない!CASを頼む!》


「こちらチャージ1-1。了解。攻撃する。低空で進入する。頭を下げておけ。」


ミニマップに表示されている地点に低空で進入し、バルト5の上空でホバリングした。


「ファイア!」


[ボシュボシュボシュボシュボシュボシュ!]


[ドドドドドドドドドド!]


搭載されていたハイドラ70ロケットと30mmチェーンガンが火を吹き、暴れながら飛び出してきた地竜達を爆炎が飲み込んだ。


《こちらバルト5-1!派手に殺るじゃねえか!お陰で助かった!》


《こちらダルメシアン2-1[第1機甲師団第3戦車大隊第2中隊 ルクレール M1A2]。バルト5-1すまない。街を迂回してここまで来るのに手間取った。》


《気にするな。それより早く配置についてくれ。まだ来るぞ。》


街を迂回して地下要塞の出入口に向かっていた戦車が到着した。


「ここは大丈夫だな。チャージ1-1は上空で待機する。」



[05:30時]

〈レイシス帝国 城塞都市ベルン 市内〉

フェンリル海兵隊 第3遠征旅団 第4大隊第2中隊第3小隊小隊長 コール・バーント 3等軍曹 コールサイン:キーマ3-1



俺達はLCACを飛び出した後、街に侵入し、騎士や魔術師達と戦闘を繰り広げていた。


「6時の塔の上に弓兵と魔術師!」


「矢の雨が降ってくるぞ!物陰に隠れろ!」


俺は叫びながら近くの民家の扉を蹴破って中に入った。同じ隊のメンバーも続けて入ってきたが。


「グア!」


運悪く道の中央にいた隊員が逃げ遅れてしまい、道の真ん中に取り残されてしまった。


「チャッフィンがダウン!」


「俺が連れてくる!塔に制圧射撃!」


「「「「「了解!」」」」」


[ババババババババババン!]


隊員達が各々の銃を塔に向け、引き金を引いた。

弓兵や魔術師は銃弾を受けて死ぬか、たまらず塔に隠れた。

その隙に道に飛び出し、倒れているチャッフィンの襟を掴み、家の中に引きずり込んだ。


「チャッフィン!大丈夫か?!」


「グゥ!すげぇ痛い!」


「痛いってことは生きてる証拠だ。そんだけ元気なら大丈夫だ。」


俺はメディックにチャッフィンをまかせ、扉から塔を見た。塔の頂上には再び弓兵や魔術師が攻撃の機会を伺っているのが見えた。


「こちらキーマ3-1。塔の上の魔術師と弓兵に釘付けにされてる。誰かあいつらを殺ってくれないか?」


《こちらハスキー2-1[第1機甲師団第2戦車大隊第2中隊 10式戦車]。塔をマーク出来るか?》


「待機しろ。」


HUDのミニマップを展開し、塔をマークした。


「今マークした!」


《了解。砲手、弾種榴弾、目標をロック。撃ぇ!》


無線の声と殆ど同時に、石造りの塔に榴弾が直撃し、塔の上部を弓兵や魔術師諸とも吹き飛ばした。


「ナイスショット!キーマ3-1は前進を再会する!ビル、ここに残ってチャッフィンとエール[衛生兵]を守れ。他は付いて来い。」


愛用のSCAR-Lを周囲に向け、敵がいないのを確認してから外に出た。


「行くぞ。」


街の中心部に向けて移動を再会し、100mほど移動した時、


《こちらサンダーヘッド。キーマ3-1。》


「こちらキーマ3-1。」


《そちらの3ブロック東に奴隷達が捕らえられていると思われる小屋を発見した。そして小屋に向けて中隊規模の敵部隊が接近中だ。恐らくギルド関係者や他国の人間等都合の悪い人間を殺すつもりだ。》


「!了解!直ぐに向かう!」


《繰り返すが敵は中隊規模だ。援護を向かわせるが厳しい戦いになるぞ。》


「危険は覚悟の上だ。急行する!

聞いたなお前達!」


「「「「「応!」」」」」


「良い返事だ!」


道を曲がり、全速で小屋に向かった。

小屋は直ぐに見つかった。


「あれだ!まだ来ていないな。今のうちに防御線を張れ!」


「「「「「了解!」」」」」


10人の隊員達が机や扉等を利用して簡易的なバリケードを作り始めた。

俺は小屋に駆け寄り、扉を蹴破って中に入った。


「キャァァ!」


「な、何?」


「何が起こってるのよ!?」


中には裸の女性達が恐怖に震えていた。


「帝国軍の部隊があんた達を殺しにこっちに向かっている!あんた達を安全な所に誘導する!」


「え?!」


「あなたは何者?」


「今何が起こっているの?」


「助けがきたの?」


女性達は状況が理解できず、困惑していた。


《コール!敵部隊が来た!凄い数だ!魔術師がいるのか銃弾の効果が多少弱まっている!その上金属の大盾を持っている!このままじゃ突破されるぞ!》


無線と小屋の外から激しい銃撃の音と、叫び声が聞こえてきた。


「帝国軍が来た!質問はあるだろうが後回しだ!今は信じてくれ!」


「………分かった。私は行くわ。」


「フィー?!」


「このままここにいてもいつかは殺されてゴミみたいに捨てられるだけよ!だったら私はこの人達の可能性を信じてみたい。」


「フィー……。私も行きます!」


「私も!」


「私も行くわ!チャンスを逃してたまるもんですか!」


女性達は目に活力を取り戻し、声をあげた。


「良し!マイク!女性達を連れて外に出る!」


《了か、待て!だめだ!全方向から集まって来てやがる!こいつ等どこから湧いて来るんだ?!既に退路も失った!》


「クソ!」


叫んだ俺に女性達が怪訝な目を向けた。


「サンダーヘッド!こちらキーマ3-1!敵に囲まれた!援護はまだか!」


《キーマ3-1。こちらサンダーヘッド。現在君たちのいる地区には民間人が多数いる。強力なCASは出来ないが近くを飛行していたAAS-72が向かっている。コールサインはチャージ1-5。QRFを載せたヘリは後2分で到着する。》


「了解!すまない!事情が変わった!この小屋の中で頭を下げて待っていてくれ!」


俺は女性達にそう言って外に飛び出した。


「リロード!」


「弾幕を張れ!奴等を近付けさせるな!」


「あークソ!左腕を射たれた!」


外では仲間達が遮蔽物に隠れながら4方の道に絶え間無い銃撃を送っていたが、弓兵や魔術師の攻撃により負傷している者やピクリとも動かない者もいた。


「チャージ1-5!こちらキーマ3-1!CASを頼む!急いでくれ!激しい攻撃で負傷者が出ている!」


《了解!頭を下げて!低空で行くわ!》


声がして10秒ほどすると、俺達の頭上を低空で1機のAAS-72が通過し、飛行ルート上の敵に搭載のGAU-19Bを掃射し、大口径の12.7mm弾は、減衰されながらも凶悪な破壊力を存分に発揮し、騎士達を粉砕した。


《旋回して別方向から再アプローチする!》


《キーマ3-1。QRFの到着まで1分。》


「後1分だ!踏ん張れ!」


俺はバリケードから身を乗り出し、騎士達に向けてフルオートで連射した。


[ババババババババババン!]


魔術の影響で威力が減衰され、銃弾の半分は盾に弾かれたが、撃たれた騎士は歩みを遅くする為、全体の動きが少し遅くなった。


「こんなんじゃ時間稼ぎにしかなりませんよ!」


「それで良いんだよ!上見ろ!俺達の勝ちだ!」


上空にV-50が飛来し、ドアガンと機体下部のGAU-19B、後部ハッチ内のM2が一斉に火を噴き、一瞬で4つの道を埋め尽くさんばかりにいた騎士達を物言わぬ肉塊へと変えた。

掃射が終わった後、ハッチからロープが降ろされ武装した部隊が降下して来た。


「キーマ3-1だな!遅くなってすまない。後は俺達が引き継ぐ。帰投してくれ。」


「ああ。助かる。」


俺は降下して来た部隊の隊長に礼を言い、小屋の中の女性達を連れて外に出た。


「な、何あれ?!」


「凄い!飛んでる!何で?!」


女性達はホバリングするV-50を見て興奮したように言った。


「………コール。」


副隊長のマイクが悔しそうな顔をして俺を呼んだ。


「どうした?」


「………シーグラーとフィルモアが死んだ。即死だ。」


マイクに連れられて行くと、喉を太い矢で射抜かれたシーグラーと腹を魔術で焼かれたフィルモアの遺体が死体袋に入れられていく所だった。


「…………そうか。」


俺が力無く頷くと、


「ねえ、兵隊さん。あの2人は私達を守る為に戦ってくれたのよね?」


女性達が俺の後ろに立っていた。


「ああ。」


「なら、せめてお礼と祈りだけはさせてもらえないかしら?元シスターの娘がいるの。」


「………頼む。」


「ありがとう。」


女性達は2人の遺体に近寄ると膝まづいて、彼女達を守る為に死んだ2人に祈りを捧げた。



[05:15時]

〈レイシス帝国 城塞都市ベルン 地下要塞〉

フェンリル軍GDU1stIB フェンリル陸軍第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊第1中隊中隊長 ウィリアム・フィクナー TACネーム:サンドマン コールサイン:メタル・アクチュアル(1-1)



地下要塞に侵入した俺達を待っていたのは、大量の煙で大混乱に陥った兵士と獣達の阿鼻叫喚の地獄絵図だった。


「こいつはひどいな。」


爆撃で混乱した地竜や魔物が人のコントロールから外れ、出口を求め大暴れしていた。そこに同じく出口を目指す人の流れも加わり、完全なる無秩序になっていた。


「だがこの混乱は好都合だ。出口は既に押さえてある。一気に制圧するぞ。」


部隊が行動を開始し、レールガンを持ったスナイパーが暴れる地竜や魔物達の頭を撃ち、真っ先に無力化していった。


「た、助かった……。あんた達はどこの部隊だ?見たことない格好だが?」


魔物に襲われていた兵士が俺達を味方と勘違いして近付いてきた。


「何にせよ、助かった」


無防備な男の腕を掴み、関節を極めながら地面に倒し、手錠で拘束した。


「な、何をするんだ!まさか、お前等が敵か?!クソ!待ちやがれ!」


喚く男を無視して前進し、兵士達を無力化していった。


「サンダーヘッド、こちらメタル・アクチュアル。1階を制圧。下に向かう。」


《了解。ミスフィットとセントバーナードが既に残った出入口に展開し、兵士達を無力化させている。そのまま攻め続けろ。》


「了解。」


「しかし、この混乱で、さらに俺達とメタル隊が相手とは。敵も可哀想ですね。」


「だからといって気を抜くなよ。油断は隙を生み、死神はいつもその隙を通り抜けられる瞬間を狙っている。1人の油断でチーム全員の首がそいつの鎌に刈り取られるのが、私達の戦場で、仕事よ。」


「そうですね。失言でした。」


「下層フロアへの階段を見つけました!」


隊員の1人が階段を見つけた。


「よし。下に行こう。サンドマン、次のフロアは私達がポイントマンを務めさせてもらうわ。」


「どうぞ。俺達は後ろに行こう。」


ローザ達KSKが先頭に移り、下の階の制圧を開始した。



[06:30時]

〈レイシス帝国 城塞都市ベルン 近海 フェンリル海軍 第1艦隊 あかぎ空母戦闘群 やまと型ミサイル巡洋艦 やまと SMI〉

フェンリル海軍 ミサイル巡洋艦 やまと艦長 有賀海幸



やまとのSMIは舞い込んでくる情報によって喧騒に包まれていた。


「航空隊が上空の制空権を完全に掌握しました!」


「シルキーが城塞を制圧!負傷者と奴隷達の後送を要請し、ヘリが回収に向かいました!」


「メタル、ヴォルフ両隊が地下要塞を制圧!軽傷者数名、敵部隊の生存者の救護の人員を要請しています。」


「第3遠征旅団と第1機甲師団が街を制圧しました。しかし、敵魔術師や騎士の抵抗により戦死者が……。」


その報告は不思議と全員の耳に届き、一瞬の静寂が生まれた。


[パン!]


「全員聞け。ただし手は止めるな。いつかこの報告が来る事は分かりきっていただろう。確かに私達の仲間が死んだのは悲しむべき出来事だ。だが、今はまだその時じゃない。これ以上同じ目に合う仲間を減らす為にも、私達は私達の仕事を完遂させねばならない。違うか?」


「「「「「その通りです。」」」」」


「なら、今は自分の仕事に集中しろ。」


「「「「「はっ!」」」」」


SMIにいるクルーが敬礼し、作業を再会した。


「ん?水上レーダーに感あり。敵のパトロール艦隊と思われます。」


「数は?」


「中型艦5隻と小型艦2隻です。」


「いかづちといなずまが一番近いか。あかぎに連絡しろ。」


「了解。あかぎ、こちらやまとSMI。水上レーダーに敵艦隊を探知した。」


《こちらあかぎ。こちらのレーダーでも捉えている。いかづちといなずまはこれの進路上に展開し、停船と臨検を要求し、制圧せよ。》


《こちらいかづち。了解。》


《こちらいなずま。了解。》


いかづちといなずまの2隻が艦隊を離れていった。



〈フェンリル海軍 第1艦隊 かが空母戦闘群 しまかぜ型汎用駆逐艦 いかづち SMI〉

フェンリル海軍 第1艦隊 汎用駆逐艦いかづち艦長 工藤朱里



通信員が私のほうを向いたのに対し、私は頷きを返した。


「艦長、より全クルーへ。本艦といなずまはこれより艦隊を離れ敵のパトロール艦隊を撃滅に向かう。はっきり言って敵は私達より格下だ。だが、国の為に命を捧げられる勇敢な戦士達だ。追い込まれた獣は時に信じ難い力を発揮する。油断無く、完膚無きまでに叩き潰せ。対水上戦闘用意!」


「対水上戦闘用意!」


「いなずまとの通信を開け。」


「はっ。」


直ぐに回線が繋がり、マイクが手渡された。


《こちらいなずま。竹内一美少佐です。》


「はーい。一美。」


「……工藤中佐。切りますよ。」


「ちょ、切らないでよ!これから10時の方向にいる敵艦隊のもとにこれから行くわけだが、連中の度肝を抜いてみたいと思わないか?」


《……興味深いですね。是非とも聞かせていただきたい。》


「ちょっと!何を話ているんです?私を抜きに面白そうな話をしないでください!」


《そうですよ!基本的に戦うのは私達なんだから私達抜きに話をしないでくださいよ!》


私の横に現れたいかづちの声と無線越しにいなずまの声が聞こえてきた。


「まあまあ。それで話なんだけど………」



[06:45時]

〈レイシス帝国城塞都市ベルン 近海〉

レイシス帝国海軍 第1艦隊 第3パトロール隊 旗艦 マーシュリー艦長 リサ・トレイン



「ベルンが見えて来たぞ!報告通り襲撃されている!」


近海のパトロール中に街からの緊急の連絡を受け、急いで戻って来た私達の遥か先に、煙をあげる街が見えて来た。


「街が…燃えている!」


「クソ!一体どこのどいつが!」


「全員落ち着け!戦闘の準備をしろ!街を襲った不届き者に一矢報いるぞ!」


「「「「「おぉー!」」」」」


私の号令で乗員達が一斉に戦闘の準備を始めたが、私はどうしてもいやな予感が拭えなかった。


帝国軍の精鋭達が集まっている難攻不落の城塞都市が煙をあげている。それだけで敵の戦力が私達より圧倒的に上というのはわかりきっていた。


「?!か、艦長!2時の方向!敵艦らしき物が接近中!す、凄い速さです!我々の倍は出てます!」


「何?!」


監視が叫び、私は2時の方向を遠見の魔術道具で見ると、帆が無く、木製でもないやたら角ばった構造の灰色の巨船が水飛沫を上げながらとてつもない速さで接近して来ていた。


「な、何なんだあれ!」


「鉄で出来た船なんて聞いた事ないぞ!?」


「えぇーい!落ち着け!相手はたったの2隻だ!艦隊を散開させろ!」


命令を出し艦隊が動き出したとき、


『あーあー。こちらはフェンリル海軍、駆逐艦いかづち。レイシス帝国海軍パトロール艦隊に継ぐ。既に城塞都市ベルン、並びに帝国海軍艦隊は墜ちた。これ以上の抵抗は無意味である。帆をたたみ、降伏せよ。さもなくば貴艦隊に対し武力による制圧を開始する。』


「なんだ?」


「どういう事だ?街を墜としたならどうして俺達に降伏を求める?」


船員達の間に困惑が広がった。


「怯むな!敵はただの腰抜けだ!そんな相手に誇り高い帝国海軍が負けるものか!全艦、突撃ぃ!」


私は船首に立ち、敵にサーベルを向けた。



〈フェンリル海軍 第1艦隊 かが空母戦闘群 しまかぜ型汎用駆逐艦 いかづち SMI〉

フェンリル海軍 汎用駆逐艦いかづち艦長



「敵艦隊、増速しました。本艦といなずまを包囲するように展開するつもりのようです。」


「こちら駆逐艦いかづち!帆をたたみ、停船せよ!さもなくば攻撃する!」


再度呼び掛けを行ったが停船する様子は見られなかった。


「敵艦隊、依然として進行中。船首の女性がこちらにサーベル向けてますよ。」


「むぅ。これはもう無理だな。いかづちよりいなずま。作戦通りに。」


《了解です。》


いなずまに連絡をいれ、行動を開始した。


「こちら駆逐艦いかづち!これより攻撃を開始する!」


スピーカーで宣言してからSMIのクルーに命令した。


「光学防御システムを、マニュアルで敵艦の底部に照射。」


「了解。射線クリア。光学防御システムに問題無し。照射します。」


いかづちといなずまのCIWSに同軸で設置されていた湊さん作成のレーザー砲から青白いレーザーが伸び、7隻の敵艦の底部を破壊し、焼き切った。


「敵艦隊に甚大な損害。敵艦、沈み始めています。どうしますか?」


「決まっている。機関最大戦速!シーホークを発艦!救助を開始する!」


《こちらいなずま。救助作業に入る。》


「さあ、いかづち!久々に全力で走って良いわよ!」


「イェス!張り切って行きますよ!」


いかづちの水素エンジンが唸りをあげ、船首が少し浮き上がるほどの速度で敵艦隊の沈没地点に向かった。


「よし。機関停止。シーホーク発艦。手の空いている人員は救助作業を開始しろ!」


ヘリが発艦し、ボートやデッキから浮き輪を投げる等の救助作業が開始された。



[09:30時]

〈フェンリル海軍 第1艦隊 旗艦 あかぎ デッキ〉

フェンリル軍GDU1stIB フェンリル軍多種族混成部隊隊長 七海優香 TACネーム:フェアリー コールサイン:シルキー・アクチュアル



私は部隊の皆と、元奴隷の女性達と一緒に迎えのヘリに乗って空母に戻って来た。


「あかぎにようこそ。元奴隷の人達はフランに着いて行って。身体検査とか傷の手当てとか色々あるから。それじゃあフラン。頼んだわよ。」


「はい!それじゃあみんな、着いて来て。中は複雑だからはぐれたら大変だよ。」


フラン達が艦内に入って行った後、私は部隊の面々に解散を伝え、武器をしなった後、有希達と別れてある場所に向かった。



そこは非常に温度が低く、金属製の扉がいくつも並んでおり、その内のいくつかは使用中を示す赤いランプが灯っていた。


「………………」


私は扉に手を当て、目を閉じた。


「………敢えて言ったはずよ。」


扉の中には、この戦闘で自らの信念の為に死んだ仲間達が入っていた。


「…………あなた達は、自らの信念を信じ、守る為に戦った。私に、あなた達の信念と、思いを継がせてくれ。いままでありがとう。ゆっくり休んで。」


私は扉から手を離し、1歩下がり、最敬礼をした。

30秒ほど経ち、挙げた手を降ろし、


「……アナト。隠れてないで出てきたら?」


私の背後で空気が揺らぎ、アナト達3人が現れた。


「気配とかを完全に遮断出来ていたはずなんだけどなー。

この中に今日戦死した人の遺体が?」


「ええ。本土での本格的な葬儀まで、ここで少しの間眠って貰っているのよ。」


私がそう言うと、3人は私の隣に並び、最敬礼をした。


「お姉ちゃん。私達にも、お姉ちゃんが継いだ思いを半分預けて貰えないかな?」


「え?」


「私達は、これからもお姉ちゃんと同じ道を歩みたい。お姉ちゃんは私達を救ってくれた。記憶と言葉を失った有希。恐がられ、差別されて100年近く孤独だったシャル。封印が解け、トラウマのせいでどうしようもなく壊れていた私。私達3人はお姉ちゃんのお陰で奴隷から、危険生物から、化け物から、元に戻る事が出来た。そんなお姉ちゃんだから、お姉ちゃんが背負っている物を一緒に背負いたいの。」


アナトがそう言うと、有希とシャルも黙ったまま頷いた。

私が口を開こうとすると、


「お姉ちゃんのやった事が、ただの自己満足だったとしても、そのお陰で救われた事実は変わらない。たぶんこの運命はお姉ちゃん達がこの世界に来た時から決まっていたんだよ。だからこそ、私達はお姉ちゃん達がその運命に潰されないように一緒に抗いたい。」


アナト達は真っ直ぐ私の目を見つめた。


「…………………わかったわ。私の命と私や仲間達の思いの半分をあなた達に預けるわ。だから、私にもあなた達の命と思いを一緒に背負わせてもらうわ。」


「クフフ。声と記憶を無くすほどの経験をした有希、1000年以上血と恐怖と狂気の世界を生きてきた私、500年以上危険生物として孤独の中で生きたシャル。私達の命と思いの重さに潰されないでよ?」


アナトは小悪魔のように笑いながら言った。


「フフ。あなた達こそ、私が背負っている10万以上の死者達の思いと、500万以上の部下、3億の国民の命に潰されないでよ?」


「望む所だよ!」


私はこれから遥かに長い時間を共に過ごすであろうアナト達3人と改めて固い握手をした。


「さしあたり、さっさとこの無駄な戦争を終わらせましょう。」


私は4人揃って霊安室を後にした。信念に殉じた彼等の思いを共に抱き、この戦争を終わらせる為に。

明後日、いよいよ首都攻略作戦が決行される。

城塞都市攻略作戦でした。


とうとう戦死者が出てしまいました。が、描写していないだけで他の作戦でも何人か死者が出てます。まあ全部合わせても10人くらいですが。キルレート何倍になるんでしょうか?少なくとも1000倍以上ですね。

因みに私のCODでのレートはだいたい2~1.5くらいですね。

前にも言った通り、基本ハードコアなので、非常に調子が良いと全然死なずに一方的に殺れるんですよね。確か最高は1デス24キル、レート24倍だったと思います。


今回の名言です。今回は『ヨルムンガンド』より元デルタフォースのベテラン傭兵、レームの言葉です。


レーム「この小隊(ウチ)は「殺し合い」なんてやらない。やるとしたら一方的な「殺し」。捨て身の突撃が必要な状況は、訓練に訓練を重ねたテクニックで補え。」


最近初めて読んだんですが面白いですね。非常に個性的で魅力的なキャラが多いですし。主人公の武器商人、ココの若干壊れた物言いとかが個人的に気に入りました。アニメもよかったです。


そういえば今日はお菓子メーカーの戦略でチョコレートがバカ売れする日でしたね。皆さんは貰えました?私ですか?私は3つ|(母、祖母×2)ですよ、ハハハ。………ちくしょう。


次回はとうとう帝都侵攻です。多分蹂躙とかじゃなくて特殊部隊が隠密潜入してあっさり制圧、という感じになると思います。


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