表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲームの軍隊と異世界攻略  作者: RIGHT
第2章 Operation Dragon Slayers
56/88

第2章18 Operation Dragon Slayers Part.8

[9月10日 18:30時]

〈レイシス帝国城塞都市ベルン近海 フェンリル海軍第1艦隊 あかぎ空母戦闘群 旗艦 あかぎ 会議室〉

フェンリル軍GDU1stIB フェンリル陸軍多種族混成部隊隊長 七海優香 TACネーム:フェアリー コールサイン:シルキー・アクチュアル



あかぎを始めとした各艦の会議室に各部隊長が集まり、モニターを眺めていた。


「これが城塞都市ベルン。」


「こいつは苦労しそうだな。地上を行くとしたらの話しだが。」


城塞都市ベルンは、四方を山脈と海に囲まれた天然の要塞の上、山脈の内部も地下要塞となっていた。


「幸い要塞の方は街から離れているし、空爆で埋めちまうか?」


「それが一番楽ね。出口を1、2箇所残して、それ以外の出口は爆撃して潰して埋めましょう。それで、残った出口から出てきた敵を無力化して行きましょう。

山の頂上の城と地下要塞には私達[多種族混成部隊]とメタル[デルタフォース]、ヴォルフ[KSK]が乗り込むわ。ネプチューン[DEVGRU]、ウミドリ[SBU]、サイモン[MARSOC]は敵艦隊の制圧。ウォーピッグ[ForceRecon]はヘリから攻撃と監視。アレクシー[JTF-2]、ディアナ[CGSU]、イェーガー[JGK]、ミスフィット[海兵隊第3遠征旅団]、セントバーナード[第1機甲師団]は街に展開して領主館と各軍事施設を制圧。ミスフィットとセントバーナードには要塞の出口付近にも展開してもらって、脱出してきた敵部隊の待ち伏せと降伏勧告、殲滅もお願いするわ。

作戦開始は明日の0500時。丁度この世界の人々が起き始める頃よ。戦闘機の爆撃で目を覚まさせてやりましょう。」



[19:30時]

〈空母あかぎ 居住区画〉



会議が終わり、食事を終えた後、自分のベッドに腰掛けながら愛銃の手入れをしていると、


「優香さん。ちょっと良いですか?」


レヴィがやって来た。


「ん。もう少し待って。」


銃を手早く組み立て、枕の上においた。


「お待たせ。どうしたの?」


「あの。私明日が初の実戦で、その…皆の足を引っ張らないか心配で。」


「ああ。なるほど。」


レヴィは小刻みに震えながら言った。


「大丈夫よ。怖いのはあなただけじゃない。皆同じよ。でも私達は立ち止まらない。立ち止まる方がもっと怖いから。それに私達はチームよ。怖い、辛い、そんな時は仲間に思いきり頼って良いの。1人で持つのが辛い時は仲間が支えてくれる。1人1人は完璧には出来ていない。でも仲間が集まれば完璧になれる。もっと私達を頼って。」


「は、はい!」


レヴィはまだ馴れていない敬礼をした。


「良し!それじゃあ親睦を深める為にも、一緒にお風呂に行きましょう。」


「はい!……え?!」


「何か問題が?」


「いえ、その、それはちょっと恥ずかしいです。」


「問答無用。さあ、行くわよ。それと敬語は禁止よ。距離を取られてるようで好きじゃないの。タメ口で話して。」


「ええ~。ちょ、自分で歩きます、いえ、歩くから引き摺らないで~。」


私はレヴィを引き摺ってシャワー室に向かった。



[9月11日 04:30時]

〈レイシス帝国城塞都市ベルン近海 フェンリル海軍第1艦隊 あかぎ空母戦闘群 旗艦 あかぎ フライトデッキ〉

フェンリル海軍 特殊作戦航空団 空母あかぎ航空隊 第16特殊作戦飛行隊隊長 杉田智弘 TACネーム:ライデン コールサイン:サムライ1(リード)



作戦開始が迫り、フライトデッキでは機体の最終チェックが行われていた。


「井上さん。機体の調子はどうですか?」


俺は愛機のF/A-4B|(爆装)を整備中の整備士長の井上遥大尉に聞いた。


「誰に聞いているんです?最高に決まってるです!いつ、いかなる時でも最高のコンディションで飛べるようにするのが私達整備士の仕事であり、誇りです!」


井上さんは小さな背|(身長:142cm)を精一杯伸ばして胸を叩いた。


「頼もしいな。ありがとう。」


俺は小さな整備士長の頭を撫でた。


「ふみゅう。……はっ!こ、子供扱いは止めるです!私はこれでも23歳です!この道8年のベテランで、れっきとした大人です!」


井上さんは頬を膨らませて怒った。


「ハハハ。すいません。つい。」


俺は笑いながら謝った。


「むぅ。わかったです。機体のチェックはこれで終わりです。それじゃあ私は他の機体のチェックに行くです。」


井上さんはそう言って別の機体に走って行った。


「さて。俺も一通り見ておこう。」


俺は一通り機体を確認し、異常が無い事を確認し、機体に乗り込んだ。


「あかぎコントロール。こちらライデン。発艦準備を開始する。」


《ライデン、あかぎコントロール。了解。誘導員がカタパルトへの運搬を開始する。スラット、フラップの駆動を確認せよ。》


後ろを向き、フラップとスラットが正常に動作する事を確認した。


「確認。ウエポンシステムチェック。完了。現在計器に異常なし。」


発艦シーケンスを手早く行っていき、全ての作業が終わった。


《ライデン。発艦を許可する。》


「了解。」


エンジンを全開にし、レールカタパルトが作動し、機体が空に射出された。


「ライデン、エアボーン。これより空中で待機する。」



[05:00時]


《こちらセクション。ネプチューンはスピアを制圧。楽勝だったわ。これで敵旗艦や敵艦隊の高脅威目標はただの箱よ。》


先行して敵艦隊の重武装艦艇や旗艦の制圧を開始していたネプチューンから制圧完了の報告が入った。


《了解した。サンダーヘッドより全機。作戦開始時刻だ。航空部隊各隊は定められた目標に空爆を開始しろ。》


《《《《「了解。」》》》》


作戦開始時刻となり、街に向かうヘリ部隊とLCAC、ボートの群を飛び越え街に向かった。


「サムライ各機。俺達の攻撃目標は山にぽっかりと空いた要塞の出入口だ。誤爆は許さん。正確にきめるぞ。」


《《《《《了解。》》》》》


《サムライ隊、敵の飛竜との戦闘は、全部オイラ達に任せてくれても良いんだぜ?》


ウォードッグのチョッパーが笑いながら言った。


「いや。爆撃だけじゃ退屈するだろうし、帝国最精鋭の竜騎士とやらには興味がある。しっかり殺らせてもらう。」


《おぉ!さすがはサムライ。強敵には興味があるみたいだな。》


《ダヴェンポート大尉。私語は慎めと何度言わせるつもりだ?そろそろ君からのストレスで胃に穴が開きそうなんだが?》


《そいつは不味いな。今度胃薬をダースでプレゼントしてやるよ。》


いつも通りの会話を聞きながら暫く飛行すると、朝陽を浴びる城塞都市が見えてきた。


「あれか。対艦ミサイル発射準備。」


山に散在する目標がHUDに表示され、ミサイルのロックオンが完了した。


「サムライ1、ライフル!」


翼のミサイルベイから巨大な対艦ミサイルが切り離され、マッハ4で低空を飛翔し、街を越えて山の穴に突き刺さった。

軍艦を1撃で沈めるほどの爆発と衝撃で崩落が発生し、穴をふさいだ。他の機が発射したミサイルも狙い通りの目標に命中し、先制攻撃は成功した。


《全目標の破壊を確認。良くやった。これよりヘリボーン部隊と地上部隊が上陸を開始する。各自自由戦闘を許可する。制空権を確保しろ。トカゲどもを叩き落とせ。》


《了解。ウォードッグ隊エンゲージ!》


《シャーク、エンゲージ!》


《ジョリーロジャー隊、エンゲージ!》


《レッドデビル隊エンゲージ!》


「サムライ隊、エンゲージ!」


《ソウヘイ、エンゲージ!》


《アニマ隊、エンゲージ!》


《イーグル隊、エンゲージ!》


《シノビ隊、エンゲージ!》


《クーガー隊、エンゲージ!》


《レッドナイト、エンゲージ!》


《ソード隊、エンゲージ!》


続けて慌てて空に上がり始めた飛竜達に襲い掛かった。


「サムライ各機、航空優勢を確保する。油断と深追いはするな。バディとの連携を意識しろ。散開。」


《《《《《了解。》》》》》


サムライ隊の各機が、2機ずつの編隊に別れ、散らばった。


《ライデン、山の頂上の城、街の各所、敵艦隊から次々と飛竜が離陸しています。》


「街の上空にはケストレルの航空隊、敵艦隊上空にはかがの航空隊がいる。俺達は城の上空の飛竜を落とす。オウカ、行くぞ。」


《了解。》


城の上空の飛竜達に機首を向け、エンジン出力を上げた。

飛竜達は接近する俺達に攻撃を加えようと首をこちらに向け、口に炎を蓄えていた。

その炎の熱と、飛竜の高い体温を高精度センサーが捉え、ミサイルのロックが完了し、HUDに表示された。


「サムライ1、FOX2!」


《サムライ2、FOX2!》


機体下部のウエポンベイから発射された短距離ミサイルは、音速を超えるスピードで飛竜の体に突き刺さり、体の内部で弾頭が爆発し、飛竜とその騎士を吹き飛ばした。


「サムライ1、スプラッシュ(撃墜した)!どんどん行くぞ!」


音速を超える戦闘機達に対応出来ない飛竜と竜騎士達は次々とミサイルの餌食となり、地面へと墜ちていった。



[05:25時]

〈レイシス帝国城塞都市ベルン MH-60M〉

フェンリル軍GDU1stIB フェンリル軍多種族混成部隊隊長 七海優香 TACネーム:フェアリー コールサイン:シルキー・アクチュアル



私はナイトストーカー・リードのMH-60Mのドアに座り、海上を飛行するヘリの群とLCACやボートで構成される上陸部隊を眺めていた。


《フェアリー!降下地点まで3分!》


「了解!フェアリーより全隊!これより上陸作戦を開始する!各自自分の役割を全うせよ!無事生きて帰るぞ!」


《《《《《応!》》》》》


ヘリが街を低空でフライパスし、山肌に沿って上昇し、城の上に出た。


《城の敷地内に複数の敵の活動を確認!ガンナー!制圧しろ!》


ガンナーがドアに設置されたミニガンを降下地点に向け、発射ボタンを押した。


[ヴォーーーーー!]


轟音と共に7.62mmの嵐が発射され、城にいた人間をミンチにした。

ヘリがゆっくりと降下地点に設定された城の北側でホバリングした。


「降下!」


ロープを蹴り落とし、降下を開始した。

城の北側、南東側、南西側の上空には大量のブラックホークがホバリングし、隊員達を降下させていた。

着地したら城に銃を向け、有希達が降下するのを待った。


「降下完了!」


最後にヘリを降りてきたフランがヘリに合図を送り、ヘリがロープを切り離して上空を離れた。

2機のヘリに分乗していた隊員達が集まった。


「地下要塞はメタルとファルケが制圧に行く。私達の目標は城の制圧と捕らわれている奴隷達の救出よ。

サリア、キーラ、先導して。」


《《了解!》》


MP5SD6を持ったルーと、ACRを持ったエリカの2人を先頭に城に接近を始めた。

城からは時折魔術が飛んできたが、予めアナトがかけておいた障壁と、湊が組み込んだ障壁の2枚に阻まれ、空中で霧散した。


「攻撃が届かないと分かっているとは言え面倒ね。アスタ。吹き飛ばして。」


「了解!」


エッタが背負っていたXM25を取りだし、城に向けて発砲した。


[ポン!ポン!ポン!ポン!]


発射された4発のグレネードは、真っ直ぐ飛翔し、城の魔術が飛んできた窓に飛び込み、爆発した。


「前進。」


前進を再開し、壁にたどり着いた。


「壁の上に上がるぞ。」


左腕のフックを発射し、一気に壁を登ると、丁度目の前に敵の騎士がいた。


「こんにちは。」


私は呆然としている騎士に挨拶をし、


「さようなら。」


胸ぐらを掴んで壁から放り投げた。


「う、うわぁぁぁ!」


騎士は叫び声をあげながら落ちていった。

騎士の叫び声を聞き、近くにいた騎士や魔術師達が集まってきたが、


[バババン!バン!]


[ババババババン!]


続いて上に登ってきた、ドロシーのG3A3とミリアのM240の弾幕により次々と殺されていった。


「フェアリー城壁を制圧。これより城内に突入する。」


《こちらサンドマン。ファルケと合流。壁の近くに地下要塞への入口を見つけた。これより侵入する。》


城の門は遠目に見てもかなり頑丈そうだった。


「サンドラ。LAMを撃ち込んで。」


「了解!」


4次元ポーチからパンツァーファウスト3を取りだし、後方の安全を確認し、発射した。

発射された110mmの対戦車ロケットは、白い石の門に命中し、70cmの鉄板|(?)すら貫徹出来る破壊力を存分に発揮し、門を吹き飛ばした。


「あの穴から侵入する。降下!」


高さ20mほどの壁を飛び降り、ジェットパックで勢いを減衰させて着地し、穴に向けて移動を開始した。

穴には直ぐに着き、中に入った。

城の中は私達を待ち構えていた多くの騎士達の呻き声と血の海と匂いで地獄絵図となっていた。


「1階から順に制圧して行く。ソマリ(ミリア)、カイン(ライル)の分隊は左翼。私とサリー(チェイシー)の分隊は右翼。階段は右翼と左翼に1ヵ所ずつ。螺旋を描くように上に上がって行く。わかったな?」


「「「了解。」」」


部隊を2つに分け、私達は右翼を進み始めた。


「シェーン(シェスカ)、先導して。」


「はい。」


MP7を持ったシェスカを先頭に進み始めた。

マグネティックを起動し、部屋の中を確認し、無人の部屋は無視して進み、3部屋ほど進むと、部屋の中に複数の人の反応があった。


シェスカがドアに張り付き、合図を送ってから蹴破った。


[バーン!]


「動くな!両手を頭の上に上げて!」


シェスカに続いて部屋に入ると、


「ひぃぃぃ!こ、殺さないで!」


メイド服を着て、奴隷の首輪を着けた女性達がいた。


「殺さないから!両手を頭の上に上げて!」


女性達は言われた通り、両手を頭の上に上げた。


「すいませんが、一時的に拘束させてもらいます。」


女性達の腕にプラスチックの手錠を巻き付けていった。


「これで全員ですか?」


「い、いえ。元冒険者だった人達は軍の将校に上に連れて行かれました。」


「何人?」


「元Aランク冒険者のカレンさん、レイアさん姉妹と、5日前にここにきた元Sランク冒険者の咲夜さん、元SSランク冒険者のレミリアさんの4人です。」


「え?!」


フランが驚きの声をあげた。


「そ、それ本当?!」


「は、はい!」


「そんな…」


「知り合いが?」


私はフランに聞いた。


「SSランク冒険者のレミリアは私のお姉さまなの。咲夜はお姉さまとパーティーを組んでた冒険者で私もお世話になって……こんな所にいたなんて…」


私はフランの肩に手を置き、言った。


「しっかりして。捕らえられているならあなたが助け出せば良い。お姉さんに今のあなたを見せ付けてあげなさい。」


「は、はい!」


「メイドさん。ありがとう。後で開放するから暫くそこで大人しくしていて。」


「は、はいぃぃ!そうします!」


メイド達がいた部屋を出て進み始めた。

階段を素通りし、角を曲がると、左翼を進んできた18人と会った。


「右翼の階段は角を曲がって直ぐの所よ。」


「左翼も同じです。」


「良し。上に行くわよ。元冒険者の奴隷が4人上に連れて行かれたそうよ。メイド服を着ているはずだから注意して。」


「了解。」


18人と別れ、左翼の階段を上り2階の制圧を開始した。



[30分後]



1~5階の制圧が完了し、最上階の6階についた。

6階は1つの大部屋があるだけだった。


「ここにお姉さまと咲夜が!」


「フラン。落ち着いて。ソマリ。こちらフェアリー。スタンバイ。」


《何時でも行けます。》


「3カウント。3、2、1、ゴー。」


[バーン!]


シェスカがドアを蹴破り、一斉に突入した。


部屋の中には軍服の男性、鎧の男性2人、赤髪の姉妹とみられる女性達、銀髪の同い年位の少女、紫の髪のフランと殆ど同じ年に見える少女と黒い剣を持った黒髪の少女がいた。


「お姉さま!咲夜!」


「!フラン!?何故ここに?!」


「妹様?!」


紫髪と銀髪の少女がフランの言っていた2人のようで、フランを見て驚きの声をあげた。


「まだよ、フラン。」


私は今にも飛び出しそうなフランを押し留め、油断なく銃を構えながら言った。


「私達はフェンリル軍だ。既にこの城は制圧させてもらった。降伏する事を薦める。」


私がそう言うと、


「フフフ、ハーハハハハ!降伏などするものか!貴様等はここで死ぬのだからな!始末してこい!」


軍服の男が叫ぶと、軍服の男を除く全員が私達に襲い掛かってきた。


「お姉さま!」


「フラン!やるしかない!全員!少女達は殺すな!」


私は黒髪の少女の剣を、愛刀で受け止めた。


「へえ。良い剣ね。」


少女は全く表情を変えなかった。


「なるほど。あなたが報告にあった呪いの剣の少女ね。」


少女が踏み込み、横凪ぎに振ってきたのを剣を絡めるように振り、力の向きを変え上に振らせた。

返す刃で少女の無防備な腹に峰打ちを叩き込もうとしたが、少女はバク転をして距離をとった。


「良い動き…!」


不意に背後に気配を感じ、横に逃げると、真っ黒な影のような物が私に突きを放ってきた。


「なーる。影を操る剣ね。これは不味いわね。」


私が少女に攻撃を仕掛けたりガードするとすかさず影が攻撃して来るので、次第に劣勢に追い込まれていた。


「くっ!」


完璧なタイミングで影が攻撃し、避けられないと思った私はなんとか致命傷は避けようと位置を調整しようとしたが、


[ギィン!]


湊が専用に新しく作った高周波ブレードを構えた有希が間に入り、影の攻撃を受け止めた。


『姉さん!』


「ナイスタイミング!さあ、これで2対2よ!さっさと片付けさせてもらうわ。」


私は少女に斬りかかった。



●シェスカ・ローザングル TACネーム:シェーン



私は愛用のナイフを抜いてフランちゃんが咲夜と呼んでいた少女と対峙していた。


「フランちゃんのお姉さんのお友だちですね?出来ればこうして会いたくはなかったですね。」


「同感ですね。首輪のせいで能力が制限されていますが、殺すつもりで来ないとあなたが死んでしまいますよ?」


「ご忠告どうも。でも、私はそう簡単には死にませんよ!」


私は2本のナイフを構え、駆け出した。

私が駆け出すと同時に、咲夜さんがナイフを投擲した。


[キィン!]


私は向かって来るナイフを叩き落とし、咲夜さんの懐に飛び込んだ。

咲夜さんは相当なナイフの使い手で、近距離でナイフを振り合う私達の体を次第に傷だらけになり、息が荒くなっていった。


「はぁ、はぁ。中々やりますね。」


「あなた、こそ。」


私は頬を伝う血を舐めとるとナイフの先端を咲夜さんに向けた。


「そろそろ終わらせましょうか?」


「そうですね。」


咲夜さんがそう答えると、咲夜さんの目が赤くなり、一瞬にして10本以上のナイフが私目掛けて飛んできた。


「?!」


私は驚き、非常に恐怖したが、体勢を崩さず、ナイフを咲夜さんの首筋に向け、スイッチを押した。


[カシュ!]


スプリングの音と共に高周波モードのナイフのブレードが発射され、咲夜さんの首筋を掠め、隷属の首輪を切り裂き、反対側の壁を貫通した。

私は残った左手のバリスティックナイフと風の魔法で、顔や首、胸などの即死の危険がある場所に向かってきたナイフを何とか防いだが、私の両肩、両腕、両足に合計で5本のナイフが突き刺さった。


「ぐぅぅうぁぁ!」


当然立っていられる訳もなく、私は仰向けに倒れた。

余りの激痛に動けずにいると、


「素晴らしいですね。ナイフもそうですが、何よりあなたの精神力の強さには感服しました。」


首の傷から血を流しながら咲夜さんが近付いてきた。

咲夜さんはそのまま私の体に刺さったナイフを抜くと、メイド服を破り、私の体の止血を始めた。


「ありがとう、ございます。」


「いえ。元々私のやった事ですし。私こそありがとうございます。」


私は咲夜さんに肩を貸してもらいながら、立ち上がり、無事だった右腕で愛用のMP7を持ち、歩き始めた。



●フランドール・スカーレット



「お姉さま!」


「良いお友だちね、フラン。」


私とお姉さまはそれぞれの武器を持って対峙していた。


「くぅ!」


「駄目よ。フラン。私を殺すつもりできなさい!」


私が本気になれず、苦戦していると、


「お手伝いさせてもらうよ、フランちゃん。」


唐突に私とお姉さまの間に、きらびやかに輝く剣を持ったアナトちゃんが現れた。


「あら?あなたは?」


「はじめまして。フランちゃんの仲間で、アナトって言います。フランちゃんではあなたを止めるのはきつそうだったので私が変わります。」


「アナトちゃん?!」


「と言いたい所ですが、私はあくまで手助けだけします。」


そう言ってアナトちゃんは私達に魔法をかけた。


「これで1度だけ死を無効化出来ます。存分にどうぞ。さあ、フランちゃん。これで殺すつもりでいって大丈夫だよ。自分の全力をお姉さんに見せて、自分の手で助け出すんでしょ?」


「アナトちゃん…。ありがとう。」


「お礼は後で2人揃って言いにきてよ。それじゃあね~。」


そう言って、アナトちゃんの姿が霞む様に消えた。


「フラン…。あなた、一体どういう集団に属しているの?こんな魔法を無詠唱で、同時に2人に、たった1人でかけられるなんて、一体どういう魔力量をしているの?」


「お姉さま。お姉さまに話したい事が一杯あるから、ここで倒させてもらうよ!」


私はライフルを背中に回し、私の魔力で作った(レーヴァテイン)を持った。


「……フフ。良いわよ。あなたの力を私に見せて頂戴!」


お姉さまは魔力を使って槍を生み出し、構えた。

私は地面を全力で蹴り、懐に飛び込み、切り上げた。


[ガキィ!]


私の剣と槍がぶつかり、金属音が響いた。


「その程度かしら?」


「まだまだ!」


お姉さまの槍の柄を掴み、手前に引いた。


「?!」


お姉さまはとっさに引き戻そうと槍を引いた。

私はその力を利用して、お姉さまの体勢を崩させ、首に腕を掛け、背中から地面に叩きつけた。


「ぐは!」


吸血族特有の怪力にスーツのアシストが加わり、お姉さまの体が少し地面にめり込み、苦悶の声を上げた。


「ぐう!」


お姉さまは体のバネを最大限利用し、勢い良く立ち上がると、近距離では不利な槍を消し、拳を握った。

しかし、隷属の首輪の影響で本来の力がまったく出せていないようだった。

私はお姉さまの攻撃を捌きながら攻撃の機会をうかがった。


「フフフ。強くなったわね!フラン!」


「私だって、いつまでも子供じゃないし、みんなの為にも、もっともっと強くならないといけないからね!」


お姉さまのパンチを左脇で挟み、右手で胸ぐらを掴み、背負い投げをきめた。


「うう!」


いくら体が頑丈で驚異的な回復力を誇るお姉さまも、さすがにもう動く事は出来ないようだった。


「……はぁ。もう無理。立ち上がれないわ。」


お姉さまは天井を見上げながら言った。


「本当に強くなったわね。あれどうやっているの?気が付いたら投げられて、背中から叩き落とされるなんて。ヤマトに行った時に見たジュウドーに似てるみたいだけど……。」


「あれはCQCって言って、私の恩人に教えてもらったんだよ。」


「それって、あそこにいる銀髪の?」


「うん!」


「フフ、また聞きたい事が増えたわね。」


「私も色々話したいけど、先ずは首輪を外すね。」


お姉さまの首輪の下にナイフを入れ、高周波モードにして切断した。

切断した瞬間、お姉さまの本来の魔力が解放され、体の傷を急速に治癒していった。


「ふう。やっと解放されたわ。ありがとうね、フラン。」


「どういたしまして!」


私達は久々の再会を喜んだ。



●七海アナト TACネーム:ルーシー



軍服の男が叫んだ直後、私とシャルの前に赤と青の色違いの鎧を着た男達が向かってきた。


「そこの亜人!お前達の相手は俺達だ!」


「俺達と戦う事になった不幸を呪うんだな。」


男達はそう叫び、腰の剣を抜いた。


「ねえ、シャル。あの人達私達を殺すつもりみたいよ。」


「ん。確かに強いの。冒険者ギルドのランクだとSは間違いないレベルなの。」


「フフフ。それはそうさ。俺達はレイシス帝国でも5本の指に入る魔剣使いだ。単独で竜種を狩れるほどだからな。」


「どうだ?貴様等中々可愛いし、俺達の奴隷になるなら生かして「でもそれだけなの。私達の敵じゃないの。」なにぃ!」


男の言葉を潰した上にバカにしたシャルに、青い鎧の男が激昂した。


「でしょうね。あの程度じゃあね。」


私も続けて男をバカにするように言うと、


「貴様!亜人の小娘の分際で!」


「許さん!四肢を切り落とした後、徹底的に誰が主人か教えてやる!」


男達は私達、特に私を、睨み付けながら剣を構え、剣に炎や氷を纏わせ、突撃してきた。


「クフフ!」


私は軽く笑い、赤い鎧の男の目を見つめながら指をパチンと鳴らせた。



●レイシス帝国陸軍 魔剣士序列3位 トール・エストーム 通称:火焔騎士



俺と相棒のマイル[魔剣士序列4位 通称:氷結騎士]は剣を構え、俺達をバカにした2匹のガキに、最高の一撃を叩き込もうと駆け出した。

ガキ共は、俺達のスピードが予想以上だったのか、驚愕していた。


「えっ?!」


「速いの!」


俺は全力で剣を振り、魔人族のガキの両足を切り落とした。更に魔剣の効果で、切断面から火が上がり、ガキの体は炎に包まれ悲鳴があがった。

そこにマイルが剣を振り、アルラウネのガキを氷の檻に閉じ込めた。


「ふ。たわいもないな。」


「ああ。ただの戯れ言だったようだな。」


俺達がこの後の調教作業を楽しみにしていると。


『へぇ。やっぱり大したことないね。』


俺が切ったはずのガキの声が聞こえてきた。


「な!どういう事だ?!」


ガキは今俺の目の前で火達磨になっていた。まともに話せる訳がなかった。

不意に背後に気配を感じ、振り返るとそこには無傷の魔人族のガキがいた。


「残念だったね。トリックだよ。」


ガキは楽しそうに笑いながら言った。


「はっ!逃げれば良かったものを!もう貴様に勝ち目はないぞ!」


「クフフ!獲物を前に舌舐めずりは3流のやる事だよ。マヌケ。」


俺は全力で剣を横凪ぎに振り、ガキの首を撥ね飛ばした。


「ふう。今度こそ。」


「クフフ!もう終わり?やっぱり大したことないね。もっと私を楽しませてよ。」


ガキの死体をしっかり確認した直後、後ろから声をかけられた。

得体の知れない恐怖を感じ、振り向くとそこには誰もいなかった。


「あれ?何処を見てるの?私はこっちだよ♪」


再び声をかけられ、そっちを振り向くとやはり誰もいない。


「お、おい!マイル!どうなって、?!」


気付くと相棒も消えており、それどころか、周囲を闇に囲まれた空間にいた。


『クフフ!か~ごめ、か~ごめ♪か~ごのな~かのと~りは♪アハハハ!』


最初は1ヵ所からだった声が歌と笑い声だけになり、俺の周り全体から聞こえるようになっていた。


『い~つ~い~つ~で~あ~う~♪クフフフフ!』


ズル、ズル、という何かを引きずる音を聞き、そちらを見た。そこには俺が最初に燃やした足のない焼けた死体が、大火傷を負った体を引きずりながら、焼けただれた顔に笑みを浮かべながら近付いてきていた。


「な、何なんだこれ!」


『よ~あけのば~んに♪フフフ!』


俺はとてつもない恐怖を感じ、何処へともなく走り出した。


『キャハハハ!つ~るとか~めがす~べった♪』


不意に何かに躓き、耳を塞いで踞った。

躓いたのは2番目に殺した首から上のない死体だった。死体の近く、俺の正面にはその首が狂気を感じさせる満面の笑みを浮かべていた。


「うしろのしょうめんだ~れ♪」


踞る俺の首に子供のように柔らかくなめらかな青い肌の腕が回された。


「うわぁ!!」


俺は腕を払いのけ、振り返った。

そこには立派な2本の角を生やし、巨大な蝙蝠のような翼を広げた小さな少女が、ダイヤモンドのように透き通った目で俺を見つめながら満面の笑みを浮かべていた。


「クフフフフ!アハハハ!さあ、お兄ちゃん?次は何をして遊ぶ?ここは私とお兄ちゃんだけの特別な精神空間。苦しむ事は出来ても死ねず、通常の1万分の1で時間は流れるからいつまでも遊べるね!」


俺はその楽しそうな声を聞き、確信した。

俺達はこの相手に決して手を出すべきではなかった、と。


「そうだねぇ。次は~。そうだ!かくれんぼをしよう!私が勝ったら、お兄ちゃんの体の一部をもらうよ!それじゃあ最初は私がオニね!アハハハハハハ!」


「ハ、ハハ、ハハハハハハハ!」


気が付くと俺は大声で笑っていた。



●シャルル・オラトリエ TACネーム:プラン



アナトが指を鳴らすと、赤い鎧の男が唐突に倒れた。


「お、おい!どうしたんだ?!」


青い鎧の男は急に意識を失った男に動揺し、魔剣に纏わせた氷も消えていた。


(幻覚の魔法。それもとてつもなく高度なやつなの。流石は伝説の悪魔族なの。)


赤い鎧の男は、虚ろな目をし、ヨダレを垂らしながら笑みを浮かべていた。


「青い人。あなたの相手は私なの。」


青い鎧の男は、赤い鎧の男を寝かせ、私を睨み付けた。


「トールに何をした!」


「クフフ!その人には精神空間で楽しく遊んでもらっているよ。」


「クソ!」


青い鎧の男はアナトに向けて、巨大な氷の杭を撃ち込んだ。


「クフフフフフフ!」


アナトは拳を作り、杭に真正面からパンチを打った。


[バガン!]


轟音と共に氷が割れ、周囲に細かい氷の欠片が降り注ぎ光を反射してキラキラ光った。


「そ、そんな…」


「クフフ!この程度じゃ私の体に傷1つつけられないよ?」


男は絶望を顔に浮かべた。


「アナト、ここは私に任せるの。」


「クフフ!わかったよ。後は任せるね。」


そう言うとアナトの体が霞み、消えた。


(空間転移の魔法?無詠唱で使える人初めて見たの。)


私は男に近付いた。


「パラサイトツリーって聞いた事あるの?」


「き、危険度特SSS級の植物の魔物だろ?」


パラサイトツリーは非常に危険なダンジョンの奥深くに自生する植物の魔物で、花粉を使って周囲の魔物の体内に侵入し、脳と神経を支配し、自らの元に連れてきて養分とする習性を持ち、更に恐ろしい事に、パラサイトツリーの花粉は魔物から他の動植物に伝染する事だ。もし地上で発見されたら、たった 1株で1国すら滅ぼせる危険な魔物だ。


「私の体は、あらゆる植物や植物型の魔物を取り込んだお陰で、その特徴を好きなように発現させてコントロール出来るの。当然パラサイトツリーも。」


私は男にゆっくりと近付いた。


「く、来るな!」


男は剣を構えようとしたが、手が痺れて上手く持てていなかった。


「な、なんで手が?!」


「フフフ。」


私は男に少しずつ麻痺効果のある花の花粉を送っていた。

男は近付く私に抵抗出来ずにいた。

私は抵抗出来ない男の顔に手をあて、


「や、止め、ンム!」


「ん。ちゅ。ふー。む。」


キスをし、口の中に花粉を吹き込んだ。

私の体内で調整され、私の命令した相手にのみ感染するようになっている花粉は、男の体内に侵入すると、あらゆる粘膜に着床し、根を伸ばし始め、脊髄に侵入し根は脊髄を伝って脳へと侵入、男の脳を支配した。


「ぷはー。どうだったの?美味しかったの?」


「は、あぁ。が。」


男は白目を剥き、ピクピクと痙攣していた。


「えげつない事するね。」


いつの間にか戻ってきていたアナトが言った。


「SSS級の冒険者は甘くないの。アナトこそ、どんな幻覚かはわからないけど、あの男下手すれば発狂しちゃうの。」


「大丈夫だよ♪ちゃんと直すから。シャルこそ、あの花粉私達には効かないよね?」


「もちろんなの。植物は私の体の一部なの。完璧にコントロール出来るの。」


「クフフ!それじゃあ他の人のを見ていようか。」


私達は近くにあった豪華な椅子に座り見物を始めた。



●レン・フーバー TACネーム:クロア



優香さん達を始めとする主力陣が騎士達とフランちゃんのお姉さん達と戦闘を開始し、私達も元冒険者の2人と戦闘を始めた。

近接戦闘が得意なメンバーが前進し、ゴム弾や麻酔弾、スタン弾を装填した銃や得物を構えた。


「あなた達には悪いけど、私達も死にたくないし、全力で制圧させてもらうよ。」


先頭のランとリンが互いに巧みに連携しながら赤髪の姉妹に襲い掛かった。

赤髪の姉妹も、互いに息の合った連携で、互いに有効な攻撃を決められていなかった。

4人が戦闘をしている間、私や他のメンバーは正確にゴム弾を当てるタイミングを見計らっていた。


「うー。ランもリンもあの姉妹もグルグル動き回って!ランとリンは作戦をわかっているの?すごい楽しそうだけど?」


私の隣で同じくチャンスを狙っているメヌがボヤいた。


「だ、大丈夫ですよ……たぶん。」


私は愛用のAX-338のスコープから目を離さずに言った。


「だと良いんだけど。」


私のスコープから見える2人は、明らかに戦いがいのある相手と戦える事を楽しんでいるようで、とても良い笑顔をしていた。


「ちょっと!ティア[ラン]!エドガー[リン]!作戦わかってる?こっちの準備は出来てるわよ!」


焦れてきた近くにいたジャンヌさんが2人に無線で釘をさした。


《わ、わかってるって。大丈夫大丈夫。》


《そ、そうそう!忘れてなんていないよ!》


2人は頷きあうと、一気に近付き、無理矢理唾競り合いに持ち込み、4人の動きが止まった。


[プ]


そのチャンスを逃さず、引き金を引いた。

私達のライフルから発射されたスタン弾は、ランとリンに当たらないギリギリの所を通り、姉妹に命中した。

体にスタン弾が触れた瞬間、粘着性の高い導電性の物質で作られた新型の弾頭が姉妹の体に張り付き、高圧電流を流した。


「「あああ!」」


姉妹の悲鳴がし、痙攣しながら崩れ落ちた。


「良し!今よ!首輪を切って!」


《ねえ!これ触って大丈夫?!すごい電気が流れてるよ?!》


《ビリビリだよ?!》


「もう電流は流れてないからさっさと切っちゃいなさい!」


《《り、了解。》》


2人は恐る恐る姉妹に触れ、電流が流れないか確かめてから高周波ナイフで首輪を切断した。


《《切ったよー。》》


「それじゃあ、姉妹をこっちに連れてきて。」


《《はーい。》》


2人は姉妹を担いで私達の所に戻ってきた。



●七海優香 TACネーム:フェアリー



無線で他の6人の制圧が完了したのは聞いたが、私と有希は背中合わせに戦い続けていた。


「ちぃ!この剣すごいわね!」


少女の持つ黒い剣は高周波モードの草薙と打ち合っても全く壊れる様子はなかった。


「本当は傷付けたくなかったけど、許してね!」


私は少女の右腕目掛けて右腕だけで剣を振りあげた。


[キィン!]


少女は私の剣を受け止めた。


「ごめんね。」


私は空いていた左手で左足のホルスターからP320を抜き、少女の右腕に押し当て、引き金を引いた。


[パン!パン!パン!パン!パン!]


発射された9mm弾は、少女の右腕を引きちぎり、剣を握っていた右手が落下した。

私は落下して行く剣の腹を、思いきり蹴り飛ばした。


[ザン!]


剣は少女と反対の壁に突き刺さった。


「撃て!」


チャンスを狙っていたスナイパーが、フルチャージのレールガンを同時に発射した。


[ズゴォン!]


レールガンの弾体が剣を砕き、貫通した弾が壁も破壊し、壁が崩れる轟音と共に少女が痙攣を始め意識を失った。


「ふぅ。手強い相手だったわね。さて、後はあんただけね。どうする?」


「ふん!1人も殺せんとは。まあ良い私が直々に[バン!]な?!」


なんか語り始めた男を無視して、私は男の剣を狙撃して、男の腰から剣が弾き飛ばされた。


[ズゴォン!]


床に落ちた剣に対して待っていましたとばかりにスナイパー達が狙撃を行い、男の剣を破壊した。


「うわぁ。」


いとも容易く行われたえげつない行為にセシリアが引きぎみに声をあげた。


「き、貴様!なんて事を!!私のスレイブルが!」


「ここは戦場よ?相手の武器、特に秘密兵器は使われないにこした事はないし、敵を前に演説を始めるなんて最大の攻撃のチャンスを逃す訳がない。バカじゃないの?」


「く、クソォォォ!」


男は懐からナイフを取りだし、私に向かって投げた。

私はオーバードライブを起動し、飛んできたナイフの柄を掴んだ。


「なに?!」


「返すよ。」


私は男の足目掛けてナイフを投擲し、ナイフは吸い込まれるように男の脛に突き刺さり、脛の反対側からナイフの先端が飛び出ていた。


「グ、ガァァァァァ!」


男は激痛に大声をあげてわめいた。


「あなたには色々と聞きたい事がある。だから、暫く眠ってな。」


私は男の首にスタン弾を撃ち込んだ。


「ギャァァァァ………」


男は脛の激痛と高圧電流の激痛を受け、意識を手放した。


「私達を捕まえた奴をあんなにあっさり……。彼女がフランの恩人?」


「うん!優香、っていうの。」


「なんと言うか、容赦ないですね。」


「あ、アハハ。まあ作戦中は違う所にスイッチが入っているからね。」


フランやシェスカ達が話している声が聞こえてきたが、無視してAWACSに報告を始めた。


「サンダーヘッド。こちらフェアリー。城を制圧。負傷者と奴隷がいる。後送を頼む。」


《了解。直ぐ向かわせる。》


私はAWACSにヘリを要請し、全員を連れて中庭に向かった。

正直敵が可哀想になってきました。

まあただでさえ化け物みたいな人物が科学の力をフルに使ってきたら剣じゃあ対抗できないですよね。


今回の迷言です。今回は旧日本軍の化け物軍人、舩坂弘の言葉です。


舩坂「生まれつき傷が治りやすい体質であったことに助けられたようだ」


瀕死の重傷を何度も負っても、翌日には立ち上がれるまでに回復し、喉を米兵に撃たれて軍医に死亡が確認された3日後に蘇生した男の言葉です。説得力が違いますね。興味があったら調べてみてはいかがでしょうか。


次回は城塞都市に侵攻した他の部隊の話しです。もう少しで第2章も終わりです。これからもよろしくお願いします。


ご意見ご感想をお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ