第2章14 Operation Dragon Slayers Part.4
今回はマイナーな特殊部隊が出ているので、どこの国のものか紹介します。詳しい解説は2章終了後にまとめを出しますのでお待ち下さい。
FSKp17=スイス空軍第17特殊空挺中隊
CIASAD=アメリカ中央情報局特殊活動部
Vympel=ロシア連邦保安庁特殊部隊
SASR=オーストラリア陸軍SAS連隊
SayeretMatkal=イスラエル国防軍特殊部隊
GCMC=フランス海軍近接戦闘群または人質救出・対テロリズム部隊
[9月10日 10:00時]
〈ルイース大陸東部 レイシス帝国港湾都市モラーク近海 フェンリル海軍第2艦隊 旗艦 空母"エンタープライズ"〉
フェンリル海軍第2艦隊司令 リリア・ハミルトン
エンタープライズの会議室では艦隊ネットワークを利用した各艦の艦長、副長、航空隊、戦闘部隊の指揮官を集めた会議が行われていた。
「うーん。UAVの映像からだけでは軍用の区画と民間人の居住区がわかりづらいですね。それに凄い人盛りね。日中にこの街の道で銃を撃ったら100%流れ弾で民間人に犠牲者が出ますね。」
私はUAVが撮影した映像を眺めながら言った。
《夜戦を仕掛けるのはどうですか?この世界では暗くなったら民間人は家にこもるそうですから、先制攻撃を仕掛けた際の民間人の被害は抑えられるはずです。》
イージス艦の艦長の一人が発案したが、
《だが民間の区画と軍用の区画をはっきり分けないと正確な攻撃を行えんぞ。民間人諸共吹き飛ばすなら話しは別だが、そんな事したらフェアリーに殺されるぞ。》
上陸部隊を載せている揚陸艦の艦長が反論した。
《待ってくれ。はっきり民間の区画と軍用の区画がわかれば良いんだろう?だったら先行偵察として俺達を何人か上陸させたり、UAVからIRストロボマーカーを投下して目標をはっきりさせれば良いんじゃないか?》
CIASAD第2中隊の隊長が言った。
「それが可能なら悪くないですね。」
《何、まともに防諜も出来ないような相手だ。俺達には楽勝だろう。》
その声には自信がみなぎっていた。
「わかりました。それではあなたの隊を送り込む事にしましょう。でも、出撃は作戦をまとめてからですよ。」
《了解だ。》
作戦会議が進み、先にSADを潜入させ、調査や工作が終わった後に航空隊と艦隊からの先制攻撃を仕掛け、上陸部隊を送る事になった。
[23:20時]
〈レイシス帝国港湾都市モラーク近海 フェンリル海軍第2艦隊遠征打撃群 アメリカ級強襲揚陸艦"アメリカ"〉
CIASAD第2中隊『ラット隊』中隊長 デイビッド・クラーク TACネーム:ソリッド
「全員準備は良いか?」
俺は仲間達に振り返って言った。
「「「「準備良し!」」」」
仲間達からの返事を受け、頷きながら続けた。
「これから俺達はレイシス帝国の港湾都市モラークに潜入し、味方の攻撃を支援する為の偵察、工作活動を開始する。
第1目標は港湾都市モラークを囲む壁の3つの門だ。これにC4を設置しろ。ジョナサン、お前がやれ。
第2目標は民間人の居住区と軍用の区画を精査する事だ。データはミニマップに載せてビッグEに送れ。ジョニー、お前の仕事だ。
第3目標は都市内部における奴隷の調査だ。存在と扱いを調べるだけで良い。不用意な接触は可能な限り避けろ。ただ、命に関わる事態においては戦闘を許可する。だが静かに殺れ。犯罪奴隷以外はすべて救出対象だ。傷付けるな。メリル、頼んだぞ。
第4目標は敵艦、敵施設にマーカーを設置する事だ。兵舎、武器庫、司令部、訓練場、すべてにマーカーを設置しろ。不可能な場合は位置をビッグEに送れ。UAVがマークしてくれる。エド、お前がやれ。
第5目標は敵指揮官の暗殺と誘拐だ。敵指揮官を消す事で敵指揮系統を混乱させる。これは俺がやる。
以上が俺達の目標だ。質問は?
………ないな。それじゃあ行くぞ。ゾディアックに乗れ。」
4人がゾディアックに乗り、俺も最後に乗り込み、舵を取り、エンジンを始動した。
[ヴィィィィィン]
軽快なエンジン音と共に高速で水面を滑り出した。
俺達は敵から視認される可能性を下げる為、ゾディアックの中で寝そべっていた。
[9月11日 00:10時]
〈レイシス帝国港湾都市モラーク南部〉
砂浜に上陸し、ゾディアックを隠した後、ステルスを起動し、街に向けて歩き出した。
「ソリッド。街が見えて来たわ。」
先頭を歩いていたメリルが報告した。
「良し。全員散開しろ。各自自分の目標を遂行しろ。」
「「「「了解。」」」」
全員がそれぞれ定められた潜入ポイントに向かった。
俺も周囲を警戒しながら街に接近した。
[00:30時]
〈レイシス帝国港湾都市モラーク防壁外周〉
「ここだな。」
暫く歩き、ミニマップに表示されていた侵入ポイントについた。
フックを使えば簡単に登れるが上に敵がいた場合の対処が遅れるのでグローブを吸着モードに変更し壁を登り始めた。
高さ10m程の壁を登りきり、Mk.23を抜き、周囲を警戒しながら慎重に壁の上に登った。
壁の上には見張りがいたが居眠りをしていたので始末して目標の建物を双眼鏡で探した。
街の西、港の近くに衛兵と思われる騎士達がうろついている建物を見つけ、ミニマップに位置をマークし、Mk.23をホルスターに戻し、移動を開始した。
[トッ]
壁から飛び降り、街の中に侵入した。
この世界の夜は非常に静かで暗い為物音を立てないように慎重にすすんだ。
暫くするとフェンスで覆われたマークした建物を見つけた。
門のところでは警備が2人ワインを飲んでいた。
俺はMk.23を抜いて横からそっと近寄り、1人を拘束し、もう1人に素早く銃を向け、
[ププ]
引き金を2回引いた。小さな駆動音と共に発射された45.ACP弾は狙い通りに飛び、もう1人の命を刈り取った。
「んー!んー!」
拘束されていた男は仲間が殺されるのを見て何か呻いていた。
「静かにしろ。お友達の後を追いたくないなら質問に答えろ。わかったら頷け。」
俺は銃を男の頭に押し付けながら言った。
男がゆっくりと頷いた。
「良し。ゆっくり、小さな声で喋れ。」
首を拘束しながら口を押さえていた手を動かした。
「はー!お、お願いだ。い、命だけは!」
「だったら質問に答えろ。街の領主とここの部隊の指揮官はどこだ?」
「りょ、領主様は領主館の自室にいるとおもうが詳しくは知らない!指揮官殿達はこの建物の最上階の寝室にいる!ま、真ん中の一番デカイ部屋が総指揮官殿で回りが小隊長や副官の部屋だ!こ、これで良いだろう?!」
「まだだ。奴隷達はどこにいる?犯罪奴隷以外の奴等だ。」
「ぐ、軍が性奴隷として拐って来た奴等はこの司令部の横の掘っ建て小屋の中にいる!後は領主が個人的に持っている奴等とかで詳しくは知らない!」
「そうか。お陰で助かった。」
「な、なら!」
「そうだ、1つ言い忘れていた。命は助けると言ったな?あれは嘘だ。」
「え?」
[ザシュ!]
ナイフを首に突き刺し、哀れな門番を始末し、死体をフェンスの横の生け垣に隠した後、男達の飲んでいたワインを血痕の上にぶっかけ、音がしないように瓶を割り、破片を周囲にまいた。
偽装を終えると俺はフェンスに向き直り、軽く助走をし、スーツのアシストを利用してフェンスを飛び越えた。
「ソリッド敵指揮施設に潜入。ドック[メリル]、軍の奴隷は指揮施設の横の掘っ建て小屋の中だ。」
《了解。データをビッグEに送るわ。》
メリルに連絡を入れた後、グローブを吸着モードにして壁に張り付き、壁を登り屋根の上に登った。
マグネティックを起動し最上階の人間が全員眠っているのを確認し、屋根にミュートチャージを設置した。
[ウィーン]
周囲の音が消えたのを確認し、屋上に爆薬を設置し、少し離れて起爆した。
ミュートチャージの効果で音もなく空いた穴から中に入った。
[ヒュー]
音が戻り、男を見るとまだぐっすりと眠っていた。
俺は近くにあったクッションを取り、男の顔に押さえ付け、クッションの上からMk.23を押し付け引き金を3回引いた。
[プププ]
男が死んだのを確認し他の連中も同じ目に合わせ、総指揮官を誘拐する為に部屋を出た。
[02:30時]
〈レイシス帝国港湾都市モラーク近海 フェンリル海軍第2艦隊 旗艦 エンタープライズ TFCC〉
フェンリル海軍第2艦隊司令 リリア・ハミルトン
SADから続々と情報が届き、上陸作戦に必要な情報が全て揃い、T-95、M1A2、と言った戦車と歩兵部隊を載せたLCAC、LAV-25、AAV-7と言った水陸両用車両、第160特殊作戦航空連隊のMH-60MやMH-6、MH-72、AAS-72、AH-6などの各種ヘリ、海兵隊のAH-1Z、エンタープライズ、バザード、しょうかくの各空母から海軍航空隊の戦闘機が続々と艦隊を発進して行った。
「各艦、対潜警戒を厳となせ。未確認情報とは言え敵艦隊には潜水艦、あるいはそれに準ずる艦船がある可能性がある充分に警戒しろ。」
私はTFCCのモニター越しに見える味方の無事を祈った。
[02:00時]
〈レイシス帝国港湾都市モラーク 帝国軍指揮施設〉
CIASAD第2中隊中隊長 デイビッド・クラーク TACネーム:ソリッド
必要な仕事を終えた俺達は、メリルが見つけた奴隷達を保護する為に奴隷の集まっている場所に向かった。
麻酔で眠っている総指揮官を背負ったまま指揮施設の横の掘っ建て小屋の近くに行くと、こんな夜中だと言うのに男のイラついた声とまだ小さな子供の声がした。
俺は非常に嫌な予感がし、総指揮官を生け垣に隠し、掘っ建て小屋まで早足に移動し、中を覗くと、屈強な男が裸の蛇人族の少女2人に詰めよっていた。他の奴隷達は怯えながら、あるいは攻撃的な目を向けながら奥の方に集まっていた。
「ち、近寄らないで!この変態!」
「蛇人族の力もこうなっては形無しだな。凄い効果だろう?その鎖はっ!」
明らかな緊急事態に俺は素早く下半身を露出させた男に近寄り、男の首を掴んで地面に引き倒し、頭を地面に押さえ付け、喉にナイフを突き付けた。
「な、何者「黙れ。」」
男を脅して黙らせ、少女達に声をかけた。
「大丈夫か?」
少女達は突然現れた俺に困惑しているようだった。
「え、ええ。あの、助けてくれてありがとう。」
「ありがとうございます。」
「気にする必要はない。これも任務の内だ。」
「任務?」
「ああ。直にフェンリル軍の上陸部隊がこの街に上陸作戦を開始する。俺達は作戦開始前に君達を保護する為に派遣された特殊部隊だ。」
「保護?!」
「家に帰れるの?」
俺の言葉に奴隷達の間に喜びの声が上がった。
「…………助けてもらっておいてなんだけど、私はあなたの言う事を、はいそうですか、と信用する事が出来ないわ。」
蛇人族の少女[恐らく姉の方]が言った。
「では、俺は信用される為に何をすれば良いのかな?」
「この首輪を外してくれないかしら?外し方はその男が知っていると思うわ。」
「ふむ。おい。外し方を言え。」
俺は男に言った。
「だ、誰が、[ガッ ザシュ]んー!」
男が答えないとわかった瞬間、俺は男の口を塞ぎ、右手の親指を切り落とした。
「後9本耐えてみるか?それとも先にお前の貧相な物を切り落としてやろうか?」
男の股間にナイフを近付けた。
「か、鍵が指揮所のどこかにあるはずだ!それ以外には無理矢理外すしかないが魔剣でもないと切れないぞ!」
男は顔を地面に押さえ付けられたまま呻きながら言った。
「お陰で助かった。後は寝てろ。」
「は?ッガ!……ック!……ウゥ。」
男の首を絞め、気絶させた。
「魔剣で切れるならこいつでもいけるだろ。君、首輪を外すから後ろを向いてくれ。」
「え?でもそんな小さなナイフで?」
少女がいぶかしみながらも後ろを向いた。
「触るぞ。」
俺はグローブを外し、そっと髪を動かし、首輪の下にナイフを入れて高周波モードを起動した。
[スッ]
首輪はなんの抵抗も無く切断され、ポトリと地面に落ちた。
「え?!あんな小さなナイフで?!」
少女が驚愕の声をあげた。
「これで良いか?それとも先に全員分ここで外すか?」
俺がそう言うと、
「お姉ちゃん。信用して良いと思うよ。」
「エリー。」
「この人、良い目をしてる。信用出来る、と思う。」
「そう。わかったわ。おじさん、私はあなたを信用します。私はアリー・パイソン、これでもA級の冒険者よ。こっちは妹のエリー。」
「よろしく。」
姉妹が自己紹介をした。
「俺も自己紹介したいのはやまやまだが時間がない。ついて来てくれ。それと、俺はまだ24だ。おじさんはやめてくれ。」
俺は総指揮官を背負いながら奴隷達を連れてヘリが着陸出来る港へと歩き出した。
港に向かい始めて10分ほどしたとき、
「!」
何者かの気配と殺気を感じ、総指揮官を地面に下ろし、愛用のM4A1を構えた。
アリーとエリーの2人も殺気を感じとり、臨戦態勢に入っていた。
「ど、どうしたんですか?」
「何かがいる。」
「え?」
「あなた達は下がって!」
その時、血のように真っ赤な剣を持った少女が建物の影から出てきた。
「ああ…ダメ。これ以上…私に人殺しをさせないで。もう嫌…痛いのも、悲鳴を聞くのも……止まって…」
「何だ?!」
少女はそう言うと俺の方に飛び出してきた。
「く!」
少女が降り下ろした剣を辛うじて避け、銃を向け引き金を引いた。
[プププププ]
弾は少女の剣と肩、腹に命中したが、
[ジュゥゥ]
という音と共に傷が塞がった。
「何だと?!」
「いやぁぁ!もう痛いのは嫌なのぉ!」
「あれは!お兄さん!彼女を傷付けても無駄よ!剣を狙って!」
アリーが俺に叫んだ。
「何か知ってるのか?!」
「彼女が持っているのは呪いの魔剣。持ち主の意志に関係なく、手にした者の精神が完全に壊れるまで持ち主を操り、周囲の生物を破壊し続ける呪いの剣よ。噂が本当だったなんて。」
「噂?」
「レイシス帝国では強力な魔剣使いを増やす為に呪いの剣に手を出してるって噂よ。対象者は適応率の高い少女だって話しよ。」
「どうすればいい。知ってる事を言ってくれ!」
「剣が呪いの大元よ!剣を破壊すれば、呪いの効果も消えるはず!」
「ウワァァァ!」
少女の傷が治り、ふたたび俺に向かってきた。
「良い反応だ!」
横凪ぎに振られた剣を避け、さっき少女の剣が当たった地面を見ると、赤い液体が付着し、石畳の地面を溶かしていた。
「なんて恐ろしい物持っているんだ。だが、剣が元凶なら話しは早い。かなり痛いが、許してくれよ!」
「ぁぁぁ…うあぁぁ!」
少女の突きをステップで回避し、手首を掴み、勢いを利用して背負い投げをし、地面に背中から叩き付け、体重と衝撃を利用して肩を外した。
「痛いぃぃ!」
「アリー、エリー!今だ!体を押さえ付けろ!」
「わかったわ!」
「うん!」
2人が蛇の体を使い、少女を拘束した。
「く!凄い力!ねえ!ここからどうするの?!あまり長くは持たないわよ!」
「直ぐに終わる!」
少女の右手を地面に無理矢理押さえ付け、高周波モードにしたナイフを剣に突き立て、一閃した。
[シュイン]
金属同士の擦れる音と共に、魔剣が半ばから切断された。
「あああぁぁぁぁ!ああぁあぁぁぁぁ……………」
魔剣が切断された瞬間、少女は背骨が折れるのではないかと思うほど体を仰け反らせ、意識を失い、剣の残骸が手からこぼれ落ちた。
俺は剣の残骸に近付き、ナイフで完全に破壊した。
剣を壊した後、ナイフを見ると、刃が溶け、完全に使えなくなっていた。
「ミスリルやオリハルコンの合金でできたナイフをこんな風にしちまうとは。」
俺はナイフをホルスターではなく、4次元ポーチに放り込んだ。次に少女に近付き、首に人差し指をあて、脈を調べた。大分弱っているが、少女の心臓は時を刻み続けていた。
「大丈夫?」
アリーとエリーが心配そうに見ていた。
「ああ。死んではいない。アリー、彼女を運んでくれ。今の戦闘で周囲の注意を引いた直ぐに移動する。」
「ええ。わかったわ。後で色々と話しを聞かせてよ?」
「わかった。それじゃあ全員ついてきてくれ。」
俺はふたたび総指揮官を背負い、LZに向かった。
[03:00時]
〈レイシス帝国港湾都市モラーク近海 MH-60M〉
フェンリル空軍第17特殊空挺中隊[FSKp17]中隊長 エリック・マグマトフ TACネーム:ユング
《こちらビッグE、リリア・ハミルトン大将よ。全部隊、ストーム、繰り返す。ストーム。》
指揮官からの作戦開始の符丁が無線に流れた。
《アークライト・アクチュアル[第5機甲師団第1戦車大隊 M1A2]ストーム。コピー。》
《ムーンライト・アクチュアル[第5機甲師団第2戦車大隊 T-95]ストーム、了解。》
《こちらAWACSヘビークラウド。ストーム了解。》
《アバランチ・リード、ストーム了解。》
《ライトニング・リード[エンタープライズ航空隊 第122戦闘飛行隊 F-35C]ストーム了解。》
《クイーンビー・リード[エンタープライズ航空隊 第137攻撃飛行隊 F/A-18F、F/A-18E]ストーム了解。》
《ジョーカー・リード[エンタープライズ航空隊 第231攻撃飛行隊 F-22C、FB-22C]ストーム了解。》
《スカーフェイス・リード[バザード航空隊 特殊作戦航空団 第18戦術飛行隊 F-22C、FB-22C]ストーム了解。》
《ワイバーン・リード[バザード航空隊 第24戦闘飛行隊 ラファールM]ストーム。》
《モホーク・リード[バザード航空隊 第339攻撃飛行隊 AV-8B]ストーム了解。》
《バスター・リード[バザード航空隊 第147攻撃飛行隊 F-35C]ストーム了解。》
《コクーン・リード[ほうしょう航空隊 特殊作戦航空団 ラファールM]ストーム了解。》
《ケルト・リード[ほうしょう航空隊 第146戦闘飛行隊 F-3C]ストーム了解。》
《ハーディー・リード[ほうしょう航空隊 第347攻撃飛行隊 F-2C]ストーム了解。》
《ゴールデンイーグル・リード[ほうしょう航空隊 第168戦闘飛行隊 F/A-4B、F/A-4C]ストーム了解。》
《こちら海兵隊第1遠征旅団。ストーム了解。》
《レッドスネーク・リード[海兵隊第21飛行隊 AH-1Z]ストーム了解。》
《ホーネット・リード[陸軍第14飛行隊 AH-64E]ストーム了解。》
《スター・リード[第160特殊作戦航空連隊]ストーム了解。》
「グレッグ・アクチュアル[FSKp17]ストーム了解。」
《カチューシャ・アクチュアル[Vympel 第1大隊第2中隊]ストーム了解。》
《デザート・アクチュアル[SASR第2大隊第3中隊]ストーム了解。》
《パック・アクチュアル[SayeretMatkal 第3戦闘班]ストーム了解。》
《ヨーク・アクチュアル[GCMC 第1小隊]ストーム了解。》
全部隊の指揮官が復唱し、いよいよ作戦が開始された。
《こちらヘビークラウド。以降私が作戦の指揮管制を行います。》
第2艦隊担当のAWACS管制官のエリス・ハナムの声が無線に響いた。
《敵軍事施設に先制攻撃を仕掛けます。各航空隊は所定の目標への攻撃を開始して下さい。》
《《《《《《《《了解。》》》》》》》》
侵攻するヘリとLCACの上空を大量の戦闘機が通過して行った。
[ズドォォン!]
戦闘機隊が爆撃した爆音が響いた。
《全航空隊の目標の破壊を確認しました。上陸作戦開始!》
ヘリがスピードを上げ高度を下げた。
《ユング!後2分で降下地点だ!民間人は撃つなよ!帝国軍だけを撃て!》
機長が俺に言った。
「わかってるよ!そっちこそ、民間人の上に落ちるんじゃねえぞ!」
《ぬかせ!落ちるかよ!》
視線をヘリの外に向けると、空は大量のヘリが埋めつくし、海上もLCACや装甲車で埋め尽くされていた。
《ヘビークラウド、オーケストラをやっても良いか?》
《……意図を説明してください。》
《大量のヘリがワーグナーを大音量で流しながら飛んでくるんだ。相手はかなりビビると思うぞ?》
《…………わかりました。許可します。》
《感謝する!良し!全員スピーカーにディスクをいれろ!》
すると編隊飛行中のヘリからワルキューレの騎行が流れ始めた。
「ジム!キルゴア中佐の霊にでも憑かれたか?」
《ハハハ!かもしれんな!》
爆撃で破壊された帝国艦隊の上を飛び越え、領主館の近くの空き地の上でヘリの機首が持ち上がり、ヘリがホバリングした。
《降下地点だ!ゴー!ゴー!ゴー!》
「降下開始!」
ヘリからロープを蹴り落とし、降下を開始した。
「降下完了!」
《了解!俺達はラット隊の保護した奴隷を救出してくる。領主のクソッタレに人道ってやつを叩き込んでやれ!》
ヘリがロープを切り離し、離脱した。
「グレッグ隊移動する。領主館を確保する。」
愛用のSG553を構え、隊員達と移動を開始した。
『こちらはフェンリル軍だ!戦闘の意思のない者は武器を捨て両手を上げるか家の中に籠っていろ!武器を手にし、攻撃の意思ありと見なした者は容赦無く攻撃する!降伏した者、民間人の命の安全は保障する!』
上空のヘリがワルキューレの騎行を流しながら民間人や軍人達に絶えず呼び掛けを行っていた。
「敵騎士接近。」
「始末しろ。」
[バババン!バン!ババン!ババババン!]
俺達の持つSIGから連続して発射された5.56mm弾が領主館から飛び出して来た騎士達に浴びせられ命を刈り取った。
「グレッグ目標に侵入。領主を確保する。」
《了解。第1遠征旅団と戦車隊が上陸を完了。街の制圧中です。》
「了解。」
ヘビークラウドに状況を報告し領主館への突入を開始した。
「シグ、MH-72から狙撃支援をしろ。」
「了解。」
シグが無線で呼び掛けるとスター隊のMH-72が飛来し、シグが飛び乗った。
「良し。突入するぞ。」
領主館の扉に張り付き、ヘルメットを、コンコン、と2回叩いて合図すると、仲間が背中の背嚢からフレーム爆薬を取り出し、扉に設置した。
信管を起動し、扉から少し離れると、
[ズバァン!]
爆発と共に木製の扉が吹き飛び、一気に突入した。
突入と同時にオーバードライブを起動し、視界がスローモーションになった。
「て き し ゅ う だ ぁ!」
敵がそう叫ぶのを聞きながら、叫んだ男と近くの騎士達に、
[ババババババババン!]
フルオートで銃弾を浴びせた。
「クリア!」
オーバードライブの効果を切り、制圧した事を伝えた。
「クリア!」
「クリア!」
「クリア!」
「クリア!」
「オールクリア!エントランス確保!」
隊員達からも制圧した事が伝えられ、玄関を確保した。
何人かメイドが部屋を出て来たが、
「動くな!」
隊員の1人が銃を向けながら簡単なボディチェックをし、
「良し。
良いですか。ここは危険です。部屋に戻って大人しくしていて下さい。」
「は、はいぃ!」
突然館を襲って来た黒いバラクラバとゴーグルで顔を隠した隊員にそう言われたメイドは、号泣しながら部屋に戻って行った。
「良し。進むぞ。マグネティックオン。伏兵と非戦闘員に注意しろ。チーム1は3階、チーム2は2階、チーム3は1階の掃討だ。」
「「「「「ラジャー。」」」」」
俺はチーム1を率いて館の3階に上がった。
「シグ。HVIの位置はわかるか?」
《3階中央の部屋で大慌てでカバンに荷物を詰め込んでいるデブがいます。》
「恐らくそいつだ。監視して動きがあったら報告しろ。」
《了解。》
階段を上りきる前に、ナインバンガーを3階の廊下に投擲した。
[バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!]
爆発が終わると同時に階段を上りきり、強烈な閃光と爆音で見当識を失っている騎士達が廊下の角で踞っていた。
[バン!バババン!]
騎士達を始末し、マグネティックで透過された部屋を確認し、剣を持った人間がいる場合は扉越しに銃撃をして始末しながらHVIのいる部屋に向かった。
《ユング。HVIが部屋を出ようとしています。部屋に隠し通路があるようです。》
部屋まで後6m程の所でシグが報告してきた。
「阻止しろ。方法は任せる。殺すなよ。」
《了解。》
[ターン!タタタタターン!]
遠くから複数の銃声が響き、
「ヒィィィィィ!」
という間抜けな叫びが聞こえた。
部屋に到着し、
[バーン!]
扉を蹴破って突入した。
中に入ると、片耳を吹き飛ばされたデブが地面に倒れていて、その身体の近くの床には複数の弾痕が残っていた。
隠し扉と反対側の窓を見ると、MH-72のスキッドの上で狙撃用にカスタマイズされたSG550を構えたシグと目があった。
「良くやった。」
俺がそう言うと、シグは右手の親指を上げてグッと突きだし、ヘリのパイロットに何か言うとヘリが上空に飛行していった。
「さてと。おい!お前が領主か?」
俺は床で呻くデブを硬い軍用ブーツで蹴飛ばしながら詰め寄った。
「ヒィ!こ、殺さないでくれ!か、金ならやるから頼む!」
デブは映画の小悪党そのままの台詞をはきながら俺に宝石の入ったカバンを差し出した。
俺はカバンをつかみ、窓から外に放り投げた。
「買収出来ると思わない事だ。それより質問に答えろ。お前が領主だな?」
「あ、ああ!私が領主のノーク・ビルガンだ!」
「ヘビークラウド、グレッグ・アクチュアルだ。HVIを確保。繰り返す。HVIを確保。上陸部隊とのAssyに向かう。誘導を頼む。」
俺がそう言うと隊員の1人が手早く領主に麻酔を嗅がせ眠らせた。
《了解。既に街の80%の制圧は完了しています。領主館から南に3ブロック、東に5ブロック行った所にムーンライト3が展開しています。連絡はこちらで行います。》
「了解。移動する。チーム2、チーム3、状況報告。」
《チーム2。2階を制圧。》
《チーム3。1階を制圧。軽傷者1。》
「了解。これよりエントランスに集結し、ムーンライト3と合流する。」
《《了解。》》
領主を隊員に任せ、階段を下りて他の小隊と合流した。
「Assyに向かうぞ。既に街の80%は制圧済みだが油断するな。」
油断無く銃を構えながら館を出て街を歩いた。
空はまだ暗かったが炎上する敵艦の火や銃の光が街を照らしていた。
「見えたぞ。味方の戦車だ。」
俺達は敵と遭遇する事も無くAssyに到着した。
「グレッグ隊だな!?ヘビークラウドから連絡を受けている!後ろのトラックに乗れ!簡易ヘリポートまで行ってくれる!」
T-95の銃座についている隊員が銃声に負けないように叫んだ。
「わかった!感謝する!」
「気を付けろよ!魔術師の中にはRPGみたいな攻撃してくるやつもいるからな!」
「そっちこそ!死ぬなよ!」
「ああ!ムーンライト3前進!」
俺達は戦車隊の防御円陣の後ろで待機していたトラックに乗り込み、無事戦域を離脱出来た。
[05:00時]
〈レイシス帝国港湾都市モラーク近海 フェンリル海軍第2艦隊 エンタープライズ空母戦闘群 ズムウォルト級ミサイル駆逐艦 マイケル・モンスーア SMI〉
フェンリル海軍第2艦隊 エンタープライズ空母戦闘群 ズムウォルト級ミサイル駆逐艦 マイケル・モンスーア艦長 サラ・ノリントン
「上陸部隊が街を確保!作戦成功です!」
作戦成功の知らせにSMIの中も歓声が上がったが、私は腑に落ちなかった。
「どうしたの、サラ?」
この艦の艦魂のスーアが私の顔を覗き込みながら質問した。
「敵の潜水艦を目撃した報告がないのよ。」
「いないんじゃないですか?未確認情報だったそうですし。」
「だったら良いんだけど。ソナー員、周囲に異常は?」
「特に変わった事は、いえ、待って下さい。」
ソナー員の焦った声がし、SMIに一瞬で緊張が走った。
「どうしたの?」
「海流の音に交じって極僅かに変なノイズが。ピンガーを打ちます。」
ソナー員がアクティブソナーを打った。
「な!敵潜!方位015!深度30!距離5マイル!」
「近い!通信員!ビッグEに報告!ソナー員!なぜここまで気付けなかった?!」
「海域のデータの不足と恐らく魔術による推進で殆ど無音に近いため発見が遅れました!」
「ええい!貴様等の訓練不足よ!対潜戦闘よーい!」
「対潜戦闘よーい!ASROC発射用意良し!Mk.52短魚雷用意良し!」
「ビッグEから攻撃の許可が来ました!」
「ASROC発射!コメンスファイア!」
VLSからASROCが発射され、敵潜水艦に向けて飛翔した。
〈レイシス帝国港湾都市モラーク近海海中 レイシス帝国海軍 第4艦隊 ヒューロン級潜水艦 ヨーフェン〉
レイシス帝国海軍 第4艦隊 潜水艦隊司令 テオニード・ゲモン
第4艦隊が誇る潜水艦隊は街を襲った敵の艦隊に接近していた。
「敵艦隊に接近しました!」
魔術道具で水上を見ていた監視が報告した。
「良し。弔い合戦だ。海竜隊を出撃させろ。」
「はっ!第1門を開け!海竜隊出撃!」
通信員が連絡し、直ぐに艦前部の門が開き、海竜に乗った兵士達が出撃していった。
「海竜隊が出撃しました!」
「了解。これより本艦も敵艦隊に接近し直接攻撃を「司令!敵艦隊に動きが!」何?!」
監視員が報告し、魔術道具を覗いて見ると、数隻の敵艦から光る何かが飛び出した所だった。
「なんだ?あれは…」
しばらくすると、先端が別れ、ヨーフェンから離れた位置に着水した。
「検討違いの場所に落ちた。どうやら攻撃ではないようだな。」
私を含む全員が気を抜いた時、
[コーン コーン]
と規則的な音が聞こえてきた。
「なんだ?」
「段々大きくなっている?」
「おい!何の音だ?」
音は段々大きくなっていき、しばらくすると、
[ズドォォン!]
轟音と凄まじい衝撃が艦を襲い、浸水が始まり、艦が沈み始めた。
「し、浸水です!」
「艦が沈み始めているぞ!魔術師!早く立て直せ!手の空いている乗員は穴を塞げ!」
「む、無理です!穴が大き過ぎで、うわぁぁ!」
水が物凄い勢いで指揮所に流れ込み、俺達を飲み込み、海の底に引き摺りこんだ。
〈フェンリル海軍 第2艦隊 エンタープライズ空母戦闘群 ズムウォルト級ミサイル駆逐艦 マイケル・モンスーア SMI〉
フェンリル海軍第2艦隊 エンタープライズ空母戦闘群 ズムウォルト級ミサイル駆逐艦 マイケル・モンスーア 艦長 サラ・ノリントン
「ASROC着水。弾着まで10秒。8、7、6、5、4、3、弾着、今。」
モニターに水柱が映った。
「水中で圧壊音を探知。敵潜を撃沈しました。」
「すずづき、ヴェラ・ガルフも敵潜を撃沈したとの報告です。」
「「「「「ふぅー。」」」」」
SMIのクルーが息を吐いた。が。
「まだです!何かが海中を進んでいます!数は10!この音は…海竜です!目標は本艦、アーレイ・バーク、ヴェラ・ガルフ、ポート・ロイヤル、ハルゼー、ポール・イグナティウス、リンドン・B・ジョンソン、ズムウォルト、すずづき、てるづきと思われます!到達まで10秒!」
ソナー員が叫んだ。
「全艦に情報を送れ!主砲、CIWSの準備をして武器庫を解放!総員戦闘準備!艦橋!海竜は確認出来るか?!」
《見えました![ザバァァ!]うわ!》
「どうした?!」
《か、海竜が本艦の船首に張り付きました!》
「チ!主砲!攻撃準備は?!」
「今の位置では本艦に被害が出ます!せめてもう少し上に来ないと撃てません!」
「艦橋!聞こえたな?!発砲を許可する!どうにかしてもう少し上に誘き寄せろ!」
〈フェンリル海軍 第2艦隊 エンタープライズ空母戦闘群 ズムウォルト級ミサイル駆逐艦 マイケル・モンスーア 艦橋〉
フェンリル海軍 第2艦隊 エンタープライズ空母戦闘群 ズムウォルト級ミサイル駆逐艦 マイケル・モンスーア 副長 エレナ・フィールズ
《艦橋!聞こえたな?!発砲を許可する!どうにかしてもう少し上に誘き寄せろ!》
「了解!」
無線を置いて少しすると、何人かの乗員が艦橋にM1014とM4A1を何丁かもって駆け込んできた。
「サニー、ちょうど良かった。銃を貸して。」
「どうぞ。」
銃を受け取り、艦橋を出て海竜に向けた。
「ヤツを誘き寄せる!攻撃開始!」
銃を受け取った船員も艦橋を出て海竜に攻撃を始めた。
[ババババン!ババン!ババババババン!]
[ドン!ドン!ドン!ドン!]
M4A1の5.56mm弾とM1014の00バック弾が海竜に命中したが、強靭な鱗に拒まれ嫌そうにしただけだった。
海竜の背中に乗った兵士が私達の方を指さし、海竜が船首を艦橋に向けて登り始めた。
「艦長!海竜が船首を登り始めました!」
《了解。良くやった。待機せよ。》
銃撃を続けていると海竜が主砲に手を掛け、登ろうとした瞬間、
[ズドン!]
157mm速射砲が火を吹き、海竜の胸から上と兵士を吹き飛ばした。
上半身の無くなった海竜が海に落ち、船首は肉片と血で真っ赤に染まっていた。
「良し!」
「やったぜ!」
艦橋にいた乗員が叫んだ。
「やったわね。やっぱり油断大敵ね。」
私は銃を抱いたまま壁に背中をつけ座り込んだ。
「副長。あの船首俺達が掃除するんですよね?」
血に染まった船首を見た船首の掃除当番の船員が呟いた。
「そうね。変な病気があるかもしれないから防護服を着てね。」
「はぁー。やっぱり。」
戦闘中とは思えない会話に思わずみんなで笑ってしまった。
[06:00時]
〈フェンリル海軍 第2艦隊 旗艦 ジェラルド・R・フォード級航空母艦 エンタープライズ TFCC〉
フェンリル海軍 第2艦隊司令 リリア・ハミルトン
「海竜の排除が完了しました。これでこの海域の制海権は完全に我々の物です。」
報告を受け頷きながら無線を取った。
「全員に通達します。我々は港湾都市モラーク、並びに近海の制海権を掌握。上陸作戦は成功です。ご苦労様。ただ、艦隊への潜水艦の接近を許した事もしかり、油断は大敵です。決して油断せず、生きて終戦を迎えましょう。ゆっくり休んで次の作戦に備えて下さい。」
私は無線を置き、椅子に体を預け、目を閉じた。
TFCCからは見えなかったが、外はきれいな朝日があがっていた。
[06:30時]
〈レイシス帝国港湾都市モラーク 近海 CV-22〉
CIASAD 第2中隊中隊長 デイビッド・クラーク TACネーム:ソリッド コールサイン:ラット・アクチュアル
ヘリに収容されてから直ぐに艦に戻れると思っていたが、艦隊が攻撃を受け結局2時間ほどヘリで空中待機することになってしまった。
その間、俺やブラックバーズのパイロット達は好奇心旺盛な2人の蛇娘から質問され続けていた。
ちなみに魔剣の少女や他の奴隷の女性達は眠っていた。
「本当に異世界からきたんですか?!」
アリーは驚愕と羨望の眼差しをしていた。
「ああ。」
「信じられない…。そんな事があるなんて。」
「でも、こんな兵器、見たことも聞いたこともない。納得出来るよ。」
「それもそうね。」
アリーとエリーは興味津々といった様子で周囲を見回していた。
「今度は俺から聞いても良いか?何で君らは捕まってたんだ?」
俺の質問に2人は苦虫を噛み潰したような顔を浮かべた。
「う……実は、騙されて奴隷商に売られちゃって。ついこの間ここに連れて来られたのよ。」
「あのクズ、もし次会ったら、絞め殺す。」
「そ、そうか。ん?ということは君らには帰る家もなければ金もない訳か。」
「うん…」
「どうしよう。」
「……君達さえ良ければ、俺達のところにくるか?」
「「え?」」
「うちのボスがそのうち実験的に冒険者や他国の軍の希望者に入隊の機会を作ると言っていた。その候補に君達2人をいれてやっても良い。もちろん入れるかは君達次第だ。」
俺がそう聞くと、
「やります!どうせなら命の恩人の為に働きたいです!」
「私も、御願いします!」
「わかった。上に伝えておこう。それまでは俺達の基地でゆっくり休んでくれ。」
俺が話しを切り上げようとしたとき、
「ところで、デイビッドさんって奥さんとか、彼女とかいるの?」
アリーが質問してきた。
「いや。何時死ぬかもわからんし、仕事柄世界中を飛び回っているからな。」
「そう!」
アリーは満面の笑みを浮かべていた。
「デイビッドさん、蛇は嫉妬深い。気を付けた方が良いよ。」
「?」
《アメリカから着艦の許可が出た。これから艦隊に向かう。》
機長がそういってヘリの進路を変えた。
「艦隊って凄く大きいのよね。楽しみだわ。」
「中は狭いがな。船に乗った事は?」
「こっちで一般的な帆船なら何度か。船酔いはしなかったわね。」
「私も。」
「なら大丈夫だな。」
ふと窓から外を見ると艦隊が見えてきた。
「お。窓から外を見てみろ。艦隊が見えてきたぞ。」
2人は窓に頬を押し付けて外を見た。
「おおー!」
「凄い!」
《もっと良く見てみたいかい?》
「うん!」
「是非!」
《良し!サービスタイムだ!艦隊上空を1周してから着艦する。》
ヘリの高度が少し下がり、艦隊が良く見えるアングルで周囲を飛行し始めた。
「凄い!大きい!」
「こんなにいっぱい!凄い!」
2人は朝日を浴びる艦隊の姿を見て大興奮していた。
艦隊上空を1周し、ヘリはアメリカのフライトデッキに着艦した。
《フェンリル海軍第2艦隊遠征打撃群アメリカ級強襲揚陸艦アメリカにようこそ!御出口は後ろ側です。》
後部ハッチが開き、俺は眠っていた元奴隷の女性達を起こして、魔剣に呑まれていた少女を背負ってヘリを降りた。
「おい。この子を医務室に運んでくれ。まだどんな状態かわからないから警備をおいて拘束しておけ。起きたら俺に連絡してくれ。」
「わかりました。」
担架を持ってきた乗員に少女を預けた。
「大活躍だったそうね。」
アメリカの艦長のメイ・リンが近付いてきて言った。
「それなりに苦労したがな。」
「でもあなたは彼女達を助けたじゃない。彼女達にとっては、あなたはピンチを救ってくれた英雄よ。誇って良いことだと思うわよ。」
メイ・リンはそう言うとアリーとエリーに近付いていった。
「あなた達可愛いわね。フェアリーが好きそう。」
「そんな!照れちゃいますよ!」
「照れる。」
3人は楽しそうに話しをしていた。
「…俺は英雄なんかじゃない。これまでも、これからも。」
俺はそう言って3人に背を向け、艦内に入っていった。
今回は2人目の蛇と仲間達が登場しました。
最初に登場したのはネイキッドのほうのつもりです。
レイシス帝国が覇権を握っていたのは魔剣を大量に保持しているからです。そして、使い手によってはドラゴンとタイマンをはったり出来ます。あくまで使い手によりますがね。
潜水艦は謎の遺跡から出た魔術道具を解析、量産した物です。当然他にもあります。
今回は迷言です。『エースコンバット3D』のエクストラミッションより。
オルセン「Uターンだ!」
ハミルトンネルやアヴァロンダム、メガリス、ラグノ要塞、シャンデリア等、狭いトンネルを抜けるのはエースコンバットの伝統ですが、トンネル抜けた先でUターンして出てこいと言われたのは初めてでした。
しかもこのミッション、ノーマルのストーリーでもミサイルの発射口が開かないんですよね。メガリスと同じで開くと思って全速力で突っ込んだら天井閉まったままで激突して死にました。
ちなみにターン失敗すると、
オルセン「Uターンしろと言っただろう」
といわれます。初めてやった時は殺意がわきましたね。
Uターン成功して外に出るとレーザー登載の高機動戦闘機4機との戦闘が待っているし、Sランクを取るには時間制限もあるしでかなり辛かったですね。
次回はようやっと父親率いるSFGpの出番です。副題をつけるなら『怪獣大戦争』ですかね。怪獣やドラゴンと戦闘をするのは自衛隊の伝統ですよね。噂ではそういった物を想定した対処マニュアルがあるそうですが、どうなんですかね?
ご意見ご感想をお待ちしています。




